1 / 2
はじめに
しおりを挟む
みなさんは両親にきちんと誉められて育ちましたか?
私にはその記憶がありません。誉められることはあったのですが、それは母親の言う通りに物事が出来た時、でした。
運動会の駈けっこで2位になっても『何だ2位か』、国語が90点でも理科が40点だったら『40点なの?』と悪い点数を見て不機嫌になられました。
そういうことが積み重なると、母親の言う通りにしていないと、不機嫌になられるのではないか、という不安に駆られます。
私は自分のことをアダルトチルドレンとは思っていないのですが、それは、私が出来ないものは出来なかった、からです。母が、いい点数を取れば喜んで誉めてくれる、とは思っていても、勉強は国語以外嫌いでした。どんなに不機嫌になられようとも、ため息つかれようとも、出来ない勉強は出来ませんでした。決して、私も母の思うようには生きられなかった。そして、母も私が思い通りにならないことは不愉快であっても、認めざるを得なかった。
中学生ぐらいになると、何も言われなくなっていきました。『中学生なんだから一人で出来るでしょう』というスタンスです。
でも、私は、突き放されることで、どんどん自信を失っていきました。
学生生活で自信を持てないと、周囲とのコミュニケーションがうまく出来ません。一番の被害者は仲の良かった友達です。母から貰えない自信を、友達と接することで埋めようとし、何人もの友達を傷つけ、結果、彼女たちは離れていきました。そのことに気づいてからは、友達とも一定の距離を置くようになりました。
学校内の生活でも、委員会や係の仕事、というのがものすごく苦手でした。日直でさえも。ずっと母親の言いつけ通りに生きていたので、言われたことしか出来ない。自分から何をしていいかわからない。
高校生活を終えようとした時、子供の頃、考えていた未来には進める自信が全くありませんでした。周囲は進学だ、就職だ、と自ら動いています。でも私はどうしたらいいかわからない。先生とも必要以外は全く話せない子供だったので、相談することもせず、結局、進路は家事手伝いにし、お芝居の勉強をする養成所に行くことにしました。私的には自己改善の目的もありましたが、母親が乗り気だったんです。
でも、その2年後、またどうするか決めなくてはいけなくなります。結局、お芝居の道には行かなかったのですが(そう決めた時の母親の心底落胆したようなため息は忘れられません)、だとしたら仕事をしなければいけない、ということになります。養成所に通いながら、時折バイトをしていましたが、それもほとんど短期でした。
養成所に通って、性格的には変わらずとも、仮面をかぶることを覚えました。ただそれでも就職という大それたことには自信がありませんでした。
そんな私が、初めてちゃんと働いたのは何の仕事だったのか、それ以来どんな仕事をしてきたのか、アラフィフまで一度も就職せず非正規を続けて、今はどうなのか。
結論をいってしまえば、今も稼げてはいません。でも、満足です。幸せです。老後への心配もしていません。
働くのが苦手なみなさんへ、こんな生き方もあるのか、と、少しでも心の隅に残ってくだされば、嬉しく思います。
私にはその記憶がありません。誉められることはあったのですが、それは母親の言う通りに物事が出来た時、でした。
運動会の駈けっこで2位になっても『何だ2位か』、国語が90点でも理科が40点だったら『40点なの?』と悪い点数を見て不機嫌になられました。
そういうことが積み重なると、母親の言う通りにしていないと、不機嫌になられるのではないか、という不安に駆られます。
私は自分のことをアダルトチルドレンとは思っていないのですが、それは、私が出来ないものは出来なかった、からです。母が、いい点数を取れば喜んで誉めてくれる、とは思っていても、勉強は国語以外嫌いでした。どんなに不機嫌になられようとも、ため息つかれようとも、出来ない勉強は出来ませんでした。決して、私も母の思うようには生きられなかった。そして、母も私が思い通りにならないことは不愉快であっても、認めざるを得なかった。
中学生ぐらいになると、何も言われなくなっていきました。『中学生なんだから一人で出来るでしょう』というスタンスです。
でも、私は、突き放されることで、どんどん自信を失っていきました。
学生生活で自信を持てないと、周囲とのコミュニケーションがうまく出来ません。一番の被害者は仲の良かった友達です。母から貰えない自信を、友達と接することで埋めようとし、何人もの友達を傷つけ、結果、彼女たちは離れていきました。そのことに気づいてからは、友達とも一定の距離を置くようになりました。
学校内の生活でも、委員会や係の仕事、というのがものすごく苦手でした。日直でさえも。ずっと母親の言いつけ通りに生きていたので、言われたことしか出来ない。自分から何をしていいかわからない。
高校生活を終えようとした時、子供の頃、考えていた未来には進める自信が全くありませんでした。周囲は進学だ、就職だ、と自ら動いています。でも私はどうしたらいいかわからない。先生とも必要以外は全く話せない子供だったので、相談することもせず、結局、進路は家事手伝いにし、お芝居の勉強をする養成所に行くことにしました。私的には自己改善の目的もありましたが、母親が乗り気だったんです。
でも、その2年後、またどうするか決めなくてはいけなくなります。結局、お芝居の道には行かなかったのですが(そう決めた時の母親の心底落胆したようなため息は忘れられません)、だとしたら仕事をしなければいけない、ということになります。養成所に通いながら、時折バイトをしていましたが、それもほとんど短期でした。
養成所に通って、性格的には変わらずとも、仮面をかぶることを覚えました。ただそれでも就職という大それたことには自信がありませんでした。
そんな私が、初めてちゃんと働いたのは何の仕事だったのか、それ以来どんな仕事をしてきたのか、アラフィフまで一度も就職せず非正規を続けて、今はどうなのか。
結論をいってしまえば、今も稼げてはいません。でも、満足です。幸せです。老後への心配もしていません。
働くのが苦手なみなさんへ、こんな生き方もあるのか、と、少しでも心の隅に残ってくだされば、嬉しく思います。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・グレンツェ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる