【武田家躍進】おしゃべり好きな始祖様が出てきて・・・

宮本晶永(くってん)

文字の大きさ
64 / 78

再び西へ(その2)

しおりを挟む










 越前を辞した源太郎は琵琶湖を目指したのち、琵琶湖を右手に見ながら観音寺城へ向かう。

 



 観音寺城

 六角定頼は源太郎の来訪を聞いて早速に大広間へ通した。

 「武田殿、挨拶を抜いてでも話たき事がありそうじゃの?我等の仲ぞ、遠慮はいらぬ」

 「六角様、かたじけのぅござる。実は先頃、駿河の国が外つ国の軍勢に襲撃され申した」

 「そなたがここへ来た・・・という事はそなたが直に立ち会ったのじゃな?」

 「はい、それがしと弟・晴信が己の身をもって対処致し申した」

 「それならば、損害は少なかったであろうから良いとして・・・困ったことが出てきたのじゃな?」

 「はい・・・」

 「先ずは・・・外つ国とは何処じゃ?明か?朝鮮国か?」

 「明、朝鮮のどちらでもござらん。明の国がある陸の遥か奥にある国にて、イスパニアと申すそうでござる」

 「何と?!!!まさか、陸を通って明の国を突っ切ったわけでもあるまいに!」

 「船で行けるそうでござる。船にて数十日から百日程度かかるそうでござる」

 「まさか、国が接して居らぬのに、戦さの後は如何するつもりなのじゃ?」

 「『植民地』とかいうモノにするそうで、そこの領民を牛馬の如く遣い潰しながら、その地の富を奪い続けるそうでござる」

 「その者達は真に人か?」

 「その者達は我らを人と思うておらぬそうでござる」

 「なぜじゃ?」

 「肌と目と髪の色が違うからでござる。それと、言葉も違いまする」

 「されど、いくら何でも少なき人数で大勢の人を牛馬の様には使い続けられまい」

 「それを可能にする物がこれでござる」

 ・・・と言って、源太郎は5丁の短銃を側用人に渡し、定頼の元へ持って行かせる。

 「何じゃ?これは?」

 「鉄砲と申す物にて、その筒から火薬と申す物の爆発する力を利用して、金属の玉を打ち出す道具でござる」

 「弓の様な物か?」

 「左様でござる」

 「されど、高々弓の代わりとなる道具が大勢の人を抑える力となるのじゃ?」

 「弓を使って飛ばす矢よりも、鉄砲の玉の方が遠くへ飛びまする。その威力は、偶に鎧の胴丸を貫通致しまする。更に途轍もない音が響き渡る故、騎馬隊の天敵となり申そう」

 「厄介じゃのぅ。馬が使えぬとならば、荷の運搬の手間が増えようし、戦さにかかる期日も増える」

 「その通りでござる」

 「ん?!その割に、そなた落ち着いておるのぅ」

 「はい、今領内の民を総動員して、短銃を始めとする異国の物を調べさせております故」

 「これをここへ持ち込んだと言うは、こちらでも調査をして欲しいのじゃな?」

 「左様でございます」

 「ところで、外つ国の者は同じ言葉を話すのか?」

 「いいえ」

 「よくも意思疎通ができたモノよ」

 「明の国と交易をしておるそうにて、明の国の言葉を使える者同士を介して尋問致しました」

 「なるほど・・・されど、その出来事に出会った最初の人がそなたであった事が、日乃本にとっては、一番の幸運であったのぅ。とてもワシでは対処できぬわ」

 「いやいや、過分な誉め言葉は遠慮致したき事でござる」

 「そなたでなければ、犠牲が多く出ておったであろうし、敵に橋頭堡を築かれておったであろう」

 「いろいろな方々にそう言われまするが、それがしには解り申さん」

 「まぁ、褒めて貰えるのじゃ。形だけでも喜んでおけば相手も気持ちが良い。そういう事にしておくのじゃ。この後は京に行かれるのであろう?ワシから先触れをしておく故、ゆるりと為されよ」

 「お気持ち有難く・・・」

 源太郎は観音寺城で数日滞在するのであった。















しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら? 国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。 真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。 破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。 現在1945年夏まで執筆

徳川慶勝、黒船を討つ

克全
歴史・時代
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 尾張徳川家(尾張藩)の第14代・第17代当主の徳川慶勝が、美濃高須藩主・松平義建の次男・秀之助ではなく、夭折した長男・源之助が継いでおり、彼が攘夷派の名君となっていた場合の仮想戦記を書いてみました。夭折した兄弟が活躍します。尾張徳川家15代藩主・徳川茂徳、会津藩主・松平容保、桑名藩主・松平定敬、特に会津藩主・松平容保と会津藩士にリベンジしてもらいます。 もしかしたら、消去するかもしれません。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

東亜の炎上 1940太平洋戦線

みにみ
歴史・時代
1940年ドイツが快進撃を進める中 日本はドイツと協働し連合国軍に宣戦布告 もしも日本が連合国が最も弱い1940年に参戦していたらのIF架空戦記

生残の秀吉

Dr. CUTE
歴史・時代
秀吉が本能寺の変の知らせを受ける。秀吉は身の危険を感じ、急ぎ光秀を討つことを決意する。

処理中です...