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その3
しおりを挟む宇佐 義弘 27歳。
現在、同期の見てはならない買い物を目撃してしまい、危機に瀕しております。
え、誰に言ってるのかって?やけくそだよこんちくしょう!!
てかこの件前にもやった気がするっっ!
……どうしてこうなった。
都市部の渋滞もなんのその。
あっさりと辿り着いたマンションの、その上層階にある大神の部屋にあっという間の速さで連れ込まれ、広々としたリビングの木目調なテーブルへと自分の戦利品を放られ。
ベッドルームを突っ切った先にある脱衣場にて衣服を剥ぎ取られようとした段になってようやく慌てはじめた僕は
「家飲みに誘われたんじゃないのか!?
えとっ、えと、は、話したりとか・・!」
と無理があると薄々気付きつつも言い募って
服を必死で抑えながら大神を見上げてへらりと笑ってみせたものの。
自分の言葉と抵抗を意にも介さず、今や獲物を狙う目で自分を凝視する男はくぐもった笑いを漏らして口角を上げた。
「だから話すんだろう?身体で」
「いやいやいや何言ってんの何言っちゃってるの!?
ボディランゲージって外国人じゃないよ僕ぁ!」
「んなことはわかってる、同期だからな。
そっちこそあんな時間にあのコンビニにいるとか…。
まぁ戦利品も見られたしあんなこと言うくらいだ。
俺が現在どんな状態なのか…わかってんだろう?」
「わ、わかりませんわかりませんわかりたくな…ちょっー!」
「全くもってレジ前のお前の推理は的中だおめでとう名探偵くん。
俺はここ3週間出張続きで絶賛欲求不満中、なんなら暴発寸前だ。
てな訳でそんな俺の状況をあの一瞬で見抜いてくれたうさぎ君には発言の責任をとってもらいます。
はぁ…や・ら・せ・ろ」
「い、ぃいやぁぁぁぁ…!!」
いうや、あっという間に下着以外を全て脱がされた僕はバスルームへと連行された。
※ ※ ※
シャアアアアアアアあぁぁ・・・
「うわっぷ!うぅ…」
あっという間に濡れ鼠になった僕。
唯一脱いでいなかった下着までぐっしょりとシャワーの生温かい湯が染み込み、
うん、地味に気持ちが悪い。
強引にバスルームに連行してシャワーを頭からぶっかけてくれた元凶といえば服すら脱いでおらず、綺麗なタイル状の壁面に備え付けられたパネルを操作していつの間にやら広い浴槽に湯まで溜めている。
「?何を睨んでいる」
「どの口が言って…てか何この状況」
「だからヤる前に入浴は基本エチケットだろ。
んん、それとも風呂に入らない方が燃えるタチなのかうさぎは?」
「っはぁ!?そんなわけな…って、さっきからそのうさぎ呼び、何?
やめて欲しいんだけど」
「だって経理の連中みんなそう呼んでんぞ。
ウサギちゃんとかうさちゃん先輩とか。ちゃん呼びしないだけマシだと思え」
「くそっあの人ら…!と、とにかく。
僕には宇佐 義弘って立派な名前があんの!ー…て、話逸れてるし!
ヤらせろって、せ、セックスてことだよな…?」
「それ以外何があると?」
「だからさぁー、何故に僕?
そりゃあ勝手に戦利品覗いたのもレジ前で余計なこと言っちゃったのも悪かったけど僕男だし!」
「ああ知ってる」
「大神ってモテるじゃん!」
「それも否定しないな」
「(くっムカつく)だ、だったらわざわざ男の僕なんて相手に選ばなくても!
それに元々だれか相手が」
「いねぇ」
「は?」
「だから決まった相手なんぞいない。
確かに溜まってたからな、繁華街の適当な店で飲んで適当な相手でも引っ掛けようとは思ってたしだからこそあんな物をあんな場所で調達してたんだが…うさぎに会って気が変わった」
「…それはそれで最低だな。誰でもいいってことかよ?
そんなの女性に失礼」
「俺はゲイだ…」
「え、は?」
「だから。俺は、ゲイだ。
因みに女は仕事上以外のプライベートではできるだけ絡みたくないほど嫌いだ」
『ピィ~!お湯が溜まりました!適温です!』
とのちょっとばかし間の抜けた機械の音声とほぼ同時、中々衝撃的なカミングアウトを聞いてしまった。
数瞬間思考停止して硬直してしまっていた僕は、いつの間にやら脱衣を済ませていた大神に抱えられて間抜けにもあっさりと湯船に身体を沈められた。…お姫様抱っこで。
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