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婚約破棄編
白豚、目覚める
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「……っ!」
勢いよく振り上げた腕を力任せに振り下ろす瞬間、ハッ!と我に返った。
俺…何してるの?
ふと見下ろせば、俺の足元に蹲って震える少女がいた。
え?誰、この子。
いや、俺が思わずキレて叩こうとしたのは、会社のイケメン同僚と浮気した彼女だったはずなんですけど?
よく、思い出してみよう。
そう、俺と彼女は同じ会社に勤めている、所謂、社内恋愛だ。
付き合うきっかけは、会社の忘年会だったか、創立記念日だったか、はたまた同僚の結婚式の二次会だったか…、とにかく飲み会の席で一緒だったことだ。
彼女から告白されて、断る理由が特に無かったので付き合うことにした。
嫌いじゃなかったけど…好きなのか?と問われたら、ちょっと迷う、そんな関係。
別れる理由もないので、ズルズル付き合うこと約2年。
その間、彼女は友達の付き合いだからと言い訳をして、合コンに行きまくり適当に浮気を繰り返していたのは知っていた。
でもさ・・・別れ話って面倒くさくね?
別に結婚する相手じゃないしと放っておいたら、会社の同期入社の友人と浮気しやがった。
そいつは、出世頭でイケメンで女子人気がバカ高い奴で、浮気された被害者の俺に、同じ部署の女子達から彼女の文句を言われ責められるし、上司にまでチクリと嫌味を言われる始末。
やっぱ、社内恋愛なのに社内で浮気って、ダメでしょ?
流石の俺も重い腰を上げざるを得ないよね?
人がいるお店とかで修羅場になるのが嫌だったから、会社の昼休み終了15分前に会社のビルの外階段に呼び出して、スパッと別れを切り出した。
なのに……別れたくないって、どういうこと?
俺ってば、バカにされてるの?
「いや、無理」と簡潔に断ると、今度は俺の悪口のオンパレード!
いや…他人からこんなに罵詈雑言浴びたことありませんよ、俺。
最初はポカーンとしていたが、彼女の攻撃が俺の家族にまで及んだとき、ぶちっと何かが頭の中で切れて、思わず腕を振り上げていた。
『女子に暴力はんたーい!』
そのとき、俺の耳に幻聴が聞こえた。
女王様である姉と小悪魔である妹の声だ。
冷静になった俺は振り上げた腕を下ろし、彼女に最後通告とばかりに「さよなら」と告げた。
その途端、顔色を変えて、俺に縋りつく。
いやいや、君の浮気相手は会社一の優良物件なんだから、俺に固執しなくてもいいじゃん。
そろそろ、昼休みも終わりますし?
彼女が必死に俺に縋るその言葉で、ようやく俺は彼女の気持ちを理解する。
ほー、へー、ふーん。
つまり、結婚相手としてキープしときたいのね?この俺を。
ああ、確かに煩いことを言ったこともないし、束縛したこともないよね。
誕生日も記念日も、行きたいって強請った所にも連れて行ったし、基本、文句も言わずに付き合ったもんね、俺。
それはさぁ…お前のことを好きだったんじゃなくて、どうでもよかったから、揉めるのが面倒でハイハイって言うこと聞いてただけ。
俺は呆れた視線を投げて、感情の籠らない声で告げる。
「俺さぁ、結婚するなら身持ちが固くて誠実な子としたいんだ。お前じゃ、無理でしょ?じゃあね」
そろそろ戻らないと、マジでヤバい。
ガチャッとドアノブを回した俺に、真横から彼女が体当たりをかましてきた。
「ふっざけないでよっ!」
え…ここ、階段の上なんですが?
俺はそのままゴロゴロと階段を転がり落ちる。
しかも外階段の手摺は低くて、落下の反動で跳ねた体がその手摺を越えてさらに下へと落下する。
ああ…うちの会社…14階なんだよな…。
なんてことを、ものスッゴク短い時間で思い出した俺は、とりあえず、すうーっと上げていた腕を静かに下ろした。
で、ここはどこ?
目玉だけを動かして、右を見て左見て、後ろを見て前を見て…全員知らない奴らだ。
そして、下を見る。
…なんで?
せり出したデカイ自分の腹で、下半身が、足先すら見えない。
なんで…俺、こんなにデブなの?
勢いよく振り上げた腕を力任せに振り下ろす瞬間、ハッ!と我に返った。
俺…何してるの?
ふと見下ろせば、俺の足元に蹲って震える少女がいた。
え?誰、この子。
いや、俺が思わずキレて叩こうとしたのは、会社のイケメン同僚と浮気した彼女だったはずなんですけど?
よく、思い出してみよう。
そう、俺と彼女は同じ会社に勤めている、所謂、社内恋愛だ。
付き合うきっかけは、会社の忘年会だったか、創立記念日だったか、はたまた同僚の結婚式の二次会だったか…、とにかく飲み会の席で一緒だったことだ。
彼女から告白されて、断る理由が特に無かったので付き合うことにした。
嫌いじゃなかったけど…好きなのか?と問われたら、ちょっと迷う、そんな関係。
別れる理由もないので、ズルズル付き合うこと約2年。
その間、彼女は友達の付き合いだからと言い訳をして、合コンに行きまくり適当に浮気を繰り返していたのは知っていた。
でもさ・・・別れ話って面倒くさくね?
別に結婚する相手じゃないしと放っておいたら、会社の同期入社の友人と浮気しやがった。
そいつは、出世頭でイケメンで女子人気がバカ高い奴で、浮気された被害者の俺に、同じ部署の女子達から彼女の文句を言われ責められるし、上司にまでチクリと嫌味を言われる始末。
やっぱ、社内恋愛なのに社内で浮気って、ダメでしょ?
流石の俺も重い腰を上げざるを得ないよね?
人がいるお店とかで修羅場になるのが嫌だったから、会社の昼休み終了15分前に会社のビルの外階段に呼び出して、スパッと別れを切り出した。
なのに……別れたくないって、どういうこと?
俺ってば、バカにされてるの?
「いや、無理」と簡潔に断ると、今度は俺の悪口のオンパレード!
いや…他人からこんなに罵詈雑言浴びたことありませんよ、俺。
最初はポカーンとしていたが、彼女の攻撃が俺の家族にまで及んだとき、ぶちっと何かが頭の中で切れて、思わず腕を振り上げていた。
『女子に暴力はんたーい!』
そのとき、俺の耳に幻聴が聞こえた。
女王様である姉と小悪魔である妹の声だ。
冷静になった俺は振り上げた腕を下ろし、彼女に最後通告とばかりに「さよなら」と告げた。
その途端、顔色を変えて、俺に縋りつく。
いやいや、君の浮気相手は会社一の優良物件なんだから、俺に固執しなくてもいいじゃん。
そろそろ、昼休みも終わりますし?
彼女が必死に俺に縋るその言葉で、ようやく俺は彼女の気持ちを理解する。
ほー、へー、ふーん。
つまり、結婚相手としてキープしときたいのね?この俺を。
ああ、確かに煩いことを言ったこともないし、束縛したこともないよね。
誕生日も記念日も、行きたいって強請った所にも連れて行ったし、基本、文句も言わずに付き合ったもんね、俺。
それはさぁ…お前のことを好きだったんじゃなくて、どうでもよかったから、揉めるのが面倒でハイハイって言うこと聞いてただけ。
俺は呆れた視線を投げて、感情の籠らない声で告げる。
「俺さぁ、結婚するなら身持ちが固くて誠実な子としたいんだ。お前じゃ、無理でしょ?じゃあね」
そろそろ戻らないと、マジでヤバい。
ガチャッとドアノブを回した俺に、真横から彼女が体当たりをかましてきた。
「ふっざけないでよっ!」
え…ここ、階段の上なんですが?
俺はそのままゴロゴロと階段を転がり落ちる。
しかも外階段の手摺は低くて、落下の反動で跳ねた体がその手摺を越えてさらに下へと落下する。
ああ…うちの会社…14階なんだよな…。
なんてことを、ものスッゴク短い時間で思い出した俺は、とりあえず、すうーっと上げていた腕を静かに下ろした。
で、ここはどこ?
目玉だけを動かして、右を見て左見て、後ろを見て前を見て…全員知らない奴らだ。
そして、下を見る。
…なんで?
せり出したデカイ自分の腹で、下半身が、足先すら見えない。
なんで…俺、こんなにデブなの?
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