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第13部 蒸気機関車

第119話 偏見

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「人族のお前がなぜ異種族と関わる」
 ドワーフのマルコス親方からそう聞かれている。

「そうですね。俺がここを開拓した理由は、人の手が入っていない資源がたくさんある土地が眠っている事。そしてそこに働きたい人がいるなら差別はしない、という事です」
「差別はしないと言うのか」
「はい、人族は繁殖力が強く大陸に広がり数で勢力を広げました。そして異種族と言われる人達は、人族より寿命が長い代わりに繁殖力が弱い。だからどうしても数に負けてしまう」
「まあ、我々ドワーフも確かに人族よりは寿命が長いはずだ」

「言葉を話し意思の疎通ができるなら同じ人類だと思います」
「人類だと?」
「えぇ、元は同じ種類で進化の過程が、違っているだけなのかもしれません」
「だから偏見はないというのか」
「そうです。もしドワーフの繁殖力が人族より強ければ、この世界を纏めているのは人族ではなくドワーフかもしれませんから」
「うぅ~ん。そうかもしれん」

「それにそんな小さいことは、気になりません」
「小さいことだと?!俺達は確かに小さいが…」
「身長のことではありません!!世の中には色んな種族が居て、その人達と世界を分かち合っていると思っていますから」
「世界を分かち合う、そんな考えの奴がいるとは。気に入った。我らドワーフ、エリアス、いいやエリアス様に忠誠を誓おう!」
「そ、そんな大げさな」


 それから話は進んだ。
 ドワーフは妻帯者は7組、独身は3名。
 では家は10軒必要だ。

 マルコス親方と話をし炉を造る関係で、広い作業場が欲しいという。
 それなら各自の住居とは別に、広い作業場を作る事を約束した。
 そしてドワーフは男女に関係なく、鍛冶仕事ができると言う。

 根気仕事に向いているようだから、ワイン造りもやってもらおうか。
 そのことをマルコス親方に話したら、眼を輝かせ喜んだ。
 全部、自分達で飲む気じゃないだろうな。



 セトラー領に着き、住民に集まってもらいみんなにマルコス親方達を紹介した。

 ドワーフ達の家は鍛冶をすると音や黒煙がでる関係で、俺達の住居からすこし離れた場所にログハウスを作った。
 そしてそこにちょっとした体育館くらいの作業場を建てた。
 炉はドワーフ達で各自、造るそうだ。

 蒸気機関車を勉強させてほしいと言われ、格納庫に蒸気機関車を出しておいた。
 どちらにしろ整備に関しては、マルコス親方達に任せるつもりだったからね。

 ついでにクロスボウを作れないか、ストレージから出して聞いてみた。
「な、なんだこれは?」
「クロスボウと言う弓ですよ。ただ違うのは熟練度は必要なく、レバーを引く力があれば誰でも強力な弓兵になれる事です。弓の台座上に矢を入れるカートリッジが付いています。台座下のレバーを前後することで弓の弦が引かれ、矢を装着でき引き金を引くことで連射が可能となります」

「連射だと!」
「えぇ、前から思っていましたが鳥人族は非力で力がありません。彼ら用になにか武器が造れればと思いまして。1人1人に合わせて作って頂けますか」
「あぁ、勿論だ」
「それは助かります」



 その夜は歓迎会となり、飲めや歌えの楽しい夜だった。

 お酒が入るにしたがって場は盛り上がって行く。



 ドワーフ、ホビット、ダークエルフ、鳥人族の人達が集まり話している。
 蒸気機関車を自由に走らす為には、どうしたらいいのか、更に戦闘能力を上げるにはとか、それよりこの領の防衛力を上げるのが先だとか、城壁の周りに深くて広いほりを作るとか、小さい声でヒソヒソ話しているのが聞こえてくる。

 みなさん、誰と戦うのですか?
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