プレゼント・タイム

床田とこ

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「やっぱり不公平だと思うんだ。僕だけアイちゃんと話せないのは。和田くん、テストが終わるまで、君もアイちゃんと話すのをやめてほしい」
「は?」
「それで、もし僕がテストで学年一位をとることができたら」
 
 視線が舞い戻ってきた。
 
「アイちゃん、一位になったら僕と付き合ってほしい」
 
 教室がざわめき、再びの蓮太の「は?」は掻き消された。
 傍観者が目撃者になり、たまたま居合わせた幼馴染みは第一発見者になる。
 
「カエデお前突然何言って」

「本気だよ。まどろっこしいのはやめた。和田くんよりも僕がアイちゃんにとって有益な人間である事を証明できればいいんだ。これはひとつの検証だよ」

「……検証……」
 
 いっぱい勉強して、テストで良い点数を取ること。それに結果を求める理由を作り、意味を持たせること。なるほど。検証する必要性が、できた。
 
「どうだい? アイちゃん。この条件で、約束してもらえないかな」
 
 何か言いかけて言葉が出ない蓮太を右手で制しながら、真中くんが微笑んで私に問いかける。

 固唾を飲んでいる教室に、私は三文字だけ言葉を流し込んで、学食へひとり向かった。
 
「いいよ」
 
 
 
 
 ◇
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