悪役令息な俺でもいいんですか?~歌声で人々を癒やします。でも元婚約者(第3王女)はお断りです~

みけの

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固まってます(泣)

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 公演初日。
外は清々しいほどの晴天、絶好の公演日和だ。時折『順番にお並びくださーい!』とか『もうしばらくお待ちください!』って声が聞こえてくる。劇場の外にまで人が溢れているらしい。
「みなさーん! もうしばらくお待ちくださーい!」
ミーシャさんの張り切った声が聞こえてくる。外からガヤガヤと、大勢の人の気配がしている。この劇場にこんなに人が入るとは……。一座の芸は本当に人気があるらしい。支配人は当然として、子供のミヤちゃんまで出張って、切符切りや案内までしているそうだ。
 そんな混雑、自分達だけで整理出来るのだろうかと思ったら、一応この時期限定で冒険者を雇っているそうだ。ランクは分からないけど。
 で、そんな事を考えている俺はどうしているのか、と言うと……。
「アンタ……顔色悪いぞ、大丈夫か? ってか大丈夫になってもらわなきゃ困るんだが」
「は……は……」
舞台袖で、固まっています――。



 昨日の晩。
 俺は一座の役者さんや支配人達がいる前で、何故か一曲歌うことになった。
曲は明日の舞台でアイカさんが歌うはずだったものだ。何度も聞いたので憶えている。
 最後のパートを歌い終わり、周りを見渡したらみんな、呆然とした表情で俺を見ていた。
「あ、あの……」
恐る恐る声をかけたら、みんなハッとしたように目を瞬かせる。
誰からとも無く、拍手が起きた。それはいつの間にか部屋中に広がっていく。
「あんた本当に素人なのか!?」
「歌でこんなに心が穏やかになるのって、初めて!」
「俺は何だかやる気が湧いてきたぞー!!」
興奮したように色々言われ、俺は困惑するばかりだった。
 俺の歌は、確かに知っている人達から好評価だった。女王陛下や隣国の国王陛下、そして俺の本当の母さん。皆、会う度に俺が歌うのを喜んでくれた。だからなのか、冗談半分の噂が流れていたのも知っている。
――そう言えば母さん。初めて俺が歌ってみせたら、喜んでくれた後で、複雑な表情になってた。
 で、次に真剣な顔になって、こんなことを言われた。
『レオン。お前が歌を聴かせるのは、お前が信じてもいいと思った人だけにしなさい』
――――以来、声楽の時間とか以外、最小限にしか歌わなかったんだけど……。


 あー……ごめん母さん、今思い出したって遅いよね。
本当は俺は、ここで歌わない方が良かったんだ。
でも俺は、ここにいる人達を信頼しても良いと思った。……って言うか、信じたかったんだ。
 あの婚約破棄から……俺は、誰も信じられずにいた。
なのに……信じたいと思わせてくれた、この人達に。
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