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第一章 出会い編
閑話 side:ルード〜未知との遭遇①〜
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※今回ルード視点で閑話として何話かに刻みます。
(第3話~第6話の時点)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『『迷った(な)』』
俺の名はベルナード。フルネームはベルナード・イグニス・カロル・カリスティリアというのだが、まぁ長ったらしく面倒臭いことこの上ないので護衛役や近しい者にはルードと呼ばせている。
名前から解るものもいるだろうがカリス帝国の皇帝なんぞをやっている。そんな俺は現在、トライアド王国の領地視察巡り中、次の領地に移動する際に近道をしようとして入った境界を跨ぐように広がる森の中で。
護衛のガド(このおっさんの名もガルディアス・デル・ゴードンというのだが、同じく長いので以下略)とともに二人で仲良く、絶賛迷子中なのである。
しかも何がやるせないかと言えば…
『だぁから言ったじゃねぇかこのクソガキ帝が!!面倒くさかろうが何だろうが、検問の接待が嫌だろうが!知りもしない森に近道目的で安易に入って迷う皇帝が何処にいる!?』
『…此処にいるが何か。あとどこに誰の耳があるかわからんから皇帝呼びはよせと言ってるだろうガド。ルードだルード』
『~~~っっ(何年皇帝やってんだこのクソガキ)!誰のせいで焦ってると思ってやがるこの野郎!!?本当だったらもうとっくにに入領してる頃合いだろうがっ。』
きっと身代わり立てて検問から正式に入った#護衛達__ヤツラ_#領内の街のどこにも居なくて大慌てだぞ!??との年上の部下からのとお小言にそんなことは言われんでもわかってると悪態をつきつつも、同時にこの状況を作り出したのが他ならぬ自分自身であることも又、わかり切っていることが、なのだ。
にしても、だ。
『…ったくルードよぉ。一体全体この森どうなってやがる?』
『……ああ。』
ー そう。
ただの、林が広がって出来上がった森程度ならばかつてより遠征や森での野営に慣れている俺たちが迷うはずがないのだ。
真っすぐに突っ切ろうとしても駄目。
印を木の幹に刻みながら少しずつ進もうにも、印をつけて前を向き、直ぐに振り返ると何故か印が無くなっている為これも駄目。
自棄になって闇雲に進もうと駆け出そうとすれば、四方八方から獰猛な獣の気配と唸り声が聞こえ、そのくせその獣達の実体を一度も見ていないのだ。
(……もうどうしろと……?)
一体此処はなんだ?
果たして自分達は無事にこの森を…、いやそもそも生きて祖国へ帰れるのだろうか。
この初めての奇妙で、不気味で、終わりの見えない樹々の迷宮に。
自国で“冷酷皇帝”だの“鋼の神経の男”だのと図太い人間代表のように言われ続けている俺や同種の図太さをもっている筈のガドですら焦りとある種の不安を滲ませ始めた、そんな頃だった。
『『!!!』』
微かに。
本当に微かに、水の音を二人の耳が捉えたのは。
(第3話~第6話の時点)
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『『迷った(な)』』
俺の名はベルナード。フルネームはベルナード・イグニス・カロル・カリスティリアというのだが、まぁ長ったらしく面倒臭いことこの上ないので護衛役や近しい者にはルードと呼ばせている。
名前から解るものもいるだろうがカリス帝国の皇帝なんぞをやっている。そんな俺は現在、トライアド王国の領地視察巡り中、次の領地に移動する際に近道をしようとして入った境界を跨ぐように広がる森の中で。
護衛のガド(このおっさんの名もガルディアス・デル・ゴードンというのだが、同じく長いので以下略)とともに二人で仲良く、絶賛迷子中なのである。
しかも何がやるせないかと言えば…
『だぁから言ったじゃねぇかこのクソガキ帝が!!面倒くさかろうが何だろうが、検問の接待が嫌だろうが!知りもしない森に近道目的で安易に入って迷う皇帝が何処にいる!?』
『…此処にいるが何か。あとどこに誰の耳があるかわからんから皇帝呼びはよせと言ってるだろうガド。ルードだルード』
『~~~っっ(何年皇帝やってんだこのクソガキ)!誰のせいで焦ってると思ってやがるこの野郎!!?本当だったらもうとっくにに入領してる頃合いだろうがっ。』
きっと身代わり立てて検問から正式に入った#護衛達__ヤツラ_#領内の街のどこにも居なくて大慌てだぞ!??との年上の部下からのとお小言にそんなことは言われんでもわかってると悪態をつきつつも、同時にこの状況を作り出したのが他ならぬ自分自身であることも又、わかり切っていることが、なのだ。
にしても、だ。
『…ったくルードよぉ。一体全体この森どうなってやがる?』
『……ああ。』
ー そう。
ただの、林が広がって出来上がった森程度ならばかつてより遠征や森での野営に慣れている俺たちが迷うはずがないのだ。
真っすぐに突っ切ろうとしても駄目。
印を木の幹に刻みながら少しずつ進もうにも、印をつけて前を向き、直ぐに振り返ると何故か印が無くなっている為これも駄目。
自棄になって闇雲に進もうと駆け出そうとすれば、四方八方から獰猛な獣の気配と唸り声が聞こえ、そのくせその獣達の実体を一度も見ていないのだ。
(……もうどうしろと……?)
一体此処はなんだ?
果たして自分達は無事にこの森を…、いやそもそも生きて祖国へ帰れるのだろうか。
この初めての奇妙で、不気味で、終わりの見えない樹々の迷宮に。
自国で“冷酷皇帝”だの“鋼の神経の男”だのと図太い人間代表のように言われ続けている俺や同種の図太さをもっている筈のガドですら焦りとある種の不安を滲ませ始めた、そんな頃だった。
『『!!!』』
微かに。
本当に微かに、水の音を二人の耳が捉えたのは。
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