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第10章 蒸気機関車

第147話 レッドクラブ

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「「「 レ、レッドクラブだ!奴の甲羅は硬くて矢が通らん!! 」」」

 レッドクラブと呼ばれた横幅1.5mくらいの魔物が、当たり一面を覆うくらい大量に現れた。
 俺を守る様にディオさん達が前に出る。


【スキル・鑑定】簡略化発動!!
 名前:レッドクラブ
 種族:魔物
 年齢:5歳
 性別:メス
 職業:カニ

【特徴】
 陸上に住む蟹の魔物。
 左右のハサミの力は強く、大木を真っ二つに切り裂く程の力がある。
 甲羅はとても固く、矢などの攻撃を受け付けない。
 前後左右に動ける。

 この時期は産卵時期で、メスはお腹に卵を持っていることが多い。
 身はとても柔らかくミソは極上の味。
 刺身や塩ゆでにしたり、ダシを採ったり美味しくいただこう。


 俺は叫ぶ!!
「みんなハサミに気を付けて。まずは下がるんだ!!」
 
「「「 おう!! 」」」

 返事は良いけどいったい貴方達は、どうやって弓矢で攻撃する気ですか?
 掛け声だけ?

 レッドクラブの大群はどんどん、俺達に迫ってくる。



  俺は蒸気機関車を収納した。
  突然、蒸気機関車が消えたのでアルベルトさん達が驚いている。

  ストレージから、黒作大刀くろづくりのたちと名付けた剣を出し構えた。
 『トゥ・ハンデッド・ソード』という両手で、片手で扱う為に柄を短くした剣だ。
 刺突攻撃も可能で剣先が鋭く、重量と打撃で叩きつけ、全長も1.5m近く重量も20kgはある大剣だ。
 俺はその大剣に生活魔法の風を、真空状態で纏うイメージをした。

 レッドクラブの大群はどんどん迫ってくる。
 スッ!!
 俺は風魔法を身に纏い素早さを上げた。

 ディオさん達を下がらせ、俺はレッドクラブの大群の中を縦横無尽じゅうおうむじんに駆け抜ける。
 そしてレッドクラブの眉間を、切り裂いていく。

 ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
          ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、
    〈〈〈〈〈 バンッ!バンッ!バンッ! 〉〉〉〉〉
      ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  
 ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
     ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、 ガザ、ガザ、
        〈〈〈〈〈 バンッ!バンッ!バンッ! 〉〉〉〉〉
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
  ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ ガザ、ガザ、
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
              〈〈〈〈〈 ガァッ!ガァッ!ガァッ! 〉〉〉〉〉
        ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、 
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
 ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、
ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、   
    〈〈〈〈〈 ガァッ!ガァッ!ガァッ! 〉〉〉〉〉
       ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、 
   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、  ガザ、ガザ、
 ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、ガザ、ガザ、   ガザ、ガザ、

 小人族のアルベルトさん達は、口をあんぐりと開けている。

 そしてレッドクラブの群れは通り過ぎて行った……。
 ……えっ、ただ通っただけ??
 戦う必要は………。

「さすがエリアス様。伊達に緑竜グリーンドラゴンを倒しはていないな」
 ディオさんがポツリと言う。

「な、なんですと。あの緑竜を倒されたのは、エリアス様だったのですか」

「えぇ、成り行きですが。あの時は緑竜とディオさんが戦っていて、そのままにしておくと俺達の村にも被害がありそうでしたから」

「そんなことがあったとは。だからダークエルフが従っているのですね」
「俺は従えているつもりはありませんよ」

 俺はそう答えると50匹は倒しただろうろと思える、レッドクラブをストレージに収納した。
 すると更にアルベルト長老達は、驚いた顔をしていた。

「レッドクラブはこの辺りに頻繁にでるのですか?」
「普段は山奥の岩場に住んでいるようですが、この時期から夏場にかけて雨の時期になると大群で産卵のため、山から下りてきて田畑を荒らすのです」
 レッドクラブは村を襲ったのではなくて、通り道に村があったのでは?…。

「この時期だけですか」
「えぇ、そうです。甲羅が固く矢が通らないので、荒らされるのを見ているしかなかったのです」
 そもそもなぜ弓矢で戦うのか…。
 復興する労力を考えたら、村の引っ越しを考えなかったのか?
 毎年、お疲れさまでした。

◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇

「ではみなさんの村に行きましょうか」
 俺達はそう言いながら歩き出す。

 しばらく歩いていくと簡素な塀が見えてきた。
「あそこがわれらの村です」
 アルベルト長老が指を指す。
 アルベルトさんは長老なので、敬意をこめて長老と呼ぶことにした。

「おい、いま帰ったぞ。門を開けろ!」
 アルベルト長老がそう言うと門が開いた。

「おかえりなさいませ、アルベルト長老」
 中から男の人が出てきた。
 小人族は人族より長生きのせいか、みんな若く見える。
 そのため、男の人なのか男の子なのかが分からない。

 中に入ると屋根がかろうじて、あるくらいの家が並んでいた。
 これを持っていくのは無理だ。
 俺がストレージでログハウスを作ればいいや。
 そう思うほど、雨が凌げればいいレベルのボロい家だった。

 するとゾロゾロと人が出てきた。
「みんなここにいらっしゃるのはエリアス様だ。そして黒い悪魔を動かしている、ディオさん、アルガスさん、セサルさんだ」

「「「 おぉ~~!! 」」」

「先ほどレッドクラブの大群に襲われた!!」

「「「 ?! 」」」

「しか~し、そのレッドクラブをエリアス様が簡単に倒してしまった」
「長老、いくら長老の話と言えどそれは…」
「そうだ、レッドクラブの甲羅は硬くて武器が通用しない」
 弓矢だからだよ!!
 分かれよ!!

 俺は仕方なくストレージから、レッドクラブ5匹を出す。

「「「 ドサッ!! 」」」

「おぉ~!」
「レッドクラブだ。眉間が割られているぞ!!」
「凄い?!レッドクラブを倒すなんて」
 そしてまたストレージにレッドクラブを収納する。
「マジック・バッグなんて初めて見たよ」
 住民達は感心している。

「それから先ほど話の途中でしたが、皆さんのために俺が新しく家を作りましょう」
「ですがエリアス様。そこまでして頂くわけには」
「大丈夫ですよ。俺が作りますから」
「本当ですか、19軒は必要になりますよ」
「そのくらいなら平気です」
 後で創生魔法を使いログハウスでも作るか?

 家が19軒と言う事は19世帯しかいない、と言う事か。
 森に追われ生活しているから、村レベルの規模で住んでいる種族はいないか。

「ですがエリアス様。そこまでして頂くわけには」
「移住して頂くのです、俺からのささやかな贈物です」

「「「 !! 」」」

 小人族の人達の目がキラキラ光り輝いている。
 なんだこの反応は?

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