不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ

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第7章 勇者の意志

2 封印について

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 雫を彼女の自宅まで送り、俺は帰路についた。

「そういえば、聖剣や俺自身の力が上がったのはどうしてだったんだろう……?」

 さっきの戦いをあらためて振り返る。



『負けないで!』
『私、信じてますから! 絶対に──』



 彼女の声とともに、俺や聖剣に力がみなぎった。
 そして、まだ習得していないはずのEXスキルを使い、ベルクに打ち勝った。

「夜天、お前には理由が分かるか?」
「いや、私にも分からない」

 俺の相棒たる聖剣は即答した。

「魔法の類、ってことはないのか?」

 この世界においても、魔法の素質を持つ人間は存在する。
 オカ研の凪沙さんのように。

 あるいは雫も、実はそんな素質を秘めていた……とか。

「彼女からは魔力を感じなかった。少なくとも強化魔法などではないな」

 と、夜天。

「かといって、スキルでもない」

 謎のまま、か。



 翌日。

 確認すると、俺のレベルやステータスは大きく向上していた。
 ベルクを殺したことで、大量の経験値が入ったらしい。

───────────────────────────────────
 名前   :夏瀬彼方
 レベル  :140
 攻撃   :272
 防御   :264
 HP   :288
 MP   :276
 経験値  :23160
───────────────────────────────────

 二周目の人生が始まった時点ではレベルもステータスもオール1だったことを考えると、かなり数値が上がった感じだ。

 だけど、まだまだ足りない。
 もっともっと──鍛えないと。

 俺はアパートを出て、例の遺跡に行った。

 異界に通じる扉がある、あの遺跡である。

 最奥に行くと、扉の周囲を虹色のクリスタルが覆っている。
 以前に施した聖剣スキル【聖封印】はまだ有効みたいだった。

 ただ、クリスタルのところどころに小さな亀裂が見える。

 夜天の話では一月か二月くらいは有効、と言っていたけど、徐々にその効力が弱まっているようだ。

「根本的なことを聞くけど……」

 俺は聖剣『夜天』を呼び出し、たずねた。

「この洞窟ってなんなんだ? お前が知っていることがあれば教えてくれ」
「ふむ。私もすべてを知るわけではないが──私の知識の中に、お前にとって有用な情報があるかもしれないな」

 夜天は少し思案した様子で押し黙り、

「彼方、お前は異世界のことをどの程度まで知っている?」
「えっと、こことは別の世界ってこととか、神や魔族が存在するってこととか」
「……ふむ、そういう認識か」

 なぜかワンテンポ遅れて返答する夜天。

「もしかして、俺は何か勘違いしているのか?」

 今の返答にそんなニュアンスを感じたのだ。

「いや、基本的には彼方の言うとおりだ。お前の言う『異世界』は、正式にはファルセリアという名がある。こことは違う時空に存在する世界だ」

 夜天が説明した。

「二つの世界は密接な関係がある。表裏一体の存在であり、互いに影響を及ぼしあっているのだ。そして、ところどころで二つの世界はつながっている」
「つながっている……?」
「この遺跡はもともとファルセリアの建造物だと推測される。それがなんらかの原因でこちらに転移、洞窟と融合したのだろう」
「向こうの世界の遺跡がこっちに……?」

 眉を寄せる俺。

「おそらくこの付近に二つの世界が重なる場所があるのだ。一種の世界間通路のようになっているんだろう。魔物たちが現れるのも、その通路を利用してのことだ」

 と、夜天。

「ただし、二つの世界の移動というのは簡単なことではない。力ある者ほど、より大きな通路が必要になる」
「だから強い魔族はこっちまで来られない、ってことか……」



 ──この扉の規模じゃ中位魔族までしか通れない上に、通路も不安定すぎるからな。



 前に戦った中位魔族ギシュリが言っていたことを思い出す。

「じゃあ、本題に移るけど──ここを封印することはできないか?」
「封印?」
「魔物がこの世界に現れないようにしたい」

 現在はここに俺の【空間封印】と聖剣の力の合わせ技──【聖封印】をかけているけど、その効果はせいぜいが一月か二月。

 できれば、永続的に封印したい。

「方法は二つある」

 夜天が説明を始めた。

 その内容は──。
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