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第二章  帝国編

第48話  帰還後の甘すぎる朝

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※短いです。

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『シェイラ…』

『う………ん、?』


重たい瞼を薄ら持ち上げると朝日が差し込んできて、眩しさに目を細める。
疲れもあってかどうやら昨夜はぐっすりと熟睡してしまったようだ。
未だ去らぬ眠気に微睡んでいると、すぐ近くで自分の名を呼ぶ声が聞こえる。
適度に低く響くその声に心地良さから自然と口元を緩ませていると、
途端その声が笑いを含んだものへと変化する。


『シェイラ、シェーイラ……こら、寝坊助め。
起きないと悪戯するぞ?』

『ぅ……い、たず、ら……?
…………。
……………!!?』


頬を突かれ意識が徐々に覚醒していく中で段々鮮明になっていった視界一杯に、
銀髪の麗人の顔があることに一瞬無言で見つめた後急激に覚醒した。
今にもキスをされそうな至近距離でルードが己を覗き込んでいる事実に、
何故こんな状況!?とあたふたと慌ててしまう。
真っ赤になりながら慌てる様が余程面白いのか、
くくく……と含み笑って彼は悪ノリを続ける。

『まぁ然程寝坊というわけでもないのだが…一緒に朝食を取ろうと思ってな。
それともモリーが来るまで俺と二人、ベッドの中でごろごろしてみるか、ん?』

『い、いいいえけっ、結構ですッッ!!
すぐに起きますのであの!!』


どうか離れて欲しいのだが、と告げてもルードは一向に離れようとしない。
どころか更に顔を寄せてくる。
折角起きたというのに、すでにある種の瀕死状態に陥りあうあうと口を無意味に開閉する。


『どこかの誰かさんが心配ばかりかけてくれるんでなぁ。
昨日も夜遅くまで後処理に奔走したことだし、これはご褒美を貰って然るべきだと思うんだが』

『ごごご、ご褒美、ですか?』

『そう。シェイラからの、心のこもったご褒美だ。
今ならキス一つで手を打とう』

『キキキキス…!?』

『…なんだ、嫌なのか?』

『いえあのそういうわけではっ!』

『良かった!なら心おきなく出来るよな』

『うう………』


はいどうぞ!と目を閉じたルードにどうしたら…と視線を泳がせてみたものの、キスをしない限り今日はベッドから出してはもらえない気がしてきて、ただでさえ赤い顔を熟れきったトマト程に染めて顔を口を寄せていった。

(か、軽く!軽くちゅ……でいいですわよね?)

ん、と差し出された口元へ軽くちゅ、と口付けると、
羞恥で悶えながらチラチラと彼を伺いみる。
以前彼は目を閉じたまま。


『あ、あの、これでいいでっ…んむッッ!?』


身体ごと離れようとした瞬間、小さく“足りん”と呟いたルードにグイッと引き寄せられて唇を塞がれる。
食らいつくような激しさに息が上手く出来ず、んんと小さく呻きながら口を薄く開くと途端ににゅる…と濡れた感触が口内へ侵入してきた。
それが彼の舌だと気付いた時には口内を余すことなく舐められ自身の舌を絡めとられて、声が漏れるのを止められない。


『んむっ…ふ…ぅ……ん、んっ』


クチュクチュと濡れた音が響く。
じ……んと身体の奥が発熱する感覚に酷く戸惑い、目尻に涙がたまる。
背中に添えられた手が動き、中心線を服の上からつつー…となぞられ、

『ひぁ……っ!』

思わず口付けが離れて声をあげてしまう。
はぁ……と熱い吐息を吐いたルードが同じく熱の籠もった眼差しでシェイラを射抜く。


『シェイラ……もう一度』

『も…もう致しましたでしょう?!』

『一度とは言っていない』

『ふぁ!っやぁっ…ルー…ド…!!』


再び背中を撫であげられ悶える私を愛おしそうに見つめるルード。
深蒼の瞳を潤ませて可愛い…と呟く彼は艶めかしい色気を放っていて酷くシェイラの心音を乱す。


『もっとだ…シェイラ。お前がいなかった時間の分だけ、もっと俺に褒美をくれ』

『~~~っっ!!』


ー…どうやらこの日は当分ベッドから出られないようだー…。

誘拐後、帰還を果たしたシェイラの翌日のこの朝は
ルードへの“ご褒美”の為に大変甘いものとなったのだった。


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※次回はシリアス(?)な本編に戻ります!
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