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1話
しおりを挟む「マスターお手紙が届いてますよ」
琴美がそっとジレンマのデスクに手紙を置く。新聞を読んでいたジレンマは視線を少しずらしてデスクの上の手紙に向ける。差出人は。
「平田さんからだ。。」
ジレンマは新聞をたたみ手紙を手に取る。
「どちらの平田さんですか?」
「去年の夏の鬼退治事件の関係者だよ」
「あぁ京子さんが村を崩壊させた事件ですね!」
思い出したかのように琴美がいった。
「破壊まではしてないかな💦」
ここパラドックスで誠と凛子との出会い、鬼の面の騒動から早くも1年間の月日が経っていた。
平田さんからの手紙の内容はこうだ。
平田さんの妻である千尋は鬼退治により、正常に戻り、孫である貞治と3人で平和に暮らしているようだ。
今は鬼塚さんとの関係も回復して昔のように協力して廃村だった村の再建に向けて取り組んでいるとの事。
「あれから一年たつのか。。。」
日本で最もコアな人種が集まる街
「秋葉原」この街の一等地に構える老舗ジャンクショップ「パラドックス」ここの店主を務めているのが通称ジレンマそれが彼の名だ。
30年前
東京台東区秋葉原の一等地に佇む
老舗骨董店「パラドックス」
この店舗の主人 相良桔平と息子の呪戀魔
そのジレンマが10歳の時の話だ。
父子2人、ありきたりの生活。
小学生だったジレンマは学校から帰ると父の代わりに店番をする、これが日課だった。
父親はジレンマが店にくると夕飯を買いに行ったり、家事をしなくてはいけないので店から10分のアパートに帰るのであった。
当時の秋葉原は電化製品の街。
ハイテク技術が集まるところに逆なでるようにある骨董店これが店の名前の由来だ。
客の入りは案外良いもので買いに来たり売りに来たり、賑わいはたえなかった。
店じまいの時間になると父親が店にジレンマを迎えにくる。
子供が1人で店番とは物騒かと思うかもしれないがそうではない。
常連さんが遊びに来て勘定や商談をしてくれるからだ。
30年前の日本ってのはそういう人情ある街が多かった。
「ほれ相良さん、今日の粗利だよ」
「神田さんいつもありがとうございます。こいつの面倒までみてくれて、本当にたすかります。」
家事をあらかた終えた桔平が店に戻ってきた。
「70の爺さんには暇つぶしで良いもんじゃ、じゃあな、ジレンマ」
神田さんのような常連には助けられている。
母親の死後、男手ひとりで子供を見るのは大変だった。
ジレンマと夕日を背にして自宅アパートにもどる。
夕飯を食べた後は2人で風呂にはいり
少し先に風呂を上がった父は部屋の四隅の護符を貼り替える。
ジレンマの上着を脱ぐと、身体中は護符だらけ。
「とうちゃん、優しく剥がして(笑)くすぐったいよ」
そう言われて父親は丁寧に護符を剥がしていく。
剥がして顕になったジレンマの体は大半は呪印の刺青がはいっていた。10歳の子供に刺青。でもこれがジレンマを守る唯一の手段。
「あと少しで完成だって、ばぁさんが言っていた、痛いかもしれないがジレンマ我慢しろよ」
「うん、僕は男の子だから大丈夫だよ」
やっと、ばぁさんが手に入れてくれた呪印の書、全て体に彫れば、護符を貼らなくても良くなるというのだ。
しかしあと少しというのは気休め何年もかかるだろう。
ジレンマの中には魔物が潜んでいる。
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