創煙師

帆田 久

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第1章

第13話  酒盛り→尋問→緊急事態?

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「やれやれ。何故こんなに訪問客が多いのでしょうか?
解せません」

「「文句なら楼主に言(え)ってくれよ?」」

「あの人ほんと自由ですね!?」


楼一番の大広間で、何が悲しくて夜な夜な男3人、雁首揃えて酒盛りをしなければならないんですかと項垂れる紫円。
柳はそれにかかっと楽しげに笑い
清はそんな柳を邪魔くさそうに睨む。

「そもそも邪魔者はお前1人だ柳。
人の話を盗み聞きしただけでなく妨害とは……“赤狼”が聞いて呆れる」

「いうじゃねぇの用心棒の
年上は礼を尽くして立てるもんだぞ?
まぁ人の目を見て話せん坊やに言っても馬の耳に念仏もいいところかも知れんが」

「腐れ役人」

「童貞坊や」

「あ?」

「ああ?」

「あの、私関係無いんで喧嘩なら外でやってくれます?
そうすれば私も快く就寝出来るのですが」

「「それは駄目だそして喧嘩などしていない」」

やんのか?お?と剣呑な空気を作り出した2人に
とっとと退出を促してみたものの即座に却下されて再度項垂れる紫円。

そして揃いも揃って皆杯を手にしている。
話し合いというより、完全に酒盛りの体である。

「まぁ別に良いですが。
柳さん?と仰いましたか。
貴方は何故ここに?」

「ん?
俺は元々楼主に用があってな。
だが情報に聡いここの楼主は何故か異様に就寝時間に厳しい。
お前さんの存在を示してとっとと退散してしまったんで仕方なくこちらに来たが…存外に面白そうな話をしていたんでな」

「それで盗み聞きか。
人としてどうかと思うぞ、そういうところ」

「まだ言うか坊や」

「はいはい、清さんもどうどう。
で、貴方は何を知りたいので?」

毛を逆立てる猫が如く柳を邪魔者扱いし続ける清を宥めて問えば、
そうだなぁ、と柳が独りごちる。


「さっきの話にも大いに惹かれるがね…まずは。
あんた、紫円っていったか。
今日山で、ここの働き手と会ってやってきたらしいが。
その際他にと会わなかったか?」


探る眼差しにやっと彼の聞きたいことを察し、

「ああもしかしてあの山賊っぽい人達ですか!!
彼らがどうかしたのですか?」

と山賊と遭遇したことをあっさり認めた。
あまりにも呆気なく認められた為に一瞬瞠目した柳だが、
すぐに気を取り直して聞き返す。

「つまり彼らと“話をした”と?」

「話、ねぇ……」

そう言って言葉を切ると、にこりと柳に笑いかける。


「はっきり、
と聞いたらどうです?」

「!!」


邪気のない顔で、そう宣った。


※  ※  ※


「……あの、非常識極まるを創り出した元凶が自分だと。
随分とあっさり認めるんだな」

「待て。
一体全体貴様は何の話をしている?」

先とは打って変わって険しく目を細める柳に、
事情を飲み込めない清が怪訝な面持ちで問う。
視線を紫円に固定したままうっそりと笑い、
赤狼が巡回中、山中で見つけた動かぬ彫像と化した山賊の成れの果ての話を掻い摘んで説明した。

話を聞いた清は、結界の件といい得たいの知れなさを感じて思わず紫円を凝視する。

そのあからさまな視線にさしもの紫円も苦笑を禁じ得ないが、
話を聞くに然もありなんかと諦める。

「「お前(貴様)一体何者だ」」

「そこで声を揃えますか。
仲が良いやら悪いやら…」


そう呟いた紫円はふと何かに気付いたように突然あらぬ方向に顔を向けた。

「………へぇ…」

「「?」」

何かを見極めるようにじっと虚空に視線を漂わせた後、
興味深そうにニィ…と人の悪い笑みを口元に浮かべた。


「……おい、今更誤魔化そうとしているなら」

「柳さん、清さん。
お二人ともそれぞれお一人でこちらに?」

容赦しないぞと続けようとして唐突に意味不明な問いを投げかけられ、言い淀む。

「……ああ、部下は例の山賊の回収人員として山中に置いてきた」

「……俺はいつも1人で行動している」

「そう、ですか。ふむ………」

確認に肯定を得た紫円はふむふむと何かに納得する素振りをすると、
本当にお客様の多い日ですねぇと呟き笑った。


「どうやら宿舎、楼の働き手達の部屋に何者かが侵入したようですねぇ。
1人拐われました」

「「っはぁ!?」」


何でもないことのように、優男は非常識なことを突拍子もなく言ってのけた。
室内を照らす行燈の灯りが、優男の端正な顔を殊更不気味に照らしていた。


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※久々の更新につき、2話アップでお送りしました!
次回も気長にお待ちください~♪
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