出涸らし令嬢は今日も生きる!

帆田 久

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第一章  出会い編

第38話  父と娘 皇帝と王と騎士団長②

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side:ルード




「つまりは何か?そのケインとやらは既にこの王都に入っており尚且つ宰相と娘の…シェイラ嬢、だったか。彼女にも何かしら害を与える可能性が高いと。
そういう事ですかな、ベルナード殿?」

「…ああ。王都からこちら(城)に向かう途中シェイラが目撃してな。
数年見ていなかったが間違いなく本人だった彼女はと断言している。今はこちらの手の者に見張らせているが、少なくともを挿し替えがてら屋敷から姿を消した彼女を探し出そうとするやもしれん」

「(うわ、なんつーか徹底して犯罪臭漂わせてんなそいつ。)
トリアドス王、なんとか入城制限の方は目処が立ったのですか」

「それについてはどの道『大夜会』まで1週間ほどに迫った今、城へと滞在する各国の王族方の警備強化の為、通常よりかなり厳しいチェック体制を敷いている。
予め滞在予定に上がっている人間以外は全て弾かれると思ってくれて良いが、あくまで『大夜会』終了までだな」

「ならば一先ずは接触の危険性は減ったな。まだこの段階で奴に宰相の洗脳が解けていることを知られるのは得策ではないからな」


俺が影を使って集めた情報を簡単に説明したあと、先んじてガドと話し合っていたトリアドス王のについて話し。
具体的な処置の方向性を互いに認識・決定したところで話はシェイラとその父親に移った。


「トリアドス王。
俺は彼女……シェイラ・レイランドルフを今回の『大夜会』のとして連れてきている」

「!!…左様でしたか。では、改めて部屋を用意」

「それについてはこちらでなんとかするので。ついては彼女の大夜会用の衣装や着替えなどを調達したいので王家お抱えの職人や宝石商などを秘密裏に呼び寄せてくれないか」

「それについては承知した。すぐに手配をしておく。
それで……その前に、なんだがな、ベルナード殿」

「ん?何だトリアドス王」

「彼女を父親に、会わせてやってはくれまいか」

「……ほう。ロイド・レイランドルフを、か?
9年もの間娘を放っておきながら今更会いたいとは随分と虫の良い話に聞こえるが。
あまつさえ例の花のせいでおかしくなっていたのだろう?
……彼女に危害を加えないとも言い切れない人物を例え実の父親といえど、俺が会わせるなどと言うと思うのか」

「それは」

「……っだぁ~、もう!だからアレの影響は俺が既に取り除いたって報告したでしょうが!?
それに9年云々はが原因なんだから致し方ない事だと!」

「だとしてもだ、俺に。
彼女をここまで連れてきたこの俺本人の面前で、己の口から会わせて欲しいとも言えん男に会わせてやる義理はない」


(そもそも母親が死んで心細いであろう一人娘を屋敷に残して一人だけ王都しごとに逃げておいて、俺から言わせて貰えば何を今更、だがな)

更に続けようとした俺の言葉は、新しく姿を見せた第三の人物の言葉によって紡がれる事なく終わった。


小部屋の更に奥、目立たないよう作られた扉から入室してきた赤髪の男によって。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


※ちょっと長くなったので一度切ります!
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