完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-

ジェルミ

文字の大きさ
58 / 254
第3章 お披露目会

第58話 ボタン

しおりを挟む
 みんなで3階に集まっている。

「ここです。どうそ!!」
 俺は休憩所とレストランになっている3階の明りを点けた。

「わあ~!!」
「凄いな、ここは」
 そんな感想が聞こえる。
 休憩所の憩い処いこいどころには、リクライニングシートを設置している。

「みなさん、すみませんが今夜はリクライニングシートで寝て頂きます」

「「「 リクライニングシート?! 」」」

「この椅子に座り横のレバーを引くと、背もたれを後方に傾斜できる椅子です」
「ほう、これは凄い。ベットになるのか?!」
 商業ギルドのアレックさんが、目を輝かせている。

 
「それからみなさん、これをどうそ」
 そう言いながら今、ストレージの中の『創生魔法』で創ったパジャマを出した。
 そして1人ずつ手渡していく。


「わっ!これは、なんなのエリアス君?」
 『餓狼猫のミーニャ』のエメリナさんが聞いてくる。

「綿で創ったパジャマ寝間着ですよ。普段着のまま寝るのも寝づらいでしょう」
「え、えぇ、そうね…」
 冒険者の彼女達は普段着でそのまま寝る事もあり、パジャマがピンとこなかった。
 そして1人ずつ渡していく。

「それに綿は吸湿性があって肌触りも良いですから。パジャマに最適です」
「これはどうやって着るの?」
 オルガさんが聞いてくる。
「まず下はズボン形式です。履いたら腰のところで紐で止めてください。オルガさんやエメリナさん達のように尻尾がある方は、後ろにやや切込みがありそこに紐が付いているので尻尾の上で一度縛ってください」
「わかったわ」
「そして上着はボタン形式です」

「「「 ボタン?! 」」」

「この丸いのもがボタンです。そしてこの穴に入れて服を止めることが出来ます」
「ほう、これは」
 商業ギルドのアレックさんが感心したように反応する。

 上着は普通の前止めのパジャマで、色は。男は青、女性はピンクだ。
 森で採れた青とピンクの花びらで染色液を作って染めてある。
「まあ、かわいい!!」
 女性達が嬉しそうに、はしゃいでいる。

「こうして袖を通して、前でボタンを留めます」
 俺は簡単に説明をした。

「ねえ、どうしてコルネールさんだけパジャマが違うの?」
『餓狼猫のミーニャ』のマルガさんが聞いてくる。
 コルネールさんは幻術でごまかしているが、ラミアなので長い胴しかない。
 それなので彼女だけ上から被る、ムームーパジャマにしたんだ。

「やっぱり、もう……だからよ」
「きゃっ、やっぱりあの時…たのね」
『餓狼猫のミーニャ』の3人娘は好きな事を言っている。

「馬鹿な事を言わないの。今夜のことは内緒ですからね!!」
「「「 は~い!! 」」」
 アリッサさんに3人は注意をされていた。



「これは特許を取っていたかな?」
 アレックさんが聞いてくる。

「えっ特許?取ってません」
「それは勿体ない!特許を取っておけば、誰かが使うたびに使用料が入ってくるぞ」
「そうなんですか」
「それにこれは画期的な発想です!!」
 ノエルさんも食いついてくる。
「どんな風にでしょうか?」
「従来の服だとサイズは大きめに作り、上から被り前や後ろで紐を締めて調整します。貴族などの高貴な方はスタイルをよく見せるために、後ろから紐で締め付けなくてはなりません。ですがこのボタン式であれば、生地も無駄にならず一人で着替えることが出来るのです」

 ノエルさんの説明によるとこの世界の服は上から被る。
 だからサイズも大きめのものが多い。
 そのため兄弟で着回したり、程度が良ければ古着屋にも売れる。
 その反面、消費が少ないので服が売れず、服屋になり手が少ないのが現状だ。

 だがおしゃれが出来れば話は別だ。
 おしゃれに敏感な貴族の女性は、お金を惜しまない。
 自分のサイズに合う着やすい、服を作ることができるのだ。

 その分、貴族がお抱えの侍女は主人の着替えを手伝う必要がなくなり、仕事が減るかもしれないけど。
 だけど需要が多そうなものは、流行る可能性があると言うのだ。

「そうですね。普段着も前と袖もボタンで留めるのもいいですね」
「色んなバリエーションの服が出来そうですね、うふふ」
「わかりました。明日納品の際に一緒にボタン形式の特許を申請します」
「そうした方が良いわ、エリアス様」
 ノエルさんがなぜか艶っぽく話しかけてくる。
 ど、どうしたんだろう?



「エリアス様、このボタンの素材はなんでしょうか?」
 アバンス商会のアイザックさんが聞いてくる。

 この世界にはプラスチックがない。
 なぜなら石油が見つかっていないからだ。
 あれば生活が向上するだろうけど、いずれは環境問題が出てくるだろうな。

 ボタンの元はストレージ内の『創生魔法』で創ってできた廃材だ。
 今までは『ゴミ箱』に捨てていたが、加工して使うことを思いついたんだ。

「あぁ、それはこの屋敷を創った時にでた鉱物の廃材です」
 そう言って俺はストレージから、大きさの違う色とりどりのボタンを出した。

「こんなに色のバリエーションがあるんですね」
「えぇ、まあ」
 廃材だから黒っぽいものから明るい色、貝のような波模様のものもある。

「まあ、奇麗…」
 それを見た商業ギルドのノエルさんが呟く。
「いりますか?」
 俺はつい、言ってしまった。
 まさかボタンを欲しがるとも思えなかったので…。

「頂けるのでしょうか?」
 ノエルさんは目を潤ませ、俺を見つめてくる。
「お好きなボタンをどうぞ…」
 そう言って俺はテーブルの上にボタンをいくつか出した。

 すると冒険者ギルドのコルネールさん、Dランクパーティ『餓狼猫のミーニャ』3人娘、商業ギルドのアレックさん、アバンス商会アイザックさんと、そのお供の2人も集まってボタンを選んでいる。
「私はこれ!!」
「ちょっと、私が欲しかったのに~」
「私はこれにします」
 みんなそれぞれに選んでいる。

 ふと目の隅にアリッサさんが映り、こちらを見て疲れたような顔をした。
 オルガさんがその肩を叩き、『ドンマイ』的なことを言っているように見える。
 いったい何があったのだろう?


 そして俺達は男女に分かれて、リクライニングシートに座る。
 7月近いと言っても夜は気温も下がる。

「みなさん、これを掛けて寝てください」
 俺は『創生魔法』で創った綿のタオルケットを12枚出して渡した。
 みんな驚いた顔をしたが、もう何も言わなくなってきた。

 そうだよな、もう夜は遅いし、みんな眠いよね。
 いつもならみんな寝て居ても、おかしくない時間だから。

 そしてアリッサさんを見るとまた、オルガさんに『ドンマイ』をされている。
 俺の知らないところで、アリッサさんに何があったんだろう?




 商業ギルドギルドマスター、アレックは思う。
 ノエルよ、ついに男に目覚めたか。
 このまま仕事に没頭し、終わってしまうのではないかと私は危惧していたが…、
 相手は将来有望だ。
 彼はこのアレン領では、収まらない器だ。

 それにエリアス君の輿は、まだまだ空がありそうだ。
 しかも事実上の奥さんのオルガさんが寛容で、他の女性にやきもちを焼かない。
 むしろ公認しているようだ。
 英雄色を好むと言うが、それを分かっている。

 頑張れノエル、玉の輿を目指して。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

失われた力を身に宿す元聖女は、それでも気楽に過ごしたい~いえ、Sランク冒険者とかは結構です!~

紅月シン
ファンタジー
 聖女として異世界に召喚された狭霧聖菜は、聖女としての勤めを果たし終え、満ち足りた中でその生涯を終えようとしていた。  いや嘘だ。  本当は不満でいっぱいだった。  食事と入浴と睡眠を除いた全ての時間で人を癒し続けなくちゃならないとかどんなブラックだと思っていた。  だがそんな不満を漏らすことなく死に至り、そのことを神が不憫にでも思ったのか、聖菜は辺境伯家の末娘セーナとして二度目の人生を送ることになった。  しかし次こそは気楽に生きたいと願ったはずなのに、ある日セーナは前世の記憶と共にその身には聖女としての癒しの力が流れていることを知ってしまう。  そしてその時点で、セーナの人生は決定付けられた。  二度とあんな目はご免だと、気楽に生きるため、家を出て冒険者になることを決意したのだ。  だが彼女は知らなかった。  三百年の時が過ぎた現代では、既に癒しの力というものは失われてしまっていたということを。  知らぬままに力をばら撒く少女は、その願いとは裏腹に、様々な騒動を引き起こし、解決していくことになるのであった。 ※完結しました。 ※小説家になろう様にも投稿しています

攻略. 解析. 分離. 制作. が出来る鑑定って何ですか?

mabu
ファンタジー
平民レベルの鑑定持ちと婚約破棄されたらスキルがチート化しました。 乙ゲー攻略?製産チートの成り上がり?いくらチートでもソレは無理なんじゃないでしょうか? 前世の記憶とかまで分かるって神スキルですか?

前世は不遇な人生でしたが、転生した今世もどうやら不遇のようです。

八神 凪
ファンタジー
久我和人、35歳。  彼は凶悪事件に巻き込まれた家族の復讐のために10年の月日をそれだけに費やし、目標が達成されるが同時に命を失うこととなる。  しかし、その生きざまに興味を持った別の世界の神が和人の魂を拾い上げて告げる。    ――君を僕の世界に送りたい。そしてその生きざまで僕を楽しませてくれないか、と。  その他色々な取引を経て、和人は二度目の生を異世界で受けることになるのだが……

司書ですが、何か?

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。  ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

処理中です...