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読書が好きだと思い込んでいたので選んだら
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本。
本を読むのは割と好きです。
が、私にとって暇つぶしなのだと、気づいたのは割と最近です。それまでは趣味のひとつは読書だと思っていましたし、本屋も好きですし、今も時間を潰さなくてはいけないとわかっている時は、必ず本持参で出かけます。最近は電子書籍があるので、とても身軽で、便利になりました。
ただ趣味であれば、本を読む時間を作るのだろうと思います。以前、半身浴にはまっていた時はお風呂に本を持ち込んで読んでいたこともありますが、半身浴は肌乾燥に繋がると知ってからは、それも辞めました。辞めたら、本当に本を読む時間が減りました。
小学四年生の時、担任の先生が『読書オリンピックをしよう』と言い出しました。図書室で本を借りて本を読もう、と。たくさん読んだ人にはメダルをあげよう、と。
何の取り柄もなかった私は、本を読むことぐらいは出来るだろうと、せっせと図書室で本を借りて読みました。中間発表で、誉められたこともあって、誉められることがあまりなかった私は図に乗って読みました。
勘違いはその頃から始まったんだと思います。
(ちなみに金メダルはいただけました。私だけではなく、他にも何人か貰ってましたけど。)
私は本が好きだ。本屋も好きだ。
と、思っていた、養成所を終了直後の春、地域の新聞の求人で、本屋さんのアルバイトを見つけました。フルタイム勤務の募集でした。
これは、いい。本屋さん、いい。働いてみたい!
即座に応募して、採用されるのですが、私は知らなかったのです。地元の個人がやっている本屋さんしか。
私が採用された本屋さんは、デパートに入っている大型書店でした。売り場としてはそんなに大きくないものの、専門書がたくさん置いてあるような本屋さんです。
いざ、仕事をはじめてみると、『趣味が読書とか言ってすみませんでしたーっ。二度と言いませんっ』と思ってしまうような出来事に多々遭遇しはじめました。
まず、お客様に聞かれた本が、全くわからない。作家の名前が全然わからない。今現在、すごく売れてる本のタイトルでさえ、全然わからない。
確かに、本は読んでいましたけど、それは、自分の興味がある作家さん、及びその作家さんから繋がりのある作家さんの本だけだったのです。
わからないと、先輩アルバイトの方に聞くのですが、そこで問題が生じます。
大型書店のレジは混んでいます。そして、そのレジでの精算の仕方が、すごく問題でした。
当時、お釣りが出るレジはすでにありましたが、そこのレジは『頭でお釣り計算した方が早いから』という理由で、お釣りは自分で計算して出していたのです。
1つのレジに、お客様対応のバイトが3人入ります。そして、レジ担当のベテランバイトが一人入ります。お客様対応のバイトは、レジ担当の人へ、本の種類(雑誌とか文芸とか)と金額、そしてお客様から預かった金額を伝えます。すると、レジ担当の人はレシートを出しながら(当時のレシートは今のように細かくはなく、本の種類と金額ぐらいしか書かれてなかったと思います)、頭でお釣りの計算をします。その間にお客様対応のバイトは商品を袋に入れ、後ろからの『お釣り○○円です』の声とともに出されたお釣りを自分でも確認してからお客様に渡します。
レジ対応のベテランさんは、3人の声を次々に聞いて、お釣りを一人で出していました。
ゆえに、何か聞きたくても忙しい時には周囲の先輩たちには聞けないのです。『今無理。内線で聞いて』と言われ、お客様を待たせて、内線で事務所に聞かなくてはいけませんでした。お客様にすぐに答えられないもどかしさや、何度も何度も内線で聞いてるいると、段々電話の向こうの声も険しくなっていき……本当にきつかった。
初日から簡単な説明とともにこのスピードのレジに入れられ(昨今スーパー等で見かける『研修中』の名札もなく)、瞬く間にパニックに陥りました。
いやいやいや、ありえないからーーーーーーーー!
頭の中は、それだけです。それでも一週間くらいは新人ということで、周りの目も寛容でした。でもお客様だけには新人ということは伝わらないので、イライラされたことも多々。
周りのバイトさんたちはいい方たちでした。『今に慣れるから』と言って貰ったりしていたのですが、あまりの出来なさに、私自身はどんどん追い込まれていきました。それが接客態度にも現れてしまい、社員に睨まれたりも……。
終業時間の30分前に遅番の人とレジを交代し、その後は書籍整理をすることになっていたのですが、その時が唯一ホッと出来る業務時間でした。とはいっても、その時間に本の場所を覚えてね、と言われていたので、ひたすら乱れた本を整理しながら、本の場所を覚えようとするのですが、ここでもお客様に質問されてあたふたしたり、また今まで気にもとめなかったジャンルの本が膨大で、簡単には覚えられませんでした。
結局、1ヶ月後、辞めることを伝えました。
初めてのフルタイムのバイトは苦い経験だけで終わりましたが、無駄ではなかったと思っています。
まず、自分が向いてない事柄にいろいろ気づきました。高校時代、私の高校はバイト禁止だったのですが、隠れてバイトをしてる子たちは皆、接客業をしていたので、なぜか根拠もなく自分にも出来ると思っていたのですが、全く無理だということに気づきました。そして、接客業と、お金を扱う大変さを知りました。莫迦みたいですが、本を買いにくる人たちを見て、自分に全く関係ない人を初めて見たのだと思います。世の中にはいろんな人がいる、ということもこの時、気づきました。
そして、いいお客さんになろう、と思いました。嫌な客ではなく、いいお客さんに。接客してくれるバイトさん、パートさんが、気持ちよく楽しく働けるように。
私が働いていた短い間、優しいお客様に助けられたこともあったので、自分もそういうお客さんになりたいと、今も思っています。
この話をすると、皆に驚かれます。本屋がそんなに大変だったの? と。
はい。私には大変でした。ずっと緊張状態が続いて、常に動悸がして、夜眠れない、何も食べたくない、というぐらいに。
この経験から、私は仕事探しの選択肢から接客業を外しました。
本を読むのは割と好きです。
が、私にとって暇つぶしなのだと、気づいたのは割と最近です。それまでは趣味のひとつは読書だと思っていましたし、本屋も好きですし、今も時間を潰さなくてはいけないとわかっている時は、必ず本持参で出かけます。最近は電子書籍があるので、とても身軽で、便利になりました。
ただ趣味であれば、本を読む時間を作るのだろうと思います。以前、半身浴にはまっていた時はお風呂に本を持ち込んで読んでいたこともありますが、半身浴は肌乾燥に繋がると知ってからは、それも辞めました。辞めたら、本当に本を読む時間が減りました。
小学四年生の時、担任の先生が『読書オリンピックをしよう』と言い出しました。図書室で本を借りて本を読もう、と。たくさん読んだ人にはメダルをあげよう、と。
何の取り柄もなかった私は、本を読むことぐらいは出来るだろうと、せっせと図書室で本を借りて読みました。中間発表で、誉められたこともあって、誉められることがあまりなかった私は図に乗って読みました。
勘違いはその頃から始まったんだと思います。
(ちなみに金メダルはいただけました。私だけではなく、他にも何人か貰ってましたけど。)
私は本が好きだ。本屋も好きだ。
と、思っていた、養成所を終了直後の春、地域の新聞の求人で、本屋さんのアルバイトを見つけました。フルタイム勤務の募集でした。
これは、いい。本屋さん、いい。働いてみたい!
即座に応募して、採用されるのですが、私は知らなかったのです。地元の個人がやっている本屋さんしか。
私が採用された本屋さんは、デパートに入っている大型書店でした。売り場としてはそんなに大きくないものの、専門書がたくさん置いてあるような本屋さんです。
いざ、仕事をはじめてみると、『趣味が読書とか言ってすみませんでしたーっ。二度と言いませんっ』と思ってしまうような出来事に多々遭遇しはじめました。
まず、お客様に聞かれた本が、全くわからない。作家の名前が全然わからない。今現在、すごく売れてる本のタイトルでさえ、全然わからない。
確かに、本は読んでいましたけど、それは、自分の興味がある作家さん、及びその作家さんから繋がりのある作家さんの本だけだったのです。
わからないと、先輩アルバイトの方に聞くのですが、そこで問題が生じます。
大型書店のレジは混んでいます。そして、そのレジでの精算の仕方が、すごく問題でした。
当時、お釣りが出るレジはすでにありましたが、そこのレジは『頭でお釣り計算した方が早いから』という理由で、お釣りは自分で計算して出していたのです。
1つのレジに、お客様対応のバイトが3人入ります。そして、レジ担当のベテランバイトが一人入ります。お客様対応のバイトは、レジ担当の人へ、本の種類(雑誌とか文芸とか)と金額、そしてお客様から預かった金額を伝えます。すると、レジ担当の人はレシートを出しながら(当時のレシートは今のように細かくはなく、本の種類と金額ぐらいしか書かれてなかったと思います)、頭でお釣りの計算をします。その間にお客様対応のバイトは商品を袋に入れ、後ろからの『お釣り○○円です』の声とともに出されたお釣りを自分でも確認してからお客様に渡します。
レジ対応のベテランさんは、3人の声を次々に聞いて、お釣りを一人で出していました。
ゆえに、何か聞きたくても忙しい時には周囲の先輩たちには聞けないのです。『今無理。内線で聞いて』と言われ、お客様を待たせて、内線で事務所に聞かなくてはいけませんでした。お客様にすぐに答えられないもどかしさや、何度も何度も内線で聞いてるいると、段々電話の向こうの声も険しくなっていき……本当にきつかった。
初日から簡単な説明とともにこのスピードのレジに入れられ(昨今スーパー等で見かける『研修中』の名札もなく)、瞬く間にパニックに陥りました。
いやいやいや、ありえないからーーーーーーーー!
頭の中は、それだけです。それでも一週間くらいは新人ということで、周りの目も寛容でした。でもお客様だけには新人ということは伝わらないので、イライラされたことも多々。
周りのバイトさんたちはいい方たちでした。『今に慣れるから』と言って貰ったりしていたのですが、あまりの出来なさに、私自身はどんどん追い込まれていきました。それが接客態度にも現れてしまい、社員に睨まれたりも……。
終業時間の30分前に遅番の人とレジを交代し、その後は書籍整理をすることになっていたのですが、その時が唯一ホッと出来る業務時間でした。とはいっても、その時間に本の場所を覚えてね、と言われていたので、ひたすら乱れた本を整理しながら、本の場所を覚えようとするのですが、ここでもお客様に質問されてあたふたしたり、また今まで気にもとめなかったジャンルの本が膨大で、簡単には覚えられませんでした。
結局、1ヶ月後、辞めることを伝えました。
初めてのフルタイムのバイトは苦い経験だけで終わりましたが、無駄ではなかったと思っています。
まず、自分が向いてない事柄にいろいろ気づきました。高校時代、私の高校はバイト禁止だったのですが、隠れてバイトをしてる子たちは皆、接客業をしていたので、なぜか根拠もなく自分にも出来ると思っていたのですが、全く無理だということに気づきました。そして、接客業と、お金を扱う大変さを知りました。莫迦みたいですが、本を買いにくる人たちを見て、自分に全く関係ない人を初めて見たのだと思います。世の中にはいろんな人がいる、ということもこの時、気づきました。
そして、いいお客さんになろう、と思いました。嫌な客ではなく、いいお客さんに。接客してくれるバイトさん、パートさんが、気持ちよく楽しく働けるように。
私が働いていた短い間、優しいお客様に助けられたこともあったので、自分もそういうお客さんになりたいと、今も思っています。
この話をすると、皆に驚かれます。本屋がそんなに大変だったの? と。
はい。私には大変でした。ずっと緊張状態が続いて、常に動悸がして、夜眠れない、何も食べたくない、というぐらいに。
この経験から、私は仕事探しの選択肢から接客業を外しました。
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