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ユーリとララ〜王子つき騎士視点
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あっという間だった。
友好国の騎士総長から預かってほしい騎士と魔法師がいると言われ、貸しが作れるなら良いかと引き受けた人物だった。女性だったので驚いたが戦力になる騎士と魔法師をドラゴンが目覚めると言われるこの時期に他国に出す理由がないので、それなりの実力だと侮っていたのだ。だから、騎士や魔法師としてではなく王女の世話係として採用した。
それがどうだ。
ララは見たことがないほどの美しい氷の魔法で、敵と我々の間に壁をつくり敵の進行を阻んだ。ユーリはその壁を高く飛び越え、舞うように剣を奮って敵を倒している。しかも絶命させないように手加減して。
1分も経たないうちに決着がついた。
黒装束の男達は厳重に縛って城の牢に入れ、目的と雇い主を吐かすのだろう。
王子と王女がキラキラした目でユーリとララを見ている。王子は特にすごいすごいと興奮している。怖い思いをしなくて何よりだが、王子がまたシャーロット王女のところに通いたがるだろうと思うと王子付きの自分は複雑だ。
私は今は起きたことを王に報告しないといけない。ユーリとララのことも。あれほどの実力のある騎士と魔法師を我が国に預けた隣国の騎士総長に詳しい理由をきかないといけない。
王に報告の為、伺候すると、王弟殿下達がいらっしゃった。26歳のジョルジュ王弟殿下は主に外交部門で王を支えておられ、24歳のアーサー王弟殿下は主に財政部門で王を支えておられる。
王に此度のことを報告し、犯人の尋問を依頼した。
王は王子が狙われたのだろうと言われ、犯人の侵入経路や手引きしたもの、雇い主を徹底的に調べるように指示を出された。王子は立太子前で、他国から輿入れしてきた王妃を良く思わず、王に側妃を強く推す貴族が多い。今回もその一派の仕業だと推測できた。
王弟殿下達も難しい顔をしている。王弟殿下達は王子が無事立太子して地位が盤石になるまで結婚はしないと公言されており、権力のほしい貴族達は側妃に娘を当てがうしか方法がないのだ。
今までは王妃が狙われることが懸念されていたが、立太子の話しが出て王子に矛先を変えたのだろう。
静まり帰った部屋にアレックス王子が入ってきた。
「父上、お願いがあります。ユーリを私の剣の師にしてください。」
王は普段から聞き分けが良く、良くも悪くも自分の望みなどを言わない王子が、わざわざ王前まで来て珍しいと思ったようで、優しく
「でも、ユーリはシャーロットの世話係だ。シャーロットは納得するかい?」
と王子に問うた。
「でも、私は王子です。シャーロットにはララもいる。お願いします」
これには王も王弟殿下達も私も驚いた。王子は今まで一度も王子という立場を使って何かを頼んだりしたことは無い。
少しの沈黙の後ジョルジュ王弟殿下が
「そんなにアレックスが気に入ったユーリの剣技を俺もみてみたいな」
と軽薄な感じを装って言われた。
ジョルジュ王弟殿下はとても賢い方で、この態度は計算のうちだ。この提案もユーリが害を与えるものでないか、王太子の剣の師になり得るほど実力があるのか、ユーリを師とした時アレックス王子への様々な影響など高速で思案していると思われる。
アレックス王子はパァっと顔を輝かして騎士とユーリの模擬試合をしてほしいとねだった。
そしてそれはその場で了承された。
模擬試合は翌日に行われることになった。
対戦相手は、相手を見た目で判断してしまう騎士にした。この機会に一度痛い目にあった方が良いだろう。きっとそれが無くなれば騎士として壁を越えることができる。
ユーリに模擬試合のことを伝えたら、少し考えて勝ってもよろしいのですかと聞いてくる。賢い女性だと思いながらもちろんですと返した。
友好国の騎士総長から預かってほしい騎士と魔法師がいると言われ、貸しが作れるなら良いかと引き受けた人物だった。女性だったので驚いたが戦力になる騎士と魔法師をドラゴンが目覚めると言われるこの時期に他国に出す理由がないので、それなりの実力だと侮っていたのだ。だから、騎士や魔法師としてではなく王女の世話係として採用した。
それがどうだ。
ララは見たことがないほどの美しい氷の魔法で、敵と我々の間に壁をつくり敵の進行を阻んだ。ユーリはその壁を高く飛び越え、舞うように剣を奮って敵を倒している。しかも絶命させないように手加減して。
1分も経たないうちに決着がついた。
黒装束の男達は厳重に縛って城の牢に入れ、目的と雇い主を吐かすのだろう。
王子と王女がキラキラした目でユーリとララを見ている。王子は特にすごいすごいと興奮している。怖い思いをしなくて何よりだが、王子がまたシャーロット王女のところに通いたがるだろうと思うと王子付きの自分は複雑だ。
私は今は起きたことを王に報告しないといけない。ユーリとララのことも。あれほどの実力のある騎士と魔法師を我が国に預けた隣国の騎士総長に詳しい理由をきかないといけない。
王に報告の為、伺候すると、王弟殿下達がいらっしゃった。26歳のジョルジュ王弟殿下は主に外交部門で王を支えておられ、24歳のアーサー王弟殿下は主に財政部門で王を支えておられる。
王に此度のことを報告し、犯人の尋問を依頼した。
王は王子が狙われたのだろうと言われ、犯人の侵入経路や手引きしたもの、雇い主を徹底的に調べるように指示を出された。王子は立太子前で、他国から輿入れしてきた王妃を良く思わず、王に側妃を強く推す貴族が多い。今回もその一派の仕業だと推測できた。
王弟殿下達も難しい顔をしている。王弟殿下達は王子が無事立太子して地位が盤石になるまで結婚はしないと公言されており、権力のほしい貴族達は側妃に娘を当てがうしか方法がないのだ。
今までは王妃が狙われることが懸念されていたが、立太子の話しが出て王子に矛先を変えたのだろう。
静まり帰った部屋にアレックス王子が入ってきた。
「父上、お願いがあります。ユーリを私の剣の師にしてください。」
王は普段から聞き分けが良く、良くも悪くも自分の望みなどを言わない王子が、わざわざ王前まで来て珍しいと思ったようで、優しく
「でも、ユーリはシャーロットの世話係だ。シャーロットは納得するかい?」
と王子に問うた。
「でも、私は王子です。シャーロットにはララもいる。お願いします」
これには王も王弟殿下達も私も驚いた。王子は今まで一度も王子という立場を使って何かを頼んだりしたことは無い。
少しの沈黙の後ジョルジュ王弟殿下が
「そんなにアレックスが気に入ったユーリの剣技を俺もみてみたいな」
と軽薄な感じを装って言われた。
ジョルジュ王弟殿下はとても賢い方で、この態度は計算のうちだ。この提案もユーリが害を与えるものでないか、王太子の剣の師になり得るほど実力があるのか、ユーリを師とした時アレックス王子への様々な影響など高速で思案していると思われる。
アレックス王子はパァっと顔を輝かして騎士とユーリの模擬試合をしてほしいとねだった。
そしてそれはその場で了承された。
模擬試合は翌日に行われることになった。
対戦相手は、相手を見た目で判断してしまう騎士にした。この機会に一度痛い目にあった方が良いだろう。きっとそれが無くなれば騎士として壁を越えることができる。
ユーリに模擬試合のことを伝えたら、少し考えて勝ってもよろしいのですかと聞いてくる。賢い女性だと思いながらもちろんですと返した。
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