39 / 137
ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第10話 カッコいいから好きなんじゃなくて、好きだからカッコいいんだよ。
しおりを挟む
練兵場での模擬戦と言う名の、魔導師にとっては地獄を味わうような闘いが終わった。
そしてその結果、俺は魔女さんの権限により板状一致でS級冒険者の資格まで付与されてしまったのである。
「しかし、君の地位にふさわしくなるように鍛え上げた上でS級資格を…。と思っていたのにこの結果は予想外だねぇ…。
一応彼らB~A級の腕利き精鋭たちなんだよ?
君が賢者のブレスを外してくるだろう事は予想していたが、それでもこの結果に落ち着いたのは驚きだ。
君の魔剣のマジックキャンセル能力は異常なまでの性能だった。
熱線魔法を放つ為に生成されたレンズも、あの数がなければ全てかき消されていたろうね。」
魔導士達も俺たちの最強の切り札を出さざるをえなくなるとは…とうなだれている。
「さて。そうなると次は君たち二人だね。」
妹ちゃんと戦士ちゃんの肩がビクっと震える。
怯えたような顔で魔女さんの方を見ている。
「君たちが危惧してるように、このままでは間違いなく賢者くんの足手まといになりかねない。故に君たち二人には鍛錬の上、上級冒険者と渡り合えるだけの力を…。」
「待ってくれ。その前に、俺が何も身につけていない状態で、一般的な武器を装備した状態でこの子達と戦わせて欲しい。」
魔女さんはその言葉で全てを理解してくれたようだった。
「良いだろう。改めて試験だ。好きにやりなさい。」
「ありがとう。
2人にはむしろこっちの方を知っておいて欲しい。
何も身につけてない俺の強さを…。」
と言うと2人がさらに怯え出した。
あれれー?おかしいぞー?
あぁ、そうか。
この子達はまだ俺の力がアクセサリーによるものってことを何も知らないんだな…。
「あはは。どうする?説明せずに戦う?」
「そうする。魔導師さんも同行させてほしい。」
「わかったよ。君たち、練兵場の外野で待機していなさい。彼が本当の実力を見せてくれるよ。」
魔導師さんたちも一斉に怯え出す。
「ひぃぃぃ!アレよりもやばいことになるのは勘弁っすよ!?」
「私もいるから何も心配はないよ。
君たちは彼の命にも関わる秘密を知ることにはなるだろうがね…。」
こらこら魔女さん、魔導師達をビビらせるのはやめなさい。
俺は安全を考慮して木刀を装備。
戦士ちゃんも同じく木刀を。
妹ちゃんは魔力をセーブできる練習用の杖を装備した。
「では…。模擬戦開始!」
戦士ちゃんがとんでもない速度で踏み込んで木刀を一振り。
俺はなんとかこれを受け止めるが、その力を受け止めきれず木刀を手放してしまった。
その隙をついて妹ちゃんからの電撃魔法。
俺はそれを派手にくらいそのまま動けなくなった。
「……っ!賢者さん!ふざけないで本気でやって!」
「本気の本気だよ…。
俺は20代後半のおじさんで、運動もろくにしてきてない…。下っ腹もたるんでるようなおっさんだ。身体を鍛えた事はもちろんない。
それに…、俺の強さは全部このアクセサリーが生んだものだ。
ちょっと使ってみて?」
そう言って俺は剣に変化するネックレスを戦士ちゃんに渡す。
「どうすればこれは使えるの?」
「変形させたい刃物を想像して、力を流し込むイメージをしてみて?」
すると、ネックレスはたちまち大剣へと変化した。
「な、なによこれ…。
木の枝のようにすごく軽い…。
しかも振るだけで衝撃波が…。
これが…賢者様の秘密…。」
「そう、強すぎる武器に頼り、その力に振り回されていただけだよ。
俺自身は何も強くない。」
「そんな…。私達を助けてくれた時も?」
「そう、2人にあげたピンブローチというかピアスの力だね。」
2人だけでなく魔導師たちもぽけーっとしている。
「すっ…」
す?
「すっげぇぇぇえっ!なんすかなんすかそのアーティファクト!!俺たちにも触らせてくださいよ!!」
「え、やだ。」
「なんでええええっ!!」
そんなもの決まっている。
「俺は女にモテたくてハンドメイド始めたんだ!!
野郎にくれてやるような作品などない!!」
「理不尽っ!!」
かくして、俺の本当の実力や弱みをみんなに見せつけることが出来たのであった。
「そうなると…そのアーティファクトを奪われたり破壊されると無力になるし、逆にそれがなければDランク冒険者どころかその辺の町民レベルにまで落ちぶれると…。
逆に言えば俺たちが賢者様のアーティファクトを使えば、魔女様にも勝てる!!」
東の魔女様の次元空間消滅魔法が魔導師の耳元めがけて放たれる。
「傲慢が過ぎるね。君たちは私に言わせればまだまだ雑魚だ。無論、賢者くんもね。
弱点は明白だ。体力に、元の戦闘センスに、その他にも色々と課題は多そうだ。
まぁ、その辺はしっかりと鍛えさせてもらうよ。
私は魔術専門だから体力を重点的に鍛え上げさせてもらうことになるかな?
剣術は皇国ギルドの連中に鍛え上げてもらう方が良いだろうかなぁ。彼らは脳筋が多いからね。」
いろいろとお分かり頂けたようでなにより…。
「さてさて、これからのことを色々と考えないとだね。
まぁ、西のギルド連中に見せる私とあの子との模擬戦までにはみっちりと鍛え上げて新たな力も使いこなせるようになってもらうとしよう。
私はとりあえず君が先ほど使ったライトニングクォーツを仕上げたい。
食事をとったら早速私の部屋で仕上げようではないか!必要なものはなんでも用意するよ!
抱き枕代わりの私とか!」
「いや、それは別にいらないんでほんとまじ勘弁してください。」
この魔女さんのお城にも当然ながら大食堂がある。
ここの食堂も魔女さん曰く研究の1つらしい。
『料理も1つの科学であり魔法だからね!
ここで出される料理も1つの研究成果さ!
食材の一部は西の大国から輸入してるんだよ!』
などと言っていた。
「お、おおぉぉおっ!!凄い!さすがお城ご飯!!ギルドの野性味溢れるつまみやすいご飯とは違うね!!
すみません。俺ナイフとフォーク使うのすげぇ苦手なんだけどお箸ってある?
あの、細い棒二本で良いんだけど…。」
と言うと魔女さんは適当な木の板をどっかから引っ張り出して来て魔法で瞬時に割り箸的なものを作ってくれた。
「はいどうぞ賢者くん。
あ、しまったな…。私がアーンしてあげれば良かったか。
それとも口移しが良い?良いよね?そうしよう!こんなものはいらないね!」
俺は破壊される前に割り箸的なものを奪い取った。
「お気持ちだけで結構です♪」
「もー、ほんと君はつれないなぁー。ぶーぶーっ。」
だが、いくら箸があっても流石にこの美味しそうな分厚いステーキを切り分けることなく食うのは無理だ…。ぐぬぬぬぬ…。
戦士ちゃんを見る。
首を思いっきり横に振られる。
妹ちゃんを見る。
視線をそらされた。
…………。
不服ながら魔女さんを見る。
したり顔である。
さては確信犯だなオメー。
「す、すみません…。切り分けてください…。」
「喜んで♪」
魔女さんはテキパキと俺や戦士ちゃんや妹ちゃんのステーキを切り分けてくれた。
なんというかまるでお母さんである。
「魔女さん、あなた俺の記憶をみたことで俺がナイフやフォークを使えないところまで読んだ上でこの食事を選んだろ…?」
「そりゃあね。私も女だからね。
少しくらいは惚れた男の人に頼られたいじゃない。」
「貴方が惚れたのは俺じゃなくて、異世界人とその技術だろう。
実際、俺自身には惚れてもらえるような要素はないよ。」
などと言っていたら口に肉を放り込まれる。
「自分をあまり下に見ちゃいけないよ。
確かに私は異世界人である君や、君の技術に対して惚れていた。
でもね、私も1人の女なんだ。
君が本当に最低な男なら、きっとそれ以上惚れることはなかっただろうしむしろ嫌っていたと思うよ。
惚れた理由は?と聞かれればもうそれ以上はわからなくなってきてるよ。
でも、初めて本気で恋をしてこの歳でようやく理解したよ。
人を本気で好きになると、好きになった理由って案外わからなくなるもんだね。
君達2人も、そうなのかな?」
本当に優しい顔で魔女さんが戦士ちゃんと妹ちゃんを見る。
「私は…。最初はお姉様と私を助けてくれたから…。それがカッコよかったから好きになってたと思いました。
でも、お昼に戦って弱いところ…カッコ悪いところを知ったのに嫌いにはなりませんでした。
魔女さんが言うように、私もどこを好きになってるのかわかりません。
どこが好きなの?って聞かれたら多分全部って答えると思います。」
「私も…そうかも。
命を助けてもらったと言っても、その時は意識も朦朧としてたからその記憶はないの。
でも、それでも私は気がついたら彼の持つ優しさやなんとも言えない暖かさに惹かれてた。
そのあとはなんかこう…はなしてるだけで胸が熱くなってドキドキするし…。
貴方みたいな美魔女に組み伏せられてるような姿を見ると殺意が湧くようになりました。」
戦士ちゃんが真顔で拳を握る。
しかも拳は魔力で光り輝き出している。
敵を倒せと轟き叫ぶ勢いである。
「あはははは!ほんと、若くて初々しくて可愛らしいねぇ君達は!
からかい甲斐があるよ~っ♪
くふふ…っ!あぁ、もう、笑いが止まらないね。
微笑ましいなぁ、君達は…。」
「か、からかわないでください!
誰にでも好かれるようなこの人が悪いんです。」
ふんすっと腕組みされてこっちをチラ見される。
「えぇ~!?そこで俺に振るの!?
好かれる…好かれるねぇ…。
好かれる意味がわからないや…。
俺のどこにそんな魅力があるんだって言うんだよ…。」
3人が顔を見合わせてニカっと笑う。
「「「ぜーんぶっ。」」」
流石にそんな言われたら俺も照れる。
顔から業火が出る勢いだ。
「あ、ありがと…。そう言うの言われたことないからすごく嬉しいよ。」
魔女さんが俺の頭を撫でてくる。
戦士ちゃんがぎゅっと抱きつき、妹ちゃんも負けじと反対側にぎゅっと抱きついてくる。
「ふふっ、人気者だね君は。
君の最大の魅力は誰かの為に常に動いてる所だと私は思うよ。
そこに気付かず君に惚れられなかった女たちは勿体ないくらいだ。
ただアレだねー。ここまでモテモテだと、西の大国に帰ったらあの子がかつての爆裂猫娘全盛期の力で怒り出すかもしれないね~。」
「そんなにやばいのか…。あの人。あの見た目可愛さで…。」
「あぁ、やばいよ彼女は。
特に一瞬で間合いを詰めてからのゼロ距離爆裂魔法の破壊力は、あらゆるものを倒せるトップレベルのパワーだ。
非常に硬い鋼の鱗で覆われたアーマードドラゴンを鱗ごとぶち抜き首を消しとばしたあの姿は今でも脳裏に焼き付いているよ…。
あの時は暫く、【龍殺しの疾風迅雷爆裂猫娘】なんて呼ばれてたな…。」
そんなパワーでキレられようものなら俺は下半身を残して消し飛ぶのではなかろうか。
「あはは、君なら魔力は無効化できるからせいぜい複雑骨折とか頚椎損傷くらいで済むんじゃないかな?」
「十分重症なのですが…。」
「モテる男はつらいねぇ~?このこのー。
まぁ、私は長生きだし割とこの姿のままだ。
人生の短いものから優先して惚れて行ってもらっても構わないよ。
君も数百年くらいは生きられるんだろう?」
「バカ言うな…。長くても80年生きられるかだよ俺たちは。」
「な…うそ…だろ…?
そんなに早いのかい…?君はもう30年近く生きてるってことは子作り出来る限界が近いんじゃないのかい!?これはいけない!今すぐ私の寝室へ行こう!さぁはやく!」
「お前絶対わかってて言ってんだろ。本当一回引っ叩くぞ。」
流石に少女2人も呆れ顔である。
「ほんと魔女様はどんだけ子作りしたいんですか…。発情期の猫じゃあるまいし…。」
「それは君たちのとこのギルマスへの皮肉かい?」
「えぇ…。私もあの人を殴り飛ばせるだけの力があれば多分殴ってました。」
わー、戦士ちゃん、意外とこわーい。
また真顔で光り輝く拳握ってるー。
「しかし、彼はもしかしたら元の世界へ帰ってしまうかもしれないんだ。
下手したらなんの前触れもなく、おとぎ話の前例のように消えるかもしれない。
私はそうなる前に彼の持つ知識や技術をたくさん手に入れたいし、彼の子孫をこの世界に残したいんだよ。」
「それなら別に私たちでもいいじゃないですか。
子孫を残すだけなら。」
「君も今さらりとすごいこと言っちゃってるね…。」
ほんとこの世界の子たちは子作りしか頭にないのか…。痴女しかいないのかこの世界は…。
「あぁ、そうか。君の世界とは文化が違うのか…。
私たちの世界では最短で12歳で結婚できるんだよ。
無論、子どもも作ることを許される。
君の世界だと男は18歳、女は16歳、成人としてお酒が飲めるのも20歳なのだったね。
なるほどなるほど。
通りで、この子たち2人は眼中にもないような反応をしていたわけだね~。」
全く眼中になかったわけじゃない。
戦士ちゃんのお腹のくびれ具合にはわりと目がいっちゃうし、ほどよく成長している妹ちゃんもエロ可愛い。
見た目も美しいし、どちらかといえば好みの方ではある。
特に俺は髪の長い女の子が好きだ。
今ここにいる3人の髪質や長さは俺の好みドンピシャなのである。
戦士ちゃんと妹ちゃんのグレーに近い感じの艶やかなストレートヘアー。
戦士ちゃんの方はは動きやすいように普段はポニテなのも良いのだが、おろしてる時もまた可愛い。
魔女さんに至ってはそれはもう美しい絹のような黒髪であった。
毛先が少しウェーブしてるのもまた妖艶でたまらない。
その上、まるで花魁のようなセクシーな肩出し胸だし尻出しさらには横にはスリット入りで太ももチラリはかなりエロい。
エロ可愛い。
「へぇー。君は私たちみたいな髪の長い女の子が好みだったんだねぇ。
そんなに褒められると私も照れて赤面しちゃうよ。」
頬を抑えてくねくねとしてる。
「人の心の声を勝手に聞いて口に出すと言うそのギルマス特権ほんとやめろください。」
「さってと、食事も済んだことだし賢者くんは私の魔術工房でじっくりまったりとライトニングクォーツのネックレスを仕上げよう。
性能テストにも無論付き合うよ。好きなだけね。」
チラリと2人に視線を送ると、妹ちゃんはすごくしょんぼりしてるし戦士ちゃんは見るからに不機嫌そうだ。
「私たち凡人にはどうぞおかまいなく!天才同士でじっくりまったりねっとりと2人きりの時間をドーーーゾッお楽しみください!ふんっだ。」
「………。」
何も言わずにしょんぼりしてる妹ちゃんが一番心へのダメージがでかいっ…!!
おじさんのメンタルでは耐えきれない!壊れちゃう!
「その事なんだけど、2人にも見せてみたいんだ。
俺が作品をどう作るのかってところとかさ。
付き合って欲しいんだけどいいかな?」
「べ、別に貴方が誰と一緒に居たってどうでもいいんだけど、その人に手を出されてまたワタワタしてるとこ見たくないから一緒に居てあげる!
勘違いしないでよね!」
わー、すごーい。テンプレのようなツンデレー。
「あと、ちょっと2人にもブレスレットを作ってあげたい気分なんだ。」
「私は!?私の分はないのかい?もちろんあるよね!やったー!さすが賢者くん!」
「何も言ってないよー。ステイステイ。」
と言うわけで俺は、魔女さんの工房をお借りしてライトニングクォーツを仕上げることにした。
そしてその結果、俺は魔女さんの権限により板状一致でS級冒険者の資格まで付与されてしまったのである。
「しかし、君の地位にふさわしくなるように鍛え上げた上でS級資格を…。と思っていたのにこの結果は予想外だねぇ…。
一応彼らB~A級の腕利き精鋭たちなんだよ?
君が賢者のブレスを外してくるだろう事は予想していたが、それでもこの結果に落ち着いたのは驚きだ。
君の魔剣のマジックキャンセル能力は異常なまでの性能だった。
熱線魔法を放つ為に生成されたレンズも、あの数がなければ全てかき消されていたろうね。」
魔導士達も俺たちの最強の切り札を出さざるをえなくなるとは…とうなだれている。
「さて。そうなると次は君たち二人だね。」
妹ちゃんと戦士ちゃんの肩がビクっと震える。
怯えたような顔で魔女さんの方を見ている。
「君たちが危惧してるように、このままでは間違いなく賢者くんの足手まといになりかねない。故に君たち二人には鍛錬の上、上級冒険者と渡り合えるだけの力を…。」
「待ってくれ。その前に、俺が何も身につけていない状態で、一般的な武器を装備した状態でこの子達と戦わせて欲しい。」
魔女さんはその言葉で全てを理解してくれたようだった。
「良いだろう。改めて試験だ。好きにやりなさい。」
「ありがとう。
2人にはむしろこっちの方を知っておいて欲しい。
何も身につけてない俺の強さを…。」
と言うと2人がさらに怯え出した。
あれれー?おかしいぞー?
あぁ、そうか。
この子達はまだ俺の力がアクセサリーによるものってことを何も知らないんだな…。
「あはは。どうする?説明せずに戦う?」
「そうする。魔導師さんも同行させてほしい。」
「わかったよ。君たち、練兵場の外野で待機していなさい。彼が本当の実力を見せてくれるよ。」
魔導師さんたちも一斉に怯え出す。
「ひぃぃぃ!アレよりもやばいことになるのは勘弁っすよ!?」
「私もいるから何も心配はないよ。
君たちは彼の命にも関わる秘密を知ることにはなるだろうがね…。」
こらこら魔女さん、魔導師達をビビらせるのはやめなさい。
俺は安全を考慮して木刀を装備。
戦士ちゃんも同じく木刀を。
妹ちゃんは魔力をセーブできる練習用の杖を装備した。
「では…。模擬戦開始!」
戦士ちゃんがとんでもない速度で踏み込んで木刀を一振り。
俺はなんとかこれを受け止めるが、その力を受け止めきれず木刀を手放してしまった。
その隙をついて妹ちゃんからの電撃魔法。
俺はそれを派手にくらいそのまま動けなくなった。
「……っ!賢者さん!ふざけないで本気でやって!」
「本気の本気だよ…。
俺は20代後半のおじさんで、運動もろくにしてきてない…。下っ腹もたるんでるようなおっさんだ。身体を鍛えた事はもちろんない。
それに…、俺の強さは全部このアクセサリーが生んだものだ。
ちょっと使ってみて?」
そう言って俺は剣に変化するネックレスを戦士ちゃんに渡す。
「どうすればこれは使えるの?」
「変形させたい刃物を想像して、力を流し込むイメージをしてみて?」
すると、ネックレスはたちまち大剣へと変化した。
「な、なによこれ…。
木の枝のようにすごく軽い…。
しかも振るだけで衝撃波が…。
これが…賢者様の秘密…。」
「そう、強すぎる武器に頼り、その力に振り回されていただけだよ。
俺自身は何も強くない。」
「そんな…。私達を助けてくれた時も?」
「そう、2人にあげたピンブローチというかピアスの力だね。」
2人だけでなく魔導師たちもぽけーっとしている。
「すっ…」
す?
「すっげぇぇぇえっ!なんすかなんすかそのアーティファクト!!俺たちにも触らせてくださいよ!!」
「え、やだ。」
「なんでええええっ!!」
そんなもの決まっている。
「俺は女にモテたくてハンドメイド始めたんだ!!
野郎にくれてやるような作品などない!!」
「理不尽っ!!」
かくして、俺の本当の実力や弱みをみんなに見せつけることが出来たのであった。
「そうなると…そのアーティファクトを奪われたり破壊されると無力になるし、逆にそれがなければDランク冒険者どころかその辺の町民レベルにまで落ちぶれると…。
逆に言えば俺たちが賢者様のアーティファクトを使えば、魔女様にも勝てる!!」
東の魔女様の次元空間消滅魔法が魔導師の耳元めがけて放たれる。
「傲慢が過ぎるね。君たちは私に言わせればまだまだ雑魚だ。無論、賢者くんもね。
弱点は明白だ。体力に、元の戦闘センスに、その他にも色々と課題は多そうだ。
まぁ、その辺はしっかりと鍛えさせてもらうよ。
私は魔術専門だから体力を重点的に鍛え上げさせてもらうことになるかな?
剣術は皇国ギルドの連中に鍛え上げてもらう方が良いだろうかなぁ。彼らは脳筋が多いからね。」
いろいろとお分かり頂けたようでなにより…。
「さてさて、これからのことを色々と考えないとだね。
まぁ、西のギルド連中に見せる私とあの子との模擬戦までにはみっちりと鍛え上げて新たな力も使いこなせるようになってもらうとしよう。
私はとりあえず君が先ほど使ったライトニングクォーツを仕上げたい。
食事をとったら早速私の部屋で仕上げようではないか!必要なものはなんでも用意するよ!
抱き枕代わりの私とか!」
「いや、それは別にいらないんでほんとまじ勘弁してください。」
この魔女さんのお城にも当然ながら大食堂がある。
ここの食堂も魔女さん曰く研究の1つらしい。
『料理も1つの科学であり魔法だからね!
ここで出される料理も1つの研究成果さ!
食材の一部は西の大国から輸入してるんだよ!』
などと言っていた。
「お、おおぉぉおっ!!凄い!さすがお城ご飯!!ギルドの野性味溢れるつまみやすいご飯とは違うね!!
すみません。俺ナイフとフォーク使うのすげぇ苦手なんだけどお箸ってある?
あの、細い棒二本で良いんだけど…。」
と言うと魔女さんは適当な木の板をどっかから引っ張り出して来て魔法で瞬時に割り箸的なものを作ってくれた。
「はいどうぞ賢者くん。
あ、しまったな…。私がアーンしてあげれば良かったか。
それとも口移しが良い?良いよね?そうしよう!こんなものはいらないね!」
俺は破壊される前に割り箸的なものを奪い取った。
「お気持ちだけで結構です♪」
「もー、ほんと君はつれないなぁー。ぶーぶーっ。」
だが、いくら箸があっても流石にこの美味しそうな分厚いステーキを切り分けることなく食うのは無理だ…。ぐぬぬぬぬ…。
戦士ちゃんを見る。
首を思いっきり横に振られる。
妹ちゃんを見る。
視線をそらされた。
…………。
不服ながら魔女さんを見る。
したり顔である。
さては確信犯だなオメー。
「す、すみません…。切り分けてください…。」
「喜んで♪」
魔女さんはテキパキと俺や戦士ちゃんや妹ちゃんのステーキを切り分けてくれた。
なんというかまるでお母さんである。
「魔女さん、あなた俺の記憶をみたことで俺がナイフやフォークを使えないところまで読んだ上でこの食事を選んだろ…?」
「そりゃあね。私も女だからね。
少しくらいは惚れた男の人に頼られたいじゃない。」
「貴方が惚れたのは俺じゃなくて、異世界人とその技術だろう。
実際、俺自身には惚れてもらえるような要素はないよ。」
などと言っていたら口に肉を放り込まれる。
「自分をあまり下に見ちゃいけないよ。
確かに私は異世界人である君や、君の技術に対して惚れていた。
でもね、私も1人の女なんだ。
君が本当に最低な男なら、きっとそれ以上惚れることはなかっただろうしむしろ嫌っていたと思うよ。
惚れた理由は?と聞かれればもうそれ以上はわからなくなってきてるよ。
でも、初めて本気で恋をしてこの歳でようやく理解したよ。
人を本気で好きになると、好きになった理由って案外わからなくなるもんだね。
君達2人も、そうなのかな?」
本当に優しい顔で魔女さんが戦士ちゃんと妹ちゃんを見る。
「私は…。最初はお姉様と私を助けてくれたから…。それがカッコよかったから好きになってたと思いました。
でも、お昼に戦って弱いところ…カッコ悪いところを知ったのに嫌いにはなりませんでした。
魔女さんが言うように、私もどこを好きになってるのかわかりません。
どこが好きなの?って聞かれたら多分全部って答えると思います。」
「私も…そうかも。
命を助けてもらったと言っても、その時は意識も朦朧としてたからその記憶はないの。
でも、それでも私は気がついたら彼の持つ優しさやなんとも言えない暖かさに惹かれてた。
そのあとはなんかこう…はなしてるだけで胸が熱くなってドキドキするし…。
貴方みたいな美魔女に組み伏せられてるような姿を見ると殺意が湧くようになりました。」
戦士ちゃんが真顔で拳を握る。
しかも拳は魔力で光り輝き出している。
敵を倒せと轟き叫ぶ勢いである。
「あはははは!ほんと、若くて初々しくて可愛らしいねぇ君達は!
からかい甲斐があるよ~っ♪
くふふ…っ!あぁ、もう、笑いが止まらないね。
微笑ましいなぁ、君達は…。」
「か、からかわないでください!
誰にでも好かれるようなこの人が悪いんです。」
ふんすっと腕組みされてこっちをチラ見される。
「えぇ~!?そこで俺に振るの!?
好かれる…好かれるねぇ…。
好かれる意味がわからないや…。
俺のどこにそんな魅力があるんだって言うんだよ…。」
3人が顔を見合わせてニカっと笑う。
「「「ぜーんぶっ。」」」
流石にそんな言われたら俺も照れる。
顔から業火が出る勢いだ。
「あ、ありがと…。そう言うの言われたことないからすごく嬉しいよ。」
魔女さんが俺の頭を撫でてくる。
戦士ちゃんがぎゅっと抱きつき、妹ちゃんも負けじと反対側にぎゅっと抱きついてくる。
「ふふっ、人気者だね君は。
君の最大の魅力は誰かの為に常に動いてる所だと私は思うよ。
そこに気付かず君に惚れられなかった女たちは勿体ないくらいだ。
ただアレだねー。ここまでモテモテだと、西の大国に帰ったらあの子がかつての爆裂猫娘全盛期の力で怒り出すかもしれないね~。」
「そんなにやばいのか…。あの人。あの見た目可愛さで…。」
「あぁ、やばいよ彼女は。
特に一瞬で間合いを詰めてからのゼロ距離爆裂魔法の破壊力は、あらゆるものを倒せるトップレベルのパワーだ。
非常に硬い鋼の鱗で覆われたアーマードドラゴンを鱗ごとぶち抜き首を消しとばしたあの姿は今でも脳裏に焼き付いているよ…。
あの時は暫く、【龍殺しの疾風迅雷爆裂猫娘】なんて呼ばれてたな…。」
そんなパワーでキレられようものなら俺は下半身を残して消し飛ぶのではなかろうか。
「あはは、君なら魔力は無効化できるからせいぜい複雑骨折とか頚椎損傷くらいで済むんじゃないかな?」
「十分重症なのですが…。」
「モテる男はつらいねぇ~?このこのー。
まぁ、私は長生きだし割とこの姿のままだ。
人生の短いものから優先して惚れて行ってもらっても構わないよ。
君も数百年くらいは生きられるんだろう?」
「バカ言うな…。長くても80年生きられるかだよ俺たちは。」
「な…うそ…だろ…?
そんなに早いのかい…?君はもう30年近く生きてるってことは子作り出来る限界が近いんじゃないのかい!?これはいけない!今すぐ私の寝室へ行こう!さぁはやく!」
「お前絶対わかってて言ってんだろ。本当一回引っ叩くぞ。」
流石に少女2人も呆れ顔である。
「ほんと魔女様はどんだけ子作りしたいんですか…。発情期の猫じゃあるまいし…。」
「それは君たちのとこのギルマスへの皮肉かい?」
「えぇ…。私もあの人を殴り飛ばせるだけの力があれば多分殴ってました。」
わー、戦士ちゃん、意外とこわーい。
また真顔で光り輝く拳握ってるー。
「しかし、彼はもしかしたら元の世界へ帰ってしまうかもしれないんだ。
下手したらなんの前触れもなく、おとぎ話の前例のように消えるかもしれない。
私はそうなる前に彼の持つ知識や技術をたくさん手に入れたいし、彼の子孫をこの世界に残したいんだよ。」
「それなら別に私たちでもいいじゃないですか。
子孫を残すだけなら。」
「君も今さらりとすごいこと言っちゃってるね…。」
ほんとこの世界の子たちは子作りしか頭にないのか…。痴女しかいないのかこの世界は…。
「あぁ、そうか。君の世界とは文化が違うのか…。
私たちの世界では最短で12歳で結婚できるんだよ。
無論、子どもも作ることを許される。
君の世界だと男は18歳、女は16歳、成人としてお酒が飲めるのも20歳なのだったね。
なるほどなるほど。
通りで、この子たち2人は眼中にもないような反応をしていたわけだね~。」
全く眼中になかったわけじゃない。
戦士ちゃんのお腹のくびれ具合にはわりと目がいっちゃうし、ほどよく成長している妹ちゃんもエロ可愛い。
見た目も美しいし、どちらかといえば好みの方ではある。
特に俺は髪の長い女の子が好きだ。
今ここにいる3人の髪質や長さは俺の好みドンピシャなのである。
戦士ちゃんと妹ちゃんのグレーに近い感じの艶やかなストレートヘアー。
戦士ちゃんの方はは動きやすいように普段はポニテなのも良いのだが、おろしてる時もまた可愛い。
魔女さんに至ってはそれはもう美しい絹のような黒髪であった。
毛先が少しウェーブしてるのもまた妖艶でたまらない。
その上、まるで花魁のようなセクシーな肩出し胸だし尻出しさらには横にはスリット入りで太ももチラリはかなりエロい。
エロ可愛い。
「へぇー。君は私たちみたいな髪の長い女の子が好みだったんだねぇ。
そんなに褒められると私も照れて赤面しちゃうよ。」
頬を抑えてくねくねとしてる。
「人の心の声を勝手に聞いて口に出すと言うそのギルマス特権ほんとやめろください。」
「さってと、食事も済んだことだし賢者くんは私の魔術工房でじっくりまったりとライトニングクォーツのネックレスを仕上げよう。
性能テストにも無論付き合うよ。好きなだけね。」
チラリと2人に視線を送ると、妹ちゃんはすごくしょんぼりしてるし戦士ちゃんは見るからに不機嫌そうだ。
「私たち凡人にはどうぞおかまいなく!天才同士でじっくりまったりねっとりと2人きりの時間をドーーーゾッお楽しみください!ふんっだ。」
「………。」
何も言わずにしょんぼりしてる妹ちゃんが一番心へのダメージがでかいっ…!!
おじさんのメンタルでは耐えきれない!壊れちゃう!
「その事なんだけど、2人にも見せてみたいんだ。
俺が作品をどう作るのかってところとかさ。
付き合って欲しいんだけどいいかな?」
「べ、別に貴方が誰と一緒に居たってどうでもいいんだけど、その人に手を出されてまたワタワタしてるとこ見たくないから一緒に居てあげる!
勘違いしないでよね!」
わー、すごーい。テンプレのようなツンデレー。
「あと、ちょっと2人にもブレスレットを作ってあげたい気分なんだ。」
「私は!?私の分はないのかい?もちろんあるよね!やったー!さすが賢者くん!」
「何も言ってないよー。ステイステイ。」
と言うわけで俺は、魔女さんの工房をお借りしてライトニングクォーツを仕上げることにした。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
50歳元艦長、スキル【酒保】と指揮能力で異世界を生き抜く。残り物の狂犬と天然エルフを拾ったら、現代物資と戦術で最強部隊ができあがりました
月神世一
ファンタジー
「命を捨てて勝つな。生きて勝て」
50歳の元イージス艦長が、ブラックコーヒーと海軍カレー、そして『指揮能力』で異世界を席巻する!
海上自衛隊の艦長だった坂上真一(50歳)は、ある日突然、剣と魔法の異世界へ転移してしまう。
再就職先を求めて人材ギルドへ向かうも、受付嬢に言われた言葉は――
「50歳ですか? シルバー求人はやってないんですよね」
途方に暮れる坂上の前にいたのは、誰からも見放された二人の問題児。
子供の泣き声を聞くと殺戮マシーンと化す「狂犬」龍魔呂。
規格外の魔力を持つが、方向音痴で市場を破壊する「天然」エルフのルナ。
「やれやれ。手のかかる部下を持ったもんだ」
坂上は彼らを拾い、ユニークスキル【酒保(PX)】を発動する。
呼び出すのは、自衛隊の補給物資。
高品質な食料、衛生用品、そして戦場の士気を高めるコーヒーと甘味。
魔法は使えない。だが、現代の戦術と無限の補給があれば負けはない。
これは、熟練の指揮官が「残り物」たちを最強の部隊へと育て上げ、美味しいご飯を食べるだけの、大人の冒険譚。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
蔑ろにされましたが実は聖女でした ー できない、やめておけ、あなたには無理という言葉は全て覆させていただきます! ー
みーしゃ
ファンタジー
生まれつきMPが1しかないカテリーナは、義母や義妹たちからイジメられ、ないがしろにされた生活を送っていた。しかし、本をきっかけに女神への信仰と勉強を始め、イケメンで優秀な兄の力も借りて、宮廷大学への入学を目指す。
魔法が使えなくても、何かできる事はあるはず。
人生を変え、自分にできることを探すため、カテリーナの挑戦が始まる。
そして、カテリーナの行動により、周囲の認識は彼女を聖女へと変えていくのだった。
物語は、後期ビザンツ帝国時代に似た、魔物や魔法が存在する異世界です。だんだんと逆ハーレムな展開になっていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる