不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ

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第2章 勇者の選択

10 鍛錬3

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 俺は奴の剣の軌道をあっさり見切り、最小限の動きで避ける。
 繰り出した竹刀が、奴の小手にヒットした。

「ううっ!?」

 驚いたように後ずさる山路。

「な、なんだ、今の動き──」
「素人が、山路の打ちこみを完璧に見切ってる……!?」
「嘘だろ!? あいつ、前の県大会じゃベスト4なのに──」

 部員たちがざわめいた。

 うーん、やっぱりこのままじゃ練習にならないな。
 あれを使うか。

 ──スキル【スロウ】取得。対象に発動。

 俺は新たなスキルを取得し、使った。

 対象の動きを遅くさせるスキル【スロウ】。
 敵にかけて、その動きを鈍らせることが基本的な使い方だ。

 だけど今回、俺は自分自身に【スロウ】を使った。

 ずしりっ……!
 まるで全身に鉛を背負ったような重みがかかる。
 これで俺は、本来のスピードでは動けない。

 バトル漫画なんかでよく見かける、重りを背負って修業する的なアレだ。

「続きをやろう」

 俺は山路に促した。

「おう、今度は負けないからな!」

 気合いを入れ直したらしい山路が、ふたたび打ちこんでくる。

 普段の俺ならやすやすとさばけるが、今は動きが鈍くなっている。
 さすがに気を抜けない。

 繰り出された攻撃を、竹刀を跳ね上げるようにして防ぐ。
 腕が、重いっ……!

 間一髪で俺の防御は間に合った。

「まだまだっ!」

 山路はなおも攻めたてる。
 俺も全力でそれを防ぐ。

 思った以上にきついな、これ。
 だけど、良い鍛錬になりそうだ。
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