出涸らし令嬢は今日も生きる!

帆田 久

文字の大きさ
111 / 161
第二章  帝国編

第19話  交流会①〜自信過剰気味な二人(1)〜

しおりを挟む
※いよいよ交流会編始まります!!
何話かに分かれますが、お楽しみに(*'▽'*)

シェイラ→カサンドラ視点
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



秘密(?)の話し合いからおよそ1週間。
いよいよその日がやってきた。

正皇妃の名で集められたルードの婚約者選定に残った五人との交流会。
今日がその当日である。


白磁宮内の小ホールを使って開催されるこの交流会へ、
参加をするのは全部で七人。


カサンドラ・クラン・レーギル公爵令嬢
レミル・ロド・ラクレス男爵令嬢
ニーナ・ヨークデン
ウリミヤ・ジョルダン
セルレーン・クロム・ヴィーダ伯爵令嬢
皇帝のルードこと、ベルナード・イグニス・カロル・カリスティリア

そして私ー…シェイラ・レイランドルフを含めた七人。


今日は、大夜会のようにルードと一緒に会場入りはしない。
会が昼間ということもあるが、
一応という体での集まりのため、ルードは最後に一人で。
その他の令嬢はその前に入場しなければならない。
もしも入場から差別したとなれば、
交流会の意義をたがう事にもなるからだ。


ルードの居室を出て、侍女のモリーを伴って会場へと向かう。
その際モリーにもしも少しでも身の危険を感じたなら
迷わずルードを盾にしろと言われて、苦笑を漏らしてしまったが。
きっと自分の緊張を和らげる為に言ってくれたのだと思う事にした。


会場の扉の前には騎士が二人、門番代わりに立っていた。
最初、見慣れないシェイラのことを怪訝な眼差しでみていたが、
その少し手前を歩くモリーを見た瞬間額に大量の汗を光らせながら
ビシィ!!と姿勢を正したのを目にして、

(……そんなに怖いのかしら、モリーが)
一瞬そんな感想が湧いてしまったのは仕方がないだろう。
心なしか……いや、かなり顔色が蒼褪めて見えたが……

……見なかった事にしよう。




斯くして騎士達の手で開かれた扉の先、
交流会の会場である小ホールへとシェイラは会場へと足を踏み入れたのだった。



………………………………………………………………………………



side:カサンドラ


(誰……あの娘)


誰よりも早く会場入りしていた私は、
他の令嬢達の身なりをチェックしながら
自分より目立ちそうな人間はいないか確認をしていた。
尤も。
胸元と背中が大胆に開いた真紅のドレスを着込み、
身体のラインを惜しげもなく表した魅力溢れる自分の装いに
勝てる人間はいないと分かってはいたが。

小煩いレミルは趣味の悪いリボンとフリルだらけのピンクドレスで
まるで話にならないし、多少マシだといえ貴族でない二人は論外。
残る一人は深緑の地味なドレスで顔も平凡、まるで良いところがない。
内心勝った!とガッツポーズを上げていたのに。
扉が開いて、いよいよ陛下のご登場!と意気込んでいた自分の出鼻を挫いた者がいた。

入ってきた人物を視界に捉えて眉を顰めた。
その人物は、またもや女。
一人は格好からして侍女だから問題ないにしても、もう一人は明らかに違う。
地味なクリームイエローの露出の少ないドレスを着込んでいるが、
瞳も左右に違う色を宿していて、目立つことこの上ない。
そして何より気に入らないのは、目にも鮮やかなー…髪。
この交流会の参加者であることは間違いないようだが……

(私とかぶるじゃないの……!)

一際鮮やかな赤いドレスを選びに選んで着てきたというのに、
あの女のせいで台無しだわ!と爪を噛む。

(…まさかが、皇帝陛下直々に白磁宮へ連れ込んだっていう…)

後宮でも目にしたことのない女の出現に苛立った私は、
先程衣装を鼻で笑ったレミルがこちらに視線を送っていることに気付く。
よくよく見つめ返せば入場したてのその女を顎で示して下品に口角を上げていた。

(成程……一時休戦というわけね)
どうやらレミルもあの女が気に入らないようだ。
まずはあの女を婚約者候補から外そうと考えたに違いない。
奇遇なことに、私もあの女は気に入らない。
今の今まで後宮に姿をみせたこともないくせに、
図々しくもいきなり皇帝陛下の側に侍ろうだなんて…許せない。

がなみなみと注がれたグラスを手に
女に近づいていくレミルの意図に気付き、知らず、口元が緩む。
自身も歩みを進めながら、
表面上は余裕のある笑みを顔に貼り付けて女を見据える。


(この場にのうのうと居座るだなんて絶対に認めない……。
あんたなんて、になってさっさと退場すればいいのよ!!)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

※次回更新は22時頃です!
しおりを挟む
感想 608

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。 自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。 彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。 そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。 大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…

今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました

四折 柊
恋愛
 子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

笑い方を忘れた令嬢

Blue
恋愛
 お母様が天国へと旅立ってから10年の月日が流れた。大好きなお父様と二人で過ごす日々に突然終止符が打たれる。突然やって来た新しい家族。病で倒れてしまったお父様。私を嫌な目つきで見てくる伯父様。どうしたらいいの?誰か、助けて。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ

・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。 アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。 『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』 そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。 傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。 アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。 捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。 --注意-- こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。 一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。 二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪ ※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。 ※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。

【完結】見返りは、当然求めますわ

楽歩
恋愛
王太子クリストファーが突然告げた言葉に、緊張が走る王太子の私室。 この国では、王太子が10歳の時に婚約者が二人選ばれ、そのうちの一人が正妃に、もう一人が側妃に決められるという時代錯誤の古いしきたりがある。その伝統に従い、10歳の頃から正妃候補として選ばれたエルミーヌとシャルロットは、互いに成長を支え合いながらも、その座を争ってきた。しかしーー 「私の正妃は、アンナに決めたんだ。だから、これからは君たちに側妃の座を争ってほしい」 微笑ながら見つめ合う王太子と子爵令嬢。 正妃が正式に決定される半年を前に、二人の努力が無視されるかのようなその言葉に、驚きと戸惑いが広がる。 ※誤字脱字、勉強不足、名前間違い、ご都合主義などなど、どうか温かい目で(o_ _)o))

処理中です...