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第1章:魔族の力を全力で使うことが出来る俺はチートな件について

第3話:村長から異世界について教えてもらいました。

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「あ、目が覚めましたか?」

俺が目を開けると、角を生やした少女が俺の顔を覗き込んでいた。

あぁ、確かコイツは俺の事を吹っ飛ばし気を失わせた奴だな。

俺が少女の顔を見てぼーっとしていると、

「本当に申し訳ございません!まさか私たちのことを人間共から守ってくれた命の恩人とは知らないで、先程のような行為を取ってしまって...。」

少女はぶんぶんと頭を上げたり下げたりして俺に誤った。

ん?誤解はとけたのか?あと、俺は少女の手枷を外す前に気を失ったのに、なんでこの少女の手枷が外れいるんだ?

『それは、私がマスターの体を使わしてもらったからです。あと、誤解も解いておきました。』

おい、俺の体を使ったってどういう事だ!

『え?普通に気を失ったマスターに強制的に鎧を着けて私が動かしただけですけど?』

恐っ。なにお前、そんな事も出来るの?

あと、誤解も解いたって言ってたけどお前会話出来るの?

『それもマスターの口を使って誤解を解いただけですけど?』

...そのうち身に覚えのない事で捕まったりしたら問答無用でお前の所為にするからな。

『安心してください。そんなマスターみたいな事は絶対にしません。』

おい!俺みたいな事ってなんだ!

少女は、黙っている俺の様子を見て心配そうな表情をしていた。

「あの...大丈夫ですか?」

「え?あ、ああうん。大丈夫大丈夫。あと、あの事はもう気にしてないから安心しろ。」

俺の言葉に安心したのか少女は心を落ち着かせ、俺の手を引っ張り、

「この家の前に貴方様に助けられた人たちが集まっています。みんなも早くお礼を言いたいみたいなので早く行きましょう!」

「え?い、いやちょっと待って。そ、そうだ!まだ教えて貰ってないのだが、君の名前はなんて言うの?」

俺の言葉に少女ははっとした顔になり、

「すいません!自己紹介がまだでしたね。

私の名前はシルクと言います。蜥蜴人ドラゴヒューマンという種族です。あ、あの...貴方様の名前をお聞きしても?」

「おう。俺の名前はワタルだ。種族は...ちょっと事情があって俺もいまいち理解してないんだ。」

なんせ人間と魔物が一緒になっているからな。

「分かりましたワタルさん。では行きましょう。」

どんだけ早く俺をこの家から出したいんだよ!

俺は蜥蜴人ドラゴヒューマンの少女に連れてかれ、家の外に出た。





外には老若男女、様々な蜥蜴人ドラゴヒューマン達がいた。彼らは俺の姿を見るなり全員頭を地に付け、

「この度は私たちを助けてくれてありがとうございます!」

と、大きな声で言った。

おお、土下座!この世界でも存在するのだな。

俺が笑顔を作り右手を挙げると、一番近くにいた老いている蜥蜴人ドラゴヒューマンが頭を上げ、

「私は村長のカルトと言います。助けたお礼はしたいのは山々なのですか、なんせ村がこんなに状態なもので...。」

カルトはそう言って破壊された村を見渡す。

なるほど。だが俺がお礼として欲しいのはこの世界の情報だったから丁度良いな。

「大丈夫だ。俺がお前らに求めるものは金や人材ではない。情報だ。」

俺の言葉を聞いて村の人たちは安堵の息を漏らした。

「ありがとうございます。それならば私が知る範囲でどんな事でも教えましょう。」

『丁度私も村長と話したいと思っていました。マスター。後でで良いので、なぜこの村が襲われたかを聞いてもらっても良いですか?』

わかった。後ででな。

俺は村長に案内され比較的被害が少ない家に入った。

「さて、俺が聞きたいのは、お金、魔法の種類、種族、そしてなぜこの村が人間に襲われていたのかということについてだ。」

「その事なら全て答えられると思います。ではお金の事から話しましょう。」

俺と村長は日が暮れるまで話し込んだ。

「では最後に、この村が襲われた理由なのですが、実は吸血鬼族ヴァンパイアが反乱を起こしていて。」

『なんですって!あり得ないわ!吸血鬼族ヴァンパイア程度なら人間が魔封じの玉アンチボールを使えばすぐにでも制圧出来るのに。マスター!村長にそうお伝え下さい!』

俺はデュラハンに言われた通りにする。

「ええ、そうなんですが、吸血鬼族ヴァンパイアの王子が人間の兵士たちに、『俺の魔素は特別で魔封じの玉アンチボールを使った途端暴走してお前らもろともバァーンだ!!』と言って回ってるらしくて。」

『あのバカ。これで間違って人間に魔封じの玉アンチボールを使われたらどうするのよ。一族もろとも滅ぶじゃないの。』

ん?デュラハン、お前その王子と知り合いなのか?

『ああ、そういえば言い忘れていたけど私は戦争の時に死んだデュラハンなの。だからマスターが村長に聞いた事は全て知っていたんだけどね。』

おい!なんで言わない!

『...』

黙るなぁぁぁぁぁ!

「そういえばワタル様は魔族なのに魔素の制限の影響を受けていないように見えるのですが...。」

この村には人間が魔族の反乱を恐れて魔素の制限を行う結界が張ってあるらしい。

実際にこの村の魔族たちはあまり元気がなさそうだった。

しかし、人間の俺は魔素に頼っている生物ではないので関係ない。

「そういえばまだ言って言っていなかったけど俺は人間で、このダサい鎧が魔族であるデュラハンなんだ。そしてこのデュラハンは俺のステータスを元としているんだ。」

『誰がダサい鎧よ!』

なんか五月蝿い奴がいるが無視する。

「なんと!貴方はこの世界の魔族としての性質から外れていますね。これは魔族の救世主なのでは...。」

やはり俺たちは異常イレギュラーなのか。
それよりも異世界に転生してから何も食ってないから腹が減ったな。

「やはり...。でも...。」

俺は何やらブツブツと言っている村長にご飯を頂けないか聞いてみた。

すると村長は偶然この家の近くにいたシルクに俺と村長の飯を持ってくるように言った。

しばらくするとおかゆみたいな料理をシルクが持ってきたので俺たちはこれを食べた。

この料理はクリシエという、馬の乳と麦でできたものらしい。

料理を食べ終えた後も村長の話は続いた。

「これで話は終わりです。ワタル様はこれからどうする予定なのですか?」

うーん。これからの予定か。異世界に来たのだから使える魔法を増やしたいな。

『マスター、デュラハンなので覚えれる魔法は限りなく少ないと思いますよ?』

いいやデュラハンよ!俺は人間なのだ!人間なら覚えれるだろう!

『あ、そうでしたね。マスター個人が覚えたらデュラハンである私も使えるのでしたね。』

そうだ!頭良いだろ?

『...』

「俺はこれから魔法について少し勉強したいと思っているのだが...。」

「それならシルクが回復魔法と光魔法を使えるので私が頼みましょうか?」

シルクに世話になってばかりだな俺。

「ああ、お願いするよ。」

まだこの村には世話になるらしい。


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