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第6章 コンクール
第4話 第1次予選 4 ユウキ(受け)視点
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※エロなし
第1次予選が開始される前日、予備予選に通過した予備予選からの通過者61名が集まり、抽選会が行なわれた
実際に通過したのは64名だったものの棄権が3名いて、その中で日本人参加者は俺を含めて3名
他の2名はよく国際コンクールに出る面々だったが、すでにアメリカとドイツの音楽院に留学していて
俺との距離は遠い
国籍が一緒、というだけで20代後半で名前は知っているけど繋がりはなかった
とはいえ、同じ日本人として声は掛けておいた方がいいんだろうな────
抽選を終え、退出するタイミングで二人の元に行こうとすると
思わぬ人と出くわした
「…アサヒくん…」
2人が抽選会会場から出てくるのを待っていたのだろうか
ドアの所で話をしている
「あ、彼がユウキくんだよね?
アサヒくんと同門だっけ?」
俺の気配に気づいた一人が振り返り、話しかけてくる
「はい、直接お会いするのは初めてでしょうか
国際コンクールは初めてなもので…
どうぞよろしくお願いします」
年齢的にも5歳以上離れている
アサヒよりも、2人は年上だったように記憶していた
「すごいね、ユウキくん
20歳でこのコンクールの予備予選に通過するなんて…
さすが世界的指揮者の息子さんだ」
もう一人が満面の笑みで話しかけてくる
…皮肉のように聞こえるのは、俺の心がひん曲がっているからだろうか
「ユウキは僕と同門なんでですよ
何か困ったことがあったら、教えてやってください」
にこやかに笑うアサヒくんは、どうやら二人と顔見知りのようだ
「いや、アサヒくんがいるなら僕たちなんて何の役にも立たないんじゃないかな
何しろアサヒくんは前回大会の入賞者なんだから
このコンクールのことはよく分かってるんだろ?」
「…まぁそうですね
師匠から聞いて、ユウキが心配で駆け付けたんですよ
やっぱり、初めての国際コンクールは不安もあるでしょうから…
今度お会いするのは1次予選の発表のときでしょうか
みんなで笑顔でお会いしましょう」
余裕の笑顔を見せるアサヒくんは、そう言いながら俺の背中に手をやり押してくる
「行こう、ユウキ」
────先生から、俺がこのコンクールに参加することを聞いていたのか…
それほど不思議なことでもないけど
「はい、それでは失礼します」
二人に会釈をしてその場をまずは離れる
足早に二人で歩きながら、微妙な空気が流れ、上目遣いで彼を睨む
「…ちょっと…」
背中に触れる彼の手が、腰に降りてきていたからだ
「ファイナルまで予定は空けてあるからね」
「は?」
思いもよらないアサヒくんの言葉に、ふと足が止まりかける
「まず音楽院へ向かおう
練習室の予約、なるべく早い方がいい
時間は決められているけど、早いもの勝ちだったはずだから」
「………」
抽選会のあとは、一度ホテルに戻って落ち着いてから音楽院へ向かう予定だった
アサヒくんのアドバイスは、コンクールの内幕を知っているからこその的確なものだ
「分かった…」
俺は黙って、アサヒくんと音楽院へ向かうしかなかった
第1次予選が開始される前日、予備予選に通過した予備予選からの通過者61名が集まり、抽選会が行なわれた
実際に通過したのは64名だったものの棄権が3名いて、その中で日本人参加者は俺を含めて3名
他の2名はよく国際コンクールに出る面々だったが、すでにアメリカとドイツの音楽院に留学していて
俺との距離は遠い
国籍が一緒、というだけで20代後半で名前は知っているけど繋がりはなかった
とはいえ、同じ日本人として声は掛けておいた方がいいんだろうな────
抽選を終え、退出するタイミングで二人の元に行こうとすると
思わぬ人と出くわした
「…アサヒくん…」
2人が抽選会会場から出てくるのを待っていたのだろうか
ドアの所で話をしている
「あ、彼がユウキくんだよね?
アサヒくんと同門だっけ?」
俺の気配に気づいた一人が振り返り、話しかけてくる
「はい、直接お会いするのは初めてでしょうか
国際コンクールは初めてなもので…
どうぞよろしくお願いします」
年齢的にも5歳以上離れている
アサヒよりも、2人は年上だったように記憶していた
「すごいね、ユウキくん
20歳でこのコンクールの予備予選に通過するなんて…
さすが世界的指揮者の息子さんだ」
もう一人が満面の笑みで話しかけてくる
…皮肉のように聞こえるのは、俺の心がひん曲がっているからだろうか
「ユウキは僕と同門なんでですよ
何か困ったことがあったら、教えてやってください」
にこやかに笑うアサヒくんは、どうやら二人と顔見知りのようだ
「いや、アサヒくんがいるなら僕たちなんて何の役にも立たないんじゃないかな
何しろアサヒくんは前回大会の入賞者なんだから
このコンクールのことはよく分かってるんだろ?」
「…まぁそうですね
師匠から聞いて、ユウキが心配で駆け付けたんですよ
やっぱり、初めての国際コンクールは不安もあるでしょうから…
今度お会いするのは1次予選の発表のときでしょうか
みんなで笑顔でお会いしましょう」
余裕の笑顔を見せるアサヒくんは、そう言いながら俺の背中に手をやり押してくる
「行こう、ユウキ」
────先生から、俺がこのコンクールに参加することを聞いていたのか…
それほど不思議なことでもないけど
「はい、それでは失礼します」
二人に会釈をしてその場をまずは離れる
足早に二人で歩きながら、微妙な空気が流れ、上目遣いで彼を睨む
「…ちょっと…」
背中に触れる彼の手が、腰に降りてきていたからだ
「ファイナルまで予定は空けてあるからね」
「は?」
思いもよらないアサヒくんの言葉に、ふと足が止まりかける
「まず音楽院へ向かおう
練習室の予約、なるべく早い方がいい
時間は決められているけど、早いもの勝ちだったはずだから」
「………」
抽選会のあとは、一度ホテルに戻って落ち着いてから音楽院へ向かう予定だった
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「分かった…」
俺は黙って、アサヒくんと音楽院へ向かうしかなかった
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