嫌なことをとことん避けて定職にもつかずにいたらアラフィフになっていました

かおりんかる

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はじめに

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 みなさんは両親にきちんと誉められて育ちましたか?

 私にはその記憶がありません。誉められることはあったのですが、それは母親の言う通りに物事が出来た時、でした。
 
 運動会の駈けっこで2位になっても『何だ2位か』、国語が90点でも理科が40点だったら『40点なの?』と悪い点数を見て不機嫌になられました。
 
 そういうことが積み重なると、母親の言う通りにしていないと、不機嫌になられるのではないか、という不安に駆られます。

 私は自分のことをアダルトチルドレンとは思っていないのですが、それは、私が出来ないものは出来なかった、からです。母が、いい点数を取れば喜んで誉めてくれる、とは思っていても、勉強は国語以外嫌いでした。どんなに不機嫌になられようとも、ため息つかれようとも、出来ない勉強は出来ませんでした。決して、私も母の思うようには生きられなかった。そして、母も私が思い通りにならないことは不愉快であっても、認めざるを得なかった。

 中学生ぐらいになると、何も言われなくなっていきました。『中学生なんだから一人で出来るでしょう』というスタンスです。

 でも、私は、突き放されることで、どんどん自信を失っていきました。

 学生生活で自信を持てないと、周囲とのコミュニケーションがうまく出来ません。一番の被害者は仲の良かった友達です。母から貰えない自信を、友達と接することで埋めようとし、何人もの友達を傷つけ、結果、彼女たちは離れていきました。そのことに気づいてからは、友達とも一定の距離を置くようになりました。

 学校内の生活でも、委員会や係の仕事、というのがものすごく苦手でした。日直でさえも。ずっと母親の言いつけ通りに生きていたので、言われたことしか出来ない。自分から何をしていいかわからない。

 高校生活を終えようとした時、子供の頃、考えていた未来には進める自信が全くありませんでした。周囲は進学だ、就職だ、と自ら動いています。でも私はどうしたらいいかわからない。先生とも必要以外は全く話せない子供だったので、相談することもせず、結局、進路は家事手伝いにし、お芝居の勉強をする養成所に行くことにしました。私的には自己改善の目的もありましたが、母親が乗り気だったんです。

 でも、その2年後、またどうするか決めなくてはいけなくなります。結局、お芝居の道には行かなかったのですが(そう決めた時の母親の心底落胆したようなため息は忘れられません)、だとしたら仕事をしなければいけない、ということになります。養成所に通いながら、時折バイトをしていましたが、それもほとんど短期でした。

 養成所に通って、性格的には変わらずとも、仮面をかぶることを覚えました。ただそれでも就職という大それたことには自信がありませんでした。

 そんな私が、初めてちゃんと働いたのは何の仕事だったのか、それ以来どんな仕事をしてきたのか、アラフィフまで一度も就職せず非正規を続けて、今はどうなのか。

 結論をいってしまえば、今も稼げてはいません。でも、満足です。幸せです。老後への心配もしていません。

 
 働くのが苦手なみなさんへ、こんな生き方もあるのか、と、少しでも心の隅に残ってくだされば、嬉しく思います。

 
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