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第6章 コンクール
第1話 第1次予選 1 シゲル(攻め)視点
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※エロなし
タブレットの画面に映るユウキの姿に胸が躍る
本音を言えば、こんなに悩ましい顔をアップで映し出して欲しくない
そういう表情は、自分だけのものにしたいといつも思っているのに…
それでも、すべてを払拭するくらいの演奏だった
第1次予選のライブ演奏を、インターネットで聴く
緊張したような表情で舞台に現れたユウキを見て
断られたとは言え、やはり同行すべきだったと思いながらも
愛おしい彼が、彼の描く世界を存分と表現できるよう
まさに手に汗を握りながら、祈りながら聴いていた
遠く離れている距離も相まって、寂しさも倍増するが
すべてを自分の手の内に入れたいわけではない
本人は否定したいだろうが、圧倒的な芸術的才能を受け継いだ彼の実力はこれからますます発揮されていくだろう
ショパンのスケルツォ1番は、国内で行われたコンクールで演奏したことがある曲だ
あれからブラッシュアップされていることはよく分かった
12月後半から大学も休みに入り、すべての時間をピアノにかけていた
年末年始、そして冬休み明けは大学の講義は欠席して練習に集中し、そのままの状態で成田空港からイタリアに飛び立った
最後に会ったのは5日前
成田空港だった
イタリア語はあんまり得意じゃないんだよね、と楽譜を見ながら笑うユウキの顔
着いていきたいと12月に会った時に伝えたものの、やんわりと断られ
それなら、せめて成田空港までは、とようやく受け入れられ────
1次予選の演奏が終わり、インタビュー画面に切り替わる
4日間の1次予選
2日目の演奏順となったユウキは、予備予選に通過した3人の日本人参加者の中で
ダークホースと言えるだろう
初めての国際コンクール参戦
そして、世界的指揮者の息子
インタビュアーがユウキの名前を読み上げ、
演奏が終わってまだ興奮冷めやらないユウキが画面に映し出された
「初めての国際コンクールとお聞きしましたが?」
「ええ…師匠から、さまざまな経験がピアニストに必要だと勧められて
参加しました」
英語でのインタビューにも臆せず対応するユウキに
やはり帰国子女なのだな、と思う
「エチュード課題曲は、ドビュッシーの半音階のために、を選ばれましたね?」
「半音階の響きが好きなのです
よいホールで、気持ちよく演奏することができました」
「素晴らしい響きでしたよ
ライブで聴いている人々もきっと満足したことでしょう」
楽屋近くでのインタビューなのだろう
ザワザワとした周囲の雑音や、背後を通り過ぎる人々の姿が映り込む
………!!
瞬間、ピアノの置かれている楽屋に入っていく後ろ姿に愕然とする
あれは……あの後ろ姿は間違いない
────アサヒさんだ
タブレットの画面に映るユウキの姿に胸が躍る
本音を言えば、こんなに悩ましい顔をアップで映し出して欲しくない
そういう表情は、自分だけのものにしたいといつも思っているのに…
それでも、すべてを払拭するくらいの演奏だった
第1次予選のライブ演奏を、インターネットで聴く
緊張したような表情で舞台に現れたユウキを見て
断られたとは言え、やはり同行すべきだったと思いながらも
愛おしい彼が、彼の描く世界を存分と表現できるよう
まさに手に汗を握りながら、祈りながら聴いていた
遠く離れている距離も相まって、寂しさも倍増するが
すべてを自分の手の内に入れたいわけではない
本人は否定したいだろうが、圧倒的な芸術的才能を受け継いだ彼の実力はこれからますます発揮されていくだろう
ショパンのスケルツォ1番は、国内で行われたコンクールで演奏したことがある曲だ
あれからブラッシュアップされていることはよく分かった
12月後半から大学も休みに入り、すべての時間をピアノにかけていた
年末年始、そして冬休み明けは大学の講義は欠席して練習に集中し、そのままの状態で成田空港からイタリアに飛び立った
最後に会ったのは5日前
成田空港だった
イタリア語はあんまり得意じゃないんだよね、と楽譜を見ながら笑うユウキの顔
着いていきたいと12月に会った時に伝えたものの、やんわりと断られ
それなら、せめて成田空港までは、とようやく受け入れられ────
1次予選の演奏が終わり、インタビュー画面に切り替わる
4日間の1次予選
2日目の演奏順となったユウキは、予備予選に通過した3人の日本人参加者の中で
ダークホースと言えるだろう
初めての国際コンクール参戦
そして、世界的指揮者の息子
インタビュアーがユウキの名前を読み上げ、
演奏が終わってまだ興奮冷めやらないユウキが画面に映し出された
「初めての国際コンクールとお聞きしましたが?」
「ええ…師匠から、さまざまな経験がピアニストに必要だと勧められて
参加しました」
英語でのインタビューにも臆せず対応するユウキに
やはり帰国子女なのだな、と思う
「エチュード課題曲は、ドビュッシーの半音階のために、を選ばれましたね?」
「半音階の響きが好きなのです
よいホールで、気持ちよく演奏することができました」
「素晴らしい響きでしたよ
ライブで聴いている人々もきっと満足したことでしょう」
楽屋近くでのインタビューなのだろう
ザワザワとした周囲の雑音や、背後を通り過ぎる人々の姿が映り込む
………!!
瞬間、ピアノの置かれている楽屋に入っていく後ろ姿に愕然とする
あれは……あの後ろ姿は間違いない
────アサヒさんだ
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