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第2章
3:辺境伯爵領
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待ちに待った外出日。
神秘的なドレスから貴族の街歩きドレスに着替えたヴィオラは、朝からずっとソワソワしていた。何せ、こういった外出は初めてなのだ。
昨日に侍女のリリーから渡された資料には、フェザークッションを取り扱う商会だけでなく、人気の喫茶店や、洋菓子店、宝飾店等の情報がびっしりと書かれており、フェザークッションだけを買って帰るものだと思っていたヴィオラは大変驚いた。それと同時に、リリーを始め、多くの人に感謝した。
迎賓館の玄関口に停められた馬車に乗り、ワクワクとした気持ちで窓の外を見る。
ゆっくりと動き出した馬車は、迎賓館のあるエリアから、街へと走る。
最初に向かうのは、本日のメインのフェザークッションを取り扱う店だ。
世界的に有名な、高級フェザークッション専門店である。
リリーの資料とカタログを元に色々と考えた結果、アロガンシア大帝国の側室となる以上、持ち物にも一定の格は必要だろうということで、有名ブランドの中からヴィオラの好みも反映してこの専門店を選んだ。
この店は、フェザークッションの品質だけでなく、クッションカバーにもこだわっており、多種多様なデザインや色のカバーがある。入内後も使用する為、その時々に変えられるようにしたかったのだ。
VIPルームで接客を受けている最中、店長から姉妹店の寝具専門店を紹介された。
一部、カバーと同じデザインの商品があり、部屋の雰囲気を統一出来るので、クッションと共にどうでしょうか、と。お店で注文をすれば、皇都支店から皇城に送ってくれるそうだ。
クッション専門店での買い物を済ませた後、ヴィオラはすぐにその店へと向かい、皇都邸と皇城の寝具一式を注文した。
予約したレストランでランチを取り、一行は宝飾店へと向かった。
この店は、主にアクセサリー型の魔道具を取り扱う店だった。
ヴィオラの外出の話を聞いた領主は、この店である物を買うように進めた。
それは、護身の魔道具である。毒消しを中心に、身を守るものは絶対に必要だ、と。
イリニ王国やニンファ王国では使用されていない毒にも対応できるから、毒消しの魔道具を持っていたとしても是非にとも言っていた。
ヴィオラは勧めに従い、急遽、この宝飾店での買い物を決めた。
購入に当たり、侍女の他、護衛にも助言を貰う事にした。
どんな場面で何を着ていても合うように、ドレスの下に隠れるガーターリング、指輪、重ね付けが出来るシンプルなネックレスと腕輪を購入した。
ヴィオラが一番気に入ったのが、ガーターリングだ。これは解毒だけでなく、そこから先に触れた者を任意で凍らせる事が出来る優れ物だ。
ドレスの裾で隠れるので、こっそり自衛出来て良いと、密かに評判なのだと言う。
服の上から分かる魔道具を奪われた場合に備えての選択だ。
これらの魔道具を、ヴィオラは侍女たちにも買い与えた。
後宮という女の園。敵意や悪意がヴィオラのみに向けられるとは思えない。
遠慮する皆に、万が一の備えとして必ずつけるようにと言いふくめ、それぞれに手渡した。
勿論、迎賓館で留守番をしている侍女・メイドたちの分も購入した。
そちらは侍女長を通じて渡す予定だ。
ヴィオラは、今日のお礼そして福利厚生の一環としてこれらを購入したが、侍女やメイドにとっては下賜品を賜る以上に名誉な事であった。
何せ、主人が自分たちを気遣い、身銭を切って、その場で似合う物を見繕ってもらったのだ。しかも、今回側にいた者は名前を呼ばれ、直接手渡しされたのだ。
イリニ王国から着いてきた者の中には、感極まって泣き出す者もいた。
少し落ち着くのを待ち、一行は、領地で一番人気のカフェに向かった。
前回、多くのお気に入り登録やいいねをいただきました。本当にありがとうございます。
神秘的なドレスから貴族の街歩きドレスに着替えたヴィオラは、朝からずっとソワソワしていた。何せ、こういった外出は初めてなのだ。
昨日に侍女のリリーから渡された資料には、フェザークッションを取り扱う商会だけでなく、人気の喫茶店や、洋菓子店、宝飾店等の情報がびっしりと書かれており、フェザークッションだけを買って帰るものだと思っていたヴィオラは大変驚いた。それと同時に、リリーを始め、多くの人に感謝した。
迎賓館の玄関口に停められた馬車に乗り、ワクワクとした気持ちで窓の外を見る。
ゆっくりと動き出した馬車は、迎賓館のあるエリアから、街へと走る。
最初に向かうのは、本日のメインのフェザークッションを取り扱う店だ。
世界的に有名な、高級フェザークッション専門店である。
リリーの資料とカタログを元に色々と考えた結果、アロガンシア大帝国の側室となる以上、持ち物にも一定の格は必要だろうということで、有名ブランドの中からヴィオラの好みも反映してこの専門店を選んだ。
この店は、フェザークッションの品質だけでなく、クッションカバーにもこだわっており、多種多様なデザインや色のカバーがある。入内後も使用する為、その時々に変えられるようにしたかったのだ。
VIPルームで接客を受けている最中、店長から姉妹店の寝具専門店を紹介された。
一部、カバーと同じデザインの商品があり、部屋の雰囲気を統一出来るので、クッションと共にどうでしょうか、と。お店で注文をすれば、皇都支店から皇城に送ってくれるそうだ。
クッション専門店での買い物を済ませた後、ヴィオラはすぐにその店へと向かい、皇都邸と皇城の寝具一式を注文した。
予約したレストランでランチを取り、一行は宝飾店へと向かった。
この店は、主にアクセサリー型の魔道具を取り扱う店だった。
ヴィオラの外出の話を聞いた領主は、この店である物を買うように進めた。
それは、護身の魔道具である。毒消しを中心に、身を守るものは絶対に必要だ、と。
イリニ王国やニンファ王国では使用されていない毒にも対応できるから、毒消しの魔道具を持っていたとしても是非にとも言っていた。
ヴィオラは勧めに従い、急遽、この宝飾店での買い物を決めた。
購入に当たり、侍女の他、護衛にも助言を貰う事にした。
どんな場面で何を着ていても合うように、ドレスの下に隠れるガーターリング、指輪、重ね付けが出来るシンプルなネックレスと腕輪を購入した。
ヴィオラが一番気に入ったのが、ガーターリングだ。これは解毒だけでなく、そこから先に触れた者を任意で凍らせる事が出来る優れ物だ。
ドレスの裾で隠れるので、こっそり自衛出来て良いと、密かに評判なのだと言う。
服の上から分かる魔道具を奪われた場合に備えての選択だ。
これらの魔道具を、ヴィオラは侍女たちにも買い与えた。
後宮という女の園。敵意や悪意がヴィオラのみに向けられるとは思えない。
遠慮する皆に、万が一の備えとして必ずつけるようにと言いふくめ、それぞれに手渡した。
勿論、迎賓館で留守番をしている侍女・メイドたちの分も購入した。
そちらは侍女長を通じて渡す予定だ。
ヴィオラは、今日のお礼そして福利厚生の一環としてこれらを購入したが、侍女やメイドにとっては下賜品を賜る以上に名誉な事であった。
何せ、主人が自分たちを気遣い、身銭を切って、その場で似合う物を見繕ってもらったのだ。しかも、今回側にいた者は名前を呼ばれ、直接手渡しされたのだ。
イリニ王国から着いてきた者の中には、感極まって泣き出す者もいた。
少し落ち着くのを待ち、一行は、領地で一番人気のカフェに向かった。
前回、多くのお気に入り登録やいいねをいただきました。本当にありがとうございます。
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