辺境の地へ飛ばされたオメガ軍医は、最強将軍に溺愛される

夜鳥すぱり

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少しだけ涙目のリズを、リュカは会場の隅で抱き締めた。

「リズ、本当に気持ち悪いとかならもう部屋に」

「ごめんなさい、リュカさん、僕嫉妬してただけなんです、もしあんな綺麗な人たちにリュカさんとられちゃうんじゃないかって、だってぼくの身体ちっとも魅力的じゃないし、あの人たち。胸が大きくてとっても女性的だったし、ぼく、男だし」

「胸?いいか、リズ、あんなのただの贅肉だ、胸なら俺にもリズにもある、正直、リズの身体は、リズならなんでも良い」

「どういう」

「だから、最初は確かに一目惚れだったけど、今はもう、リズならなんでも良いんだよ、極端な話、リズが例えば怪我して顔がぐちゃぐちゃになっても、手足がなくなっても、生きてればなんでもいい、形なんかどうでも良い、リズの魂だけリズならなんでも良いんだよ、解ってる、キモいよな、でも本心だから……だから、リズが太ろうが痩せようが、胸が有ろうが無かろうが、女とか男とか、どうでも良いんだ、もっと言えば、例えばリズが、考えたくないけど、魔法とかで姿を変えられて芋虫とかになっても俺は愛せる、そんくらい好きなんだよ」

リュカが言いながら顔を赤らめていく。リズならば、姿形が何であろうと構わない。本心からそう思って、もちろん、この可愛らしい姿が一欠片でも失われるのは嫌だけれど。

「俺、本当に、リズならなんだって良いんだ」

リズの髪にそっと触れる。指通りの良い、くすんだ鼠色の髪も、形の良い頭も、リズを構成する全部が愛しい。


「芋虫……リュカさん、僕もリュカさんなら芋虫でもなんでも大切にします、毎日、新鮮な葉っぱとってきて、お水も変えて、どこにでも連れていきます、リュカさんが芋虫だったら、今度は僕が守りますね」

「ありがとう、リズ」

こんな話をしたせいか、その夜の夢は、芋虫の夢を見てしまって、リズは、うなされた。


「んんんっ……りゅ、か、さ……いも、む、し、可愛い、あ、違う、いもむし、が、リュカさんに……だめ、そのイモ、ムシは……リュカさんだ、から、ぼく、しか、さわっちゃ、だめ、や」

「リズ、起きろ、寝言……なんか、卑猥だな」


隣でうなされるリズの寝言を、平常心では聞いていられなくて、リュカは、頭を抱えた。




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