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第1章 始まりの物語

第18話 別れ

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 朝が来た。
『おはようアンジェラ。もう朝だよ』
「もう少しこのままで…」
 アンジェラは俺を抱きしめ中々、起きようとしない。

『さあ、いつまでも寝てないで起きるよ』
「いや、まだ起きない。だって起きたらレオは…。レオは…」
 アンジェラは目に涙を浮かべている。

『仕方がないよ、アンジェラ。さよならは別れの言葉じゃなくて、再び出会うまでの遠い約束、と言うじゃないか』
「言わない、そんなの聞いたことがない」
『げほん、げほん。俺の故郷では言うんだよ』
「レオの故郷はどんなところなの?」
 俺は右手に地球儀を抱え回す真似をして指を指す。
『マダガスカル!!』
「………………………。」
 元居た世界でもあまり受けないギャクだったけど。
 俺は好きだった。
 でも朝からはキツイか…。

『さ、さあ本当に起きようか』
「わかったわ。レオ今日までありがとう」
『こちらこそ、楽しい旅だったよ』
「また会えるかな?」
『あぁ、また会えるさ。もし君の気持ちが変わらないなら、オークの幹に
 黄色いリボンを結んで…』
「何を言っているの?」
『あっ、いけない』
「最後まで変なモモンガね」
 そういうとアンジェラは微笑む。

『それじゃあ、窓を開けてくれるかい?』
「あぁ、そうね。玄関から出て行くと思ってしまったわ」
『俺は人では無いからね』
「さあ、窓を開けたわ」
『また会おう』
「元気でね、レオ」
『アンジェラもな』

 その言葉を最後に窓から飛び出した。
 窓から手を振るアンジェラを背にして俺は旅立つ。
 さあ、どこにいこうか。



 俺は空に舞い上がる。
 道沿いを辿っていけば人のいる街に着くだろう。
 しかしそれではつまらない。
 景色を楽しもうではないか!
 そう思い時々、道を外れながら森を上を飛んでいる。

 森が茂り谷や滝を見つけ小休止をする。
 まるで異世界観光だ。
 どちらにしろ今夜は幹の穴を見つけ、そこを寝床にするしかない。
 だからきままでいいのさ。

 この世界は辺りに高い建物はなく自然が豊富だ。
 なんて良い景色なんだ。
 生前のようなゴミゴミした環境とは大違いだ。

 すると大きな魔物がこちらに三体、飛んでくるのが見えた。

【スキル鑑定】
 名前:ロックちょう
 種族:鳥の魔物
 レベル:38
 特徴:肉食で群れを組み3mはある巨大な鳥。

 まずい!!狙われている。
 ロック鳥は俺に気づき、追い付いてくる。

 いくら風魔法を使い早く飛んでも全長30cmくらいの俺と、数メートルはある魔物では一度に飛べる距離が違う。

 チッ!
 やるしかないか。

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