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番外編 

ジレンマ beginning エピソード1

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東京台東区秋葉原の一等地に佇む

老舗骨董店「パラドックス」

この店舗の主人 相良桔平さがらきっぺいと息子の呪戀魔ジレンマ

この物語は今から30年も前に遡る。
ジレンマが10歳の時の話だ。

父子2人、ありきたりの生活。
小学生だったジレンマは学校から帰ると父の代わりに店番をする、これが日課だった。

父親はジレンマが店にくると夕飯を買いに行ったり、家事をしなくてはいけないので店から10分のアパートに帰るのであった。

当時の秋葉原は電化製品の街。
ハイテク技術が集まるところに逆なでるようにある骨董店これが店の名前の由来だ。

客の入りは案外良いもので買いに来たり売りに来たり、賑わいはたえなかった。

店じまいの時間になると父親が店にジレンマを迎えにくる。
子供が1人で店番とは物騒かと思うかもしれないがそうではない。
常連さんが遊びに来て勘定や商談をしてくれるからだ。

30年前の日本ってのはそういう人情ある街が多かった。

「ほれ相良さん、今日の粗利だよ」

「神田さんいつもありがとうございます。こいつの面倒までみてくれて、本当にたすかります。」

「70の爺さんには暇つぶしで良いもんじゃ、じゃあな、ジレンマ」

神田さんのような常連には助けられている。
母親の死後、男手ひとりで子供を見るのは大変だ。

夕飯を食べた後は2人で風呂にはいる。
父は部屋の四隅の護符を貼り替える。

ジレンマの上着を脱ぐと、身体中は札だらけ

「とうちゃん、優しく剥がして(笑)くすぐったいよ」

そう言われて父親は丁寧に札を剥がしていく。
剥がして顕になったジレンマの体は大半は呪印の刺青がはいっていた。10歳の子供にだ。

「あと少しで完成だって、ばぁさんが言っていた、痛いかもしれないが我慢しろ」

「うん、僕は男の子だから大丈夫だよ」

やっと、ばぁさんが手に入れてくれた呪印書、全て体に彫れば、札を貼らなくても良くなるというのだ。

あと少しというのは気休め何年もかかるだろう。

ジレンマの中には魔物が潜んでいる。
それを手懐けたのは、我が子「呪戀魔」だ。

ジレンマと魔物との関係とは。。。

続く






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