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第1章 勇者の帰還
3 スキル持ち越しで人生リスタート3
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俺がいた異世界には『経験値』という概念があった。
ゲームなんかでお馴染みのアレだ。
経験値を貯めると、HPやMPといった基本能力が上がる他に、経験値に応じたポイントを新たなスキルの取得や既存スキルの成長に割り振ることができる。
通常は戦闘で得られる数値なんだけど、『経験値効率・極大』のスキルがあると、それ以外の行為でもある程度の経験値を得られる。
俺は今、通学路を進みながら、少しずつ経験値を稼いでいた。
そう、『歩く』という行為でも経験値が手に入るのだ。
しかも固有スキル【経験値効率・極大】のおかげで、それなりのポイントが入る。
さすがに戦闘に比べれば、かなり少ないポイントしか得られないけど。
わざと遠回りして少しでも経験値を稼いでおいた。
この後、きっと必要になるだろうからな。
学校に到着した。
で、靴箱を開けると空だった。
「……靴がない」
たぶん、誰かに隠されたんだ。
そうか、俺っていじめられてたよな。
数十年ぶりに思い返す。
野球部の杉山、サッカー部の野上、バスケ部の坂田──その辺が主に俺をいじめているグループの中核だ。
奴らの誰かが面白がって靴を隠したんだろう。
あるいは、どこかに捨てられているかもしれない。
土足で上がるわけにもいかないし、とりあえず──。
「【サーチ】取得。発動」
俺は小さくつぶやいた。
【サーチ】のスキル。
名前の通り、念じたものの場所を探る能力だ。
脳裏に一つの映像が浮かぶ。
中庭の隅にある茂み。
そこに靴が隠されているようだ。
……捨てられていなくてよかった。
俺は中庭までやって来た。
と、一人の男子生徒が茂みの前にいる。
野球部の杉山だ。
「夏瀬か、うぜーな。向こういけよ」
露骨に顔をしかめ、しっ、しっ、と手で追い払うような仕草をする。
こいつが靴を隠した犯人か。
態度と雰囲気、そして状況証拠。
いや、仮に犯人じゃなくても、別にいいか。
こいつには散々いじめられたことだし。
「これからの学園生活でたっぷりお返しさせてもらわないとな」
──スキル【近接格闘】を取得。
心の中でつぶやく。
さらに、通学で貯めた経験値をすべてつぎ込み、【近接格闘】をレベル3まで上げておいた。
「あ? 何言ってんだ、夏瀬ごときが」
にらむ杉山に、俺は不敵な笑みを返し、
どんっ!
地面が揺れるほどの勢いでダッシュする。
まさしく一瞬で奴の間合いに飛びこんだ。
繰り出したパンチが、奴のみぞおちにめりこむ。
「は……がっ……!」
崩れ落ちる杉山。
「て、てめ……ぇ……」
腹部を押さえ、苦悶の表情を浮かべていた。
俺みたいないじめられっこから受けた強烈な反撃に、信じられないという顔をしている。
「靴を返せ」
言いつつ、俺は茂みに入った。
靴を発見。
やっぱり隠してあったな。
「夏瀬の分際で、こんなこと──」
「まだ殴られ足りないか?」
何か言いかけた杉山の胸ぐらをつかみ、顔を覗きこむ俺。
「っ……!」
杉山の表情が変わった。
今までは、俺のことを『弱者』としてしか認識していなかったはずだ。
馬鹿にしても、あるいは殴っても、何も抵抗できない──そんな存在として。
だけど、今は違う。
もう、違う。
これからは──お前が『弱者』になるんだ、杉山。
ゲームなんかでお馴染みのアレだ。
経験値を貯めると、HPやMPといった基本能力が上がる他に、経験値に応じたポイントを新たなスキルの取得や既存スキルの成長に割り振ることができる。
通常は戦闘で得られる数値なんだけど、『経験値効率・極大』のスキルがあると、それ以外の行為でもある程度の経験値を得られる。
俺は今、通学路を進みながら、少しずつ経験値を稼いでいた。
そう、『歩く』という行為でも経験値が手に入るのだ。
しかも固有スキル【経験値効率・極大】のおかげで、それなりのポイントが入る。
さすがに戦闘に比べれば、かなり少ないポイントしか得られないけど。
わざと遠回りして少しでも経験値を稼いでおいた。
この後、きっと必要になるだろうからな。
学校に到着した。
で、靴箱を開けると空だった。
「……靴がない」
たぶん、誰かに隠されたんだ。
そうか、俺っていじめられてたよな。
数十年ぶりに思い返す。
野球部の杉山、サッカー部の野上、バスケ部の坂田──その辺が主に俺をいじめているグループの中核だ。
奴らの誰かが面白がって靴を隠したんだろう。
あるいは、どこかに捨てられているかもしれない。
土足で上がるわけにもいかないし、とりあえず──。
「【サーチ】取得。発動」
俺は小さくつぶやいた。
【サーチ】のスキル。
名前の通り、念じたものの場所を探る能力だ。
脳裏に一つの映像が浮かぶ。
中庭の隅にある茂み。
そこに靴が隠されているようだ。
……捨てられていなくてよかった。
俺は中庭までやって来た。
と、一人の男子生徒が茂みの前にいる。
野球部の杉山だ。
「夏瀬か、うぜーな。向こういけよ」
露骨に顔をしかめ、しっ、しっ、と手で追い払うような仕草をする。
こいつが靴を隠した犯人か。
態度と雰囲気、そして状況証拠。
いや、仮に犯人じゃなくても、別にいいか。
こいつには散々いじめられたことだし。
「これからの学園生活でたっぷりお返しさせてもらわないとな」
──スキル【近接格闘】を取得。
心の中でつぶやく。
さらに、通学で貯めた経験値をすべてつぎ込み、【近接格闘】をレベル3まで上げておいた。
「あ? 何言ってんだ、夏瀬ごときが」
にらむ杉山に、俺は不敵な笑みを返し、
どんっ!
地面が揺れるほどの勢いでダッシュする。
まさしく一瞬で奴の間合いに飛びこんだ。
繰り出したパンチが、奴のみぞおちにめりこむ。
「は……がっ……!」
崩れ落ちる杉山。
「て、てめ……ぇ……」
腹部を押さえ、苦悶の表情を浮かべていた。
俺みたいないじめられっこから受けた強烈な反撃に、信じられないという顔をしている。
「靴を返せ」
言いつつ、俺は茂みに入った。
靴を発見。
やっぱり隠してあったな。
「夏瀬の分際で、こんなこと──」
「まだ殴られ足りないか?」
何か言いかけた杉山の胸ぐらをつかみ、顔を覗きこむ俺。
「っ……!」
杉山の表情が変わった。
今までは、俺のことを『弱者』としてしか認識していなかったはずだ。
馬鹿にしても、あるいは殴っても、何も抵抗できない──そんな存在として。
だけど、今は違う。
もう、違う。
これからは──お前が『弱者』になるんだ、杉山。
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