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48 お礼
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次の日、ラクロアさまが約束通りお刺身をいっぱい用意してくれて、僕たちは町に向かった。
ちょっと馬車の中が魚臭くなっちゃって、ラクロア様がうーんて顔をしてたけど、ごめんなさい。
「街のどの辺に行くんだ?」
「食品街だよ、マチルダのお店って知ってる?」
「いや、わからん」
「そっかぁ、皆がマチルダのお店が無くなったら困るって言ってたから、どんなお店なのか気になって」
「ふむ、沢山ある店の中でその店だけ猫が困るってのは、確かに気になるな」
「あ、ラクロア様、ここら辺でいいや、馬車とめて」
「わかった」
ラクロア様が合図すると、馬車は緩やかに止まり、外に出ると騎士達が数人に取り囲まれた。
「?」
「私が行くから、皆はここで待機していてくれ」
「沢山人がいたんだね」
「あぁ、街中といえど気は抜けないからな、どれ、ニャリス荷物を貸しなさい、俺が持つから」
僕が抱えていたお刺身の入った桶を、ラクロア様がひょいっと持ってくれた。
「ありがとう」
裏路地に入っていくと、猫の集会をしたあの広場に出た、猫が木箱の上に2匹寝転んでる。僕たちを警戒して、起き上がった。
「あ、ごめんね、驚かせて、あのさ虎のボス猫を呼んでくれない?」
「あの猫はもう死んだよ」
「え?」
「歳だったからねぇ」
「そうなんだ……じゃぁ、今は誰がボスなの」
「斑猫だよ」
「じゃぁ、斑猫に合える?連れてきてくれない?」
「エーーめんどう」
「お刺身をあげるから」
「すぐに連れてくる」
2匹の猫はひょいっと塀を超えて何処かへ走り去っていった。
ラクロア様を振り向くと、ラクロア様は口を半開きにして固まってる。
「ラクロア様?」
「ニャリス、お前はいま、猫としゃべってたのか?ずっとナャウニャウ言ってたが」
「あら、ラクロア様にはそう聞こえるんだ?僕普通に喋ってると思ってたや」
「凄いぞお前は、凄いな」
「ボスの虎猫が死んじゃって、今は斑猫がボスなんだって」
「凄い!!」
ラクロア様が凄い凄いって、褒めてくれて、なんだか当たり前の事をしてるのに、むずむすしちゃう。だって僕、前は猫だったんだからこんなの当たり前の事だよ。なんにもしてないのに、誉めてもらうなんて、恥ずかしいな。
「ナャーン」
「あ、君がボスなの?」
「そうだよ、可愛い坊や」
「あのね、こないだ助けてくれたお礼にお刺身を持ってきたの、皆を集めてくれない?」
「おやおや、虎から聞いてるよ、律儀な子だ」
斑猫は、ナャーンナャーンと大きな声で鳴き出し、そこら辺から、1匹2匹と、続々と猫が集まってきた。
「ラクロア様、お刺身をくれる?」
「あぁ、ほら」
「ありがと、よいしょっと」
僕が猫たちの真ん中に、お刺身を置くと、猫達はきょとんとした顔で僕とラクロア様をみつめた。
「この間のお礼だよ、皆のおかげで王様は無事だったの、街も無くならないよ、ありがとう」
「そうかい」
「わぁ!!」
「美味しそう」
「良かった」
「嬉しい」
猫達が口々に喜んでくれて、ぱくぱくと刺身をたべだして、僕も食べたくなってきちゃって、チラッとラクロア様をみたら、お前は止めなさいと止められた。なんでばれたの?
ちょっと馬車の中が魚臭くなっちゃって、ラクロア様がうーんて顔をしてたけど、ごめんなさい。
「街のどの辺に行くんだ?」
「食品街だよ、マチルダのお店って知ってる?」
「いや、わからん」
「そっかぁ、皆がマチルダのお店が無くなったら困るって言ってたから、どんなお店なのか気になって」
「ふむ、沢山ある店の中でその店だけ猫が困るってのは、確かに気になるな」
「あ、ラクロア様、ここら辺でいいや、馬車とめて」
「わかった」
ラクロア様が合図すると、馬車は緩やかに止まり、外に出ると騎士達が数人に取り囲まれた。
「?」
「私が行くから、皆はここで待機していてくれ」
「沢山人がいたんだね」
「あぁ、街中といえど気は抜けないからな、どれ、ニャリス荷物を貸しなさい、俺が持つから」
僕が抱えていたお刺身の入った桶を、ラクロア様がひょいっと持ってくれた。
「ありがとう」
裏路地に入っていくと、猫の集会をしたあの広場に出た、猫が木箱の上に2匹寝転んでる。僕たちを警戒して、起き上がった。
「あ、ごめんね、驚かせて、あのさ虎のボス猫を呼んでくれない?」
「あの猫はもう死んだよ」
「え?」
「歳だったからねぇ」
「そうなんだ……じゃぁ、今は誰がボスなの」
「斑猫だよ」
「じゃぁ、斑猫に合える?連れてきてくれない?」
「エーーめんどう」
「お刺身をあげるから」
「すぐに連れてくる」
2匹の猫はひょいっと塀を超えて何処かへ走り去っていった。
ラクロア様を振り向くと、ラクロア様は口を半開きにして固まってる。
「ラクロア様?」
「ニャリス、お前はいま、猫としゃべってたのか?ずっとナャウニャウ言ってたが」
「あら、ラクロア様にはそう聞こえるんだ?僕普通に喋ってると思ってたや」
「凄いぞお前は、凄いな」
「ボスの虎猫が死んじゃって、今は斑猫がボスなんだって」
「凄い!!」
ラクロア様が凄い凄いって、褒めてくれて、なんだか当たり前の事をしてるのに、むずむすしちゃう。だって僕、前は猫だったんだからこんなの当たり前の事だよ。なんにもしてないのに、誉めてもらうなんて、恥ずかしいな。
「ナャーン」
「あ、君がボスなの?」
「そうだよ、可愛い坊や」
「あのね、こないだ助けてくれたお礼にお刺身を持ってきたの、皆を集めてくれない?」
「おやおや、虎から聞いてるよ、律儀な子だ」
斑猫は、ナャーンナャーンと大きな声で鳴き出し、そこら辺から、1匹2匹と、続々と猫が集まってきた。
「ラクロア様、お刺身をくれる?」
「あぁ、ほら」
「ありがと、よいしょっと」
僕が猫たちの真ん中に、お刺身を置くと、猫達はきょとんとした顔で僕とラクロア様をみつめた。
「この間のお礼だよ、皆のおかげで王様は無事だったの、街も無くならないよ、ありがとう」
「そうかい」
「わぁ!!」
「美味しそう」
「良かった」
「嬉しい」
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