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第2章
2:アロガンシア大帝国入国(2)
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その日の夕方。
ミーナを含めた侍女や護衛に改めて外出の話をし、リリーの発案は無事受け入れられた。
現在、少ない人数の中、発案者のリリーが主体となって準備を進めている。
夕食後、ヴィオラは部屋で、侍女と共に今後の予定を確認していた。
「ヴィオラ様、明日、皇都への案内と護衛を務める騎士の方が挨拶に来られます。」
ヴィオラに付いているのは、彼女が幼い頃から仕えている壮年の美女。名をアマリアという。イリニ王国の侯爵夫人であり、優秀な精霊術士でもあった。
二人は書類と向き合い、休養期間の公務について確認していた。
「分かったわ。前言っていたように、この迎賓館の玄関前で出迎えて、挨拶を受けるのよね。」
「はい。それから、辺境伯から、出発の前日に領主館でもてなしたいと……。」
彼女、アマリアは、ヴィオラの秘書のような事も行なっていた。
国の政治に直接関わらないヴィオラの公務は、王女というより『精霊の御子』としてのものであった。
その為、秘書官や事務官、文官等は付かず、たまにある公の公務の作法には手を焼いていた。
現侯爵夫人であるアマリアの補助がなければ、ヴィオラは早々に王宮を辞して、王女ではなく『精霊の御子』として、精霊界に戻っていたに違いない。
翌日。帝国の騎士が迎賓館に向かっているとの知らせを受け、ヴィオラ一行は準備を済ませて玄関前で待っていた。
しばらく待つと、一際輝く金の髪を持つ青年を筆頭に、数十人の騎士達が、隊列を成して歩いてくる。
代表して挨拶をした青年は、オリヴィエと名乗った。
甘く麗しい顔とは反対に、体は引き締まっている。
ヴィオラは一目見て、彼がかなりの強者だと分かった。
そして、ニンファ王国の国王のように、相当な切れ者に違いないとも。
休養期間中は直接警護はせず、主に領主軍と連携して領地の治安向上に務める。
休養期間終了後は、皇都への案内に加え、後宮で過ごすに当たっての護衛を選抜する。
などなど、兼ねてより決まっていた事の再確認を行い、挨拶は終了した。
午後のお茶の時間。今の今まで外出の計画を立てていたリリーが資料を持ってやって来た。
「ヴィオラ様、明日、お約束の外出をしませんか?」
ヨレたメイド服に、少々疲れの残る顔。
新米のメイドには大変であったであろう、内部・外部との様々な交渉やすり合わせ。
それらを思い、ヴィオラは満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうリリー。わたくし、明日がとっても楽しみよ。」
花が咲くような笑顔に、リリーの顔がぱっと明るくなった。
普段なら、「服装を整えてから来なさい」と注意するアマリアも、何も言わなかった。
鍛えたら伸びそうな娘だとは考えていたが。
ーーーーーーーーーーーーーーー
追い追い、『精霊の神子』『精霊の愛し子』『精霊の御子』の表記を統一します。
ミーナを含めた侍女や護衛に改めて外出の話をし、リリーの発案は無事受け入れられた。
現在、少ない人数の中、発案者のリリーが主体となって準備を進めている。
夕食後、ヴィオラは部屋で、侍女と共に今後の予定を確認していた。
「ヴィオラ様、明日、皇都への案内と護衛を務める騎士の方が挨拶に来られます。」
ヴィオラに付いているのは、彼女が幼い頃から仕えている壮年の美女。名をアマリアという。イリニ王国の侯爵夫人であり、優秀な精霊術士でもあった。
二人は書類と向き合い、休養期間の公務について確認していた。
「分かったわ。前言っていたように、この迎賓館の玄関前で出迎えて、挨拶を受けるのよね。」
「はい。それから、辺境伯から、出発の前日に領主館でもてなしたいと……。」
彼女、アマリアは、ヴィオラの秘書のような事も行なっていた。
国の政治に直接関わらないヴィオラの公務は、王女というより『精霊の御子』としてのものであった。
その為、秘書官や事務官、文官等は付かず、たまにある公の公務の作法には手を焼いていた。
現侯爵夫人であるアマリアの補助がなければ、ヴィオラは早々に王宮を辞して、王女ではなく『精霊の御子』として、精霊界に戻っていたに違いない。
翌日。帝国の騎士が迎賓館に向かっているとの知らせを受け、ヴィオラ一行は準備を済ませて玄関前で待っていた。
しばらく待つと、一際輝く金の髪を持つ青年を筆頭に、数十人の騎士達が、隊列を成して歩いてくる。
代表して挨拶をした青年は、オリヴィエと名乗った。
甘く麗しい顔とは反対に、体は引き締まっている。
ヴィオラは一目見て、彼がかなりの強者だと分かった。
そして、ニンファ王国の国王のように、相当な切れ者に違いないとも。
休養期間中は直接警護はせず、主に領主軍と連携して領地の治安向上に務める。
休養期間終了後は、皇都への案内に加え、後宮で過ごすに当たっての護衛を選抜する。
などなど、兼ねてより決まっていた事の再確認を行い、挨拶は終了した。
午後のお茶の時間。今の今まで外出の計画を立てていたリリーが資料を持ってやって来た。
「ヴィオラ様、明日、お約束の外出をしませんか?」
ヨレたメイド服に、少々疲れの残る顔。
新米のメイドには大変であったであろう、内部・外部との様々な交渉やすり合わせ。
それらを思い、ヴィオラは満面の笑みを浮かべた。
「ありがとうリリー。わたくし、明日がとっても楽しみよ。」
花が咲くような笑顔に、リリーの顔がぱっと明るくなった。
普段なら、「服装を整えてから来なさい」と注意するアマリアも、何も言わなかった。
鍛えたら伸びそうな娘だとは考えていたが。
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追い追い、『精霊の神子』『精霊の愛し子』『精霊の御子』の表記を統一します。
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