癒しの力が優遇されるこの世界で.〜エリート騎士に溺愛されてます。

み空色

文字の大きさ
16 / 21

褒賞と再会〜師団長シグルド視点

しおりを挟む
俺達が目覚めて一週間後に、ドラゴンとの戦いで亡くなった騎士の慰霊祭と慰労祭、それから祝賀祭が王宮で催されることになった。

慰霊祭は100人近くの騎士魔法師が亡くなり粛々と執り行われた。

続いての慰労祭で俺とセシルは王前に呼ばれた。

陛下から発表があると前置きがあってから
「第7師団長 シグルド-リンバーグ、並びに副師団長 セシル-リンゲル両名は ドラゴンスレイヤーの称号とドラゴンの眷属を使役できる力を手にしたとここに発表する。このかつてない偉業に対して、2人には余の力で出来うる限りの褒賞を与えようとおもう。シグルド、セシル、何でも思うものを言ってみよ」

俺は少し考えた後、
「全ての宣誓したものの魔法契約の解除を。宣誓をなかったことに」
と述べた。

会場の中は「宣誓とは?」とざわめきも聞こえた。

王は何か思案しているようで無言だった。

「我々、騎士魔法師は命は国に、王に捧げております。でも心は愛するものに捧げたいと思っています。騎士であっても私達は人です。心を捻じ曲げても壊れてしまうだけです。騎士であっても魔法師であっても普通の人と同じようにささやかな幸せを甘受できるようお願い申し上げます」

セシルからは
「私の願いは、ヒーラーの報酬に対する見直しです。ヒーラーの力が使える期間は有限で、騎士魔法師団での遠征への帯同は危険であるのに、王宮のヒーラーと報酬が殆ど変わらない。魔獣の脅威から国民を守るのですから正しい評価で報酬を高くし、その誇りとやり甲斐で騎士魔法師団で働いてほしいと思います。」  

しばらく王は無言だったが、
「承知した。必ずその願いは叶えよう」と言ってくれた。

その後王宮のホールで祝賀会が催され、ダンスや会食を皆が楽しんでいる。

俺とセシルに令嬢がまとわりついていたが、無言で無視をしていた。会も終盤になってくると、他の師団の騎士が帰りの挨拶を装って、宣誓の解除へのお礼を言ってきた。自分達より目上の騎士も多く、苦しんできた騎士が多いことに驚いた。

自分はユーリを失ってしまったけど、同じ苦しみを味わっていた同僚を助けることができて、同じ苦しみを味わう騎士を新たに造らないですんで、これだけで充分だと思えた。
これからはセシルと2人、新しい力の研究と後進の育成をしながら、ユーリのことを思い出し穏やかに過ごそうとそう考えていた。

それから1ヵ月が過ぎ、各国にもドラゴンスレイヤーの話しが伝わった頃、隣国のリグルド王国から、騎士総長と俺とセシルに招待状が届いた。招待状には我が国にも被害を出したドラゴンを倒して頂いたお礼がしたいとあった。

リグルド王国は姉が嫁いでいたが、姉が難しい立場だったので連絡などは殆どとっていない。今回の訪問でも弟として会うのは難しいかもしれないが、元気かどうかさえでも分かれば、父や母、兄も安堵するだろうと思った。

リグルド王国の舞踏会に騎士の礼装で参加する。視線を集めるが仕方ない。

リグルド王が、俺達を貴族に紹介する。その時に俺が王妃の弟だと付け加えた。

リグルド王国では竜が空を旋回した時、王都は恐慌に陥ったそうだ。1時間くらい旋回してからどこかに飛び立ったがまた戻ってくるのではないかと街の人や貴族は不安に思っていた。ドラゴンの討伐が成された報が入り、次いでドラゴンを退治したのが自国の王妃の実の弟だと王宮から正式な発表があった。これに民衆は大喜びで強い騎士の身内の王妃に一気に歓迎のムードになった。貴族達も後押しを受け、王妃容認となったようだ。その頃には俺がドラゴンスレイヤーとなってドラゴンの眷属を従えたこと、甥のアレックス王子に武の才能があることも伝わり、アレックス王子が立太子するのも満場一致で可決された。この舞踏会はそのことの披露目の意味もかねて企画されたらしい。

姉や甥に及ぼした影響は全く想定外だが、姉と甥が幸せになるなら俺も嬉しい。
王から討伐に対する感謝の言葉を受け、それから王に
「貴公達に会わせたい者がいる。あの者達をこちらへ」
奥の扉が開いて、そこにいたのは俺達の色のドレスを着て、はにかむような笑顔の愛しい人だった。

俺達の目から一筋の涙が溢れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~

柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。 そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。 クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。 さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

慈悲深い天使のテーゼ~侯爵令嬢は我が道を征くつもりだ

あとさん♪
恋愛
王太子の婚約者候補に名を連ねながら、政権争いに敗れ、正式任命されなかった侯爵令嬢パトリシア。 彼女には辺境伯家との縁組が命じられた。辺境伯は毛むくじゃらの天をつくような大男で、粗野で野蛮人だと王都では噂されている。さらに独立して敵国に寝返るかもしれないと噂される辺境伯家に嫁いだら、いったいどうなるの? いいえ、今まで被り慣れた巨大な猫を、この際、盛大に開放させましょう。 わたくしは過去の自分を捨て、本来のわたくしに戻り、思うまま生きてやります! 設定はゆるんゆるん。なんちゃって異世界。 令嬢視点と辺境伯視点の2話構成。 『小話』は、2人のその後。主に新婚さんの甘々な日常。 小説家になろうにも掲載しております。

虚弱姫はコワモテ将軍の筋肉に触りたい

隙間ちほ
恋愛
◼︎無骨な英雄×病弱な筋肉フェチ姫 ◼︎辺境伯の末娘エルナは、領軍の英雄マテウスとの結婚が決まった。政略結婚――のはずが、実は姫は将軍の熱烈なファン。姫がノリノリで嫁ぐ一方、当のマテウスは「か弱い姫君に嫌われている」と思い込み、距離を取ってしまう……。 ◼︎筋肉と鼻血とすれ違いラブコメ。 ◼︎超高速展開、サクッと読めます。

処理中です...