【再々掲】異世界召喚に巻き込まれ転移中に魔法陣から押し出され、ボッチで泣いてたらイケメン幼馴染が追いかけてきた件<改定版>

緒沢利乃

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異世界に召喚されました

危険な招待と破壊王誕生

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「わああああっ、悠真!」

昨日の獣人冒険者の救出とワイバーンの討伐に大活躍した俺は、凛との再会にすっかり気を許し熟睡していた寝床から、愛しい人の叫び声を聞いて飛び起きた。

――いない。
凛の姿がいつの間にか消えている。
焦った俺はそのまま部屋を飛び出すが、凛の気配が近くにまったく感じられないことに心臓が嫌な音を立てた。
そうだ、探査魔法を放てば……上だ!

外に出て上を見上げると夜明けの群青色の空に何か…大きな鳥か? その足に何か……もしかして人? 凛!?

「ありゃ、ハーピーか?」

「え! 本当にいんの? ハーピーって」

「昔、じっさまが会ったことがあるって言ってたなぁ」

いつの間にか俺の後ろで交わされる獣人たちの呑気な言葉に腹が立つが、今はそんなことに構ってられない。

「おい! ガキ猫いるか?」

「な、なんだよ、兄ちゃん」

まだ朝も明けないのに俺に呼ばれたガキ猫は、素直にトタタと近づいてきた。父親と一緒に役場に泊ったのだろう、ピョコンと寝ぐせが付いていた。

「ハーピーって何処にいる?」

「え? えっと、え? 兄ちゃんそこに行くの?」

「行く。凛が連れ去られた」

「いや、でも。ハーピーって魔物だよ? 魔獣より、すげぇ強いよ、たぶん」

「行く」

「じゃ、じゃあ、俺も行く」

「おいっ! セシリオ!」

「俺、行ったことあるよ。あの古の城だよ。近くまでだけど俺は行ったことがある。そのときに大きな鳥を見た。俺、兄ちゃんに案内できるぞ」

ガキ猫はハーピーという魔物に怯え震える足を踏ん張って、気丈に言い放つ。
ガキ猫にその城の方角だけ聞いて一人で行くほうが早いと断ろうとする俺の腕を掴んで、「俺もリンを助けたい」と必死に訴える。

「ちっ、邪魔になったら、捨てていくぞ」

「それで、いい。父ちゃん、俺、行くよ。みんなを助けてもらったお礼、ちゃんと働いて返してくる」

「……セシリオ。何も言わん。気をつけて行け」

獣人たちに厩に走り連れて来た一頭の馬に、俺とガキ猫は飛び乗った。
もうすでに空にハーピーらしき鳥の姿は見えなくなっているが、俺の探査魔法で凛の位置はおおよそわかる。
問題は……移動手段だ。

「兄ちゃん、こっちじゃないよ。なんでまたワイバーンがいる岩場に戻ってきちゃうんだよ!」

「うるさい」

俺たちは村から乗ってきた馬を走らせ、ワイバーンに襲われた岩山まで戻ってきていた。
町のギルドへと救援を呼びに行った獣人たちは、まだここまで辿り着いていないようだった。

ここに戻ってきたのは、一秒でも早く凛を助けるためにある方法を使うつもりだからだ。
ガキ猫が興味深々で行ったハーピーの根城は子供の足でも行けるのかと問えば、こいつは二日かけて走って行ったと言いやがった。
しかも城は、険しい場所にあり城の中を探検することはできなかったと。

村からは二日の距離があるし、その城が単純に下から行けないのか、結界が張ってあるのか……。だとしたら侵入経路は一択だ。
俺はハーピーと同じ移動方法で、凛の救出に向かうことにした。

「いた」

「え! まだ、いたの……ワイバーン」

俺が倒す前に獣人たちが何匹が倒していたのだろうが、ワイバーンはそれでも二~三匹ぐらいが岩山の上で眠っていた。
時間がもったいないし面倒だから、今回も魔法の一撃で殺す。

「ウインドカッター」

半月型の風の鎌が縦横無尽にワイバーンの首やら羽を切り裂いていく、ただ一匹を除いて。
俺は魔法を放つと同時に目の前の大きな岩山に向かって走りだした。

「えーっ、兄ちゃん、待ってよ」

ガキ猫も、魔法で斬り裂き飛び散るワイバーンの首やら血を上手にひょいひょいと避けながら、俺の後を追ってくる。

「見つけた」

昨日と今、魔法で倒したワイバーンのどの個体よりも大きなワイバーンが岩山に身を隠すように縮まっていたのを見つけた。
こいつがこの群れのリーダーか。たぶん、俺との力の差があることがわかっていてここに隠れてたんだろう。

「お前は殺さない」

右手を高く掲げて、ワイバーンに向かって振り下ろす。

「サンダーアロー」

雷が矢の形でワイバーンの体を指し貫いた。バチバチと雷光がまだ薄暗い辺りを照らし出す。

「ギャウウウ!」

雷の矢に射貫かれてガックリと脱力するワイバーンの体によじ登り、その頭を掴んで微量の電気を流した。

「兄ちゃん、何してんの?」

「こいつの頭の中を掌握して、飼い馴らす」

「……え、兄ちゃんはテイマーなのか?」

「違う。俺はテイマースキルは持ってない。だから、無理やりにでも俺の命令に従うように頭の中を弄って操作する」

「ひええ、こわっ!」

うるさいぞ、ガキ猫。
ワイバーンの脳に電気信号で命令を送り、意識を取り戻させる。こいつに当てた雷魔法の威力はかなり落としたから、すぐにでも俺を乗せて飛べるだろう。

「ガキ猫、飛ぶぞ。しっかり掴まっていろ。あと、城までの案内、頼むぞ」

「え、ええーっ、こいつに乗って行くの? ……兄ちゃんに付いてきたの、後悔するわ……」

早く乗れ、そして案内しろ。探査魔法でだいたいの場所はわかるが、お前は城までの案内人とそのあとの凛の保護を任すつもりだからな。

ワイバーンに命令して、最速のスピードで飛んで見えてきた後ろに岩壁、周りを森に囲まれた絶壁ギリギリに建つ尖塔のある白い城。
ガキ猫に確認すると間違いないらしい。
そうか……俺から凛を攫った奴らの根城か……潰す!

「ストーンバレット」

本来、小石ぐらいの礫がいくつか飛ぶ魔法だが、サッカーボールぐらいの大きさの岩を百個ぐらい叩きつけてやる。

「わああああ、ちょっと待って待って! 兄ちゃん、それダメーッ! リンまで死んじゃう!」

「それは、まずい」

しかし、放った魔法はキャンセルすることができないので、ドガッドガッ、ドッカーンと城の門から正面にかけて破壊していった。

「あああ……。リン、大丈夫かなぁ」

「とりあえず、降りよう」

自分の暴挙に心中焦ってはいるが、発せられた声はいつもどおりで、とりあえず、ワイバーンに命令し城の正面の広場に降りてみた。
俺はワイバーンの背中から飛び降りて、扉の残骸を蹴り飛ばして全開させ城の中に入っていこうすると、俺の名前を呼ぶ凛の鈴のようなかわいい声が聞こえた。

















女の子だったのに鳥に姿を変えたその足に、グワシッと両肩を掴まれて連れてこられたのは、尖塔がいくつもあるお城でした。――なんで?
そして、フリフリフリルに溢れ、リボンであちこち飾られたガーリーな部屋で、ロリータ服を着た女性たちとお茶会ならぬ、女子会中です。――だから、なんで?

「はぁっ、ホント、かわいいリンくん」

「あ、ありがとうございます?」

僕を攫った鳥の人は、アデラさんいう魔族の女性でした。鳥型魔族でハーピーっていう種族なんだって。
へぇー、魔族も存在する世界なのかぁ、と呑気に思ったあと、殺されるぅとあわあわしてたら、他のハーピーの女の人たちが集まってきて、美味しいお菓子とお茶で恋バナ開始しました。

へっ?

なんでもこのお城には多くのハーピーの方たちが暮らしていて、その全員が暇を持て余している状態だという。
ならば、つがい……つまり、結婚相手を探しに旅にでも出ようと思っても……。

「禁止されちゃったのよね。番探しに行ってそのまま番を連れて帰ってくるのが稀だから」

「帰ってこないんですか?」

「来ないわよーっ。こんな何もないところ。別に仕事があるわけじゃないし、見知った顔しかいないし。つまんなーい」

ここはハーピーのお城だけど、治めてる領地があるわけでもなく養う民がいるわけでもない。
お金は自分たちの抜けた羽を魔導士や商人に売ればそこそこな金額になるらしく……働かなくてもいいと。
なにそれ、うらやましい。

「え、じゃあ、もしかして僕って……」

誰かの結婚相手候補ですか? と自分を指差して照れ照れしながら首を傾げると、大笑いされた。……今度は、なんで?

「違う違う。リンくんはかわいいから、お話したくてぇ。つい、興奮して擬態が解けちゃったわよ。あー、かわいい」

みんなからかわいいと褒められ頭を撫でられるけど、男子高校生の気持ちは複雑です。
僕、子供じゃないですよ?

あ、ここの人たちってみなさん暇なんだよね? 大きな鳥さんになれば空も飛べるし、僕ぐらいなら軽々運べる。
アデラさんの話では、彼女はハーピーの中でも小さな鳥型らしいし、なら他の人はもっと人を運ぶことができるはず。

「あのぅ、アデラさん。ご相談があるんですけど……」

僕は身振り手振りで、かくかくしかじか説明した。アデラさんたちは僕の話に興味を持ってくれたみたいで、ニコニコ顔で最後まで聞いてくれる。

「そうね、ママに提案してみるわ」

「ママ?」

「ああ、ママはここの長、女王なのよ」

おおーっ、ハーピーの女王様ってすごーい、と驚いたそのとき、ドーンドッカーン! とけたたましい破壊音が次々と響いた。
えっ? なにごと? お城も地震みたいにグラグラと大きく揺れちゃうし。

僕、そろそろ許容範囲越えてしまいそうなんですけど?
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