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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第41話 魔族の歴史
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俺はベヒーモスさんにイフリートの事についての報告とアドバイスをもらいに来ていた。
あいつは今まで俺が戦って来たような遊び相手の延長みたいなやつとは明らかに違う。
明確な敵だ…。
戦わなければならないなら、その戦い方も学ばなければいけない。
そう考えたからだ。
俺は戦いの素人だ。
そこに関しては勇者ちゃんや盗賊ちゃんには遥かに劣る。
だまし討ちとか装備品の無効化とかされたら俺はすぐ死にかねない。
俺のアクセも万能のチートアイテムではないはずだ。
そういうの含めどう戦うか…。
俺はベヒーモスさんに教えを請うことにした。
「ええぇ…。前から馬鹿だとは思ってましたがイフリーちゃんそんなことやらかしちゃったんですか…。
面倒くさいなぁ…。まぁ、魔王様は皇女殿下に会いたがってたからそこは結果オーライとしても、本当に生首なんか献上しようものなら人類への宣戦布告以前にこの世界が消し飛ぶよ…。」
「イフリーちゃんて…。どう見てもゴリマッチョのおっさんだったけど…。」
「あぁ、あの子あぁ見えてど貧乳なだけで女の子ですよ?本人の前で言うと多分怒るからダメですよ?まぁ常にキレてますけどもあの子…。
はぁぁぁ…ほんと面倒臭いなぁ…。
まぁだ、上司の私が怒られたりとばっちり受けるんですよ…?やる気でないなぁ…。
とりあえず大賢者さん。フルボッコしてあげてください。遠慮はいらないので。」
そう!それだ!問題はどうやってフルボッコにするかだ!
「正直、俺たちの今の実力でフルボッコにできると思うか?
俺の切り札の雷帝と炎皇の力で…。」
「そうですねぇ…。使い方次第ですね。
貴方のイメージ一つで貴方の力は変化する。
上手く使えば無敵ですし、下手に使えばあっちが無敵になるとだけ…。貴方が無敵にさえなれればあとは一方的に蹂躙するだけですよ。
ただし、次元龍の力に頼るのはやめなさい。
あれは大変に危険な力です。
あの力を下手に使えば、貴方の身にはもちろんでしょうが、それ以上に何が起こるかわかりませんからね。
ただ、驚くべきは…貴方の魂のレベルは、既にあの力を支配し使いこなせる域に到達している…。
その力を自分の自由のままに使うことはできるでしょう。
雷帝を初めて使った時のように、一度暴走状態を経験することが貴方のスキルトリガーのようですね。」
「俺は今、俺たち…って言ったんだが…。
まるで、俺じゃなきゃ勝てないみたいな言い方だな…。」
「当然です。戦闘経験の差は圧倒的にあなた方全員が劣ります。
そもそもあの子は戦闘隊長。
私は彼らを支配下に置く立場ではあるのですが…、まぁこのように模範などしょっちゅうあるのが我々魔族と言うわけです。」
「あんたを倒せる俺らでも無理だと?」
「私が本当に本気を出して貴方たちと相手したとでも?」
ベビーさんが本当の覇気を放つ。
俺は声も出せず動けなくなってしまった。
「この通りですよ。あなた方など本気で睨めばまだまだ動くことなど敵いません。
あと、私たちも魔族の中の階級で言えば魔王なのです。それら全ての魔王を統べるのが我等が魔王と呼ぶ存在、あなた方目線で言うならば大魔王とでも言うべきですかね?
まぁ、ひとまず本物の魔王の一柱を相手取るにはあなた方はまだまだ人間の域を出ていないのです。私達に傷を入れることができる。
せいぜいそのレベル。
まぁ、勇者さんと貴方は色々とそこらへんがおかしいので唯一戦えるだろうと言う見解です。
勇者さんは必ずお連れしなさい。
でなければ、誰かが死んでもおかしくはないですよ…?
と言っても、あの人は一人で先行していきそうですねぇ。」
「「なにせアホですし。」だからな…。」
意見が一致した。
「彼女も含めですが、あの地で皆を守れるのは神の力をその身に纏いそして降ろせる貴方と戦士さんくらいでしょう。
問題はその力をどれだけの時間使えるかです。
魔力枯渇を起こさぬように、ポーションは大目に常備する事をお勧めします。
皆、魔力と精神力で得る力に頼っている以上は如何にそれらをキープできるかが重要です。
そしてもう一つアドバイスを。
魔族を無力化するならば、心を折りなさい。
我々は心の力をそのまま纏い、行使しています。
心が折れると、姿すら維持できなくなるのです。
折り方は色々あるでしょうから、そこは自由に考えて下さい。」
……。俺に勝算はあるのか?
本気の魔王を相手取って生きて帰れるだけの…、いや五体満足で帰れる見込みは…。
「あの地に足を踏み入れるという事自体が、人間にとっては一つの挑戦ですよ。
生きて帰る事はもっとですね。
あの地のダンジョンはあなた方にはS級に相当しますし、街の子供でも人間相手にはB級モンスター以上に強いでしょう。
まぁ今は歳をとってる世代くらいしか好戦的なものは居ないでしょうがね。
いい機会ですので、貴方には我々の簡単な歴史を話しておきましょう。」
そういうと、ベヒーさんの部屋の中心にスクリーンが現れた。
「まぁ口頭で言うよりも映像込みで見た方がわかりやすいでしょう。
まず、我々魔族はもともと好戦的な種族でもあり、人間とよく争っていました。
主に領地を巡ってですね。
その結果が北の大地です。
あれは人間を大量に殺し蹂躙した結果です。
昔の大魔王様は魔族至上主義だったので、人間を如何に大量に殺すかを楽しんでいました。
故に人間側には当然恨まれていました。
その結果、いつしか魔王を討つものが現れました。
俗に言う勇者ですね。
勇者は世界が選ぶ存在です。
世界の脅威たるものを討つために世界が生み出すのです。
現勇者さんのように自称してたら本当になったなど普通はありえないんですけどね…。」
さすがアホの子…。
世界にすら選ばれるレベルのアホとは…。
「昔の…って事は今は変わってきているってことか?」
「その通りです。
先代の大魔王様は前勇者さんと戦った際に、前勇者は誰も魔族を殺さなかったことに感銘を受けました。
そして、人間と友好を築こうと考えて行動したところ不審な死を遂げます。
前勇者さんも、前国王に魔王は人間と友好を結ぼうとしていると告げた後に不審な死を遂げています。
その後、前国王夫妻も…ですね。
ここについては我々が色々調査中です。
考えるまでもなく、色々とおかしいですからね…。
まぁそれはさておき、前勇者さんと前魔王様の意思を継いだのが今の二人と言ったところでしょう。
ですが、やはり先代の魔王の崇拝派やその当時の側近の生き残りや血族には、やはり人間を良しとしないものも多い。
その一部が今回の件を企てて事を起こしたわけでしょう。まぁ、言い分は分かりますよ。
先代勇者に親や家族を殺められているものは特に。
「だが、互いに許さねば新しい歴史は生まれない。
争いは止まらない。」
それが前魔王様の口癖でした。
歯向かうものには、説得をしたりしてなんとか友好的な国を作ろうとした矢先に不審死したので、その当時の側近たちは人間が嫌いなのでしょうね。」
戦争を終わらせる…か。
そりゃ友好的にいけばそれが一番だが、圧倒的な力で他者を支配するのが一番楽だろう…。
日本だって表向きは平和だが、実際のところは…ってやつだ。
俺の祖父母は、当時の米兵には優しい人も居たからみんなが悪だとは思わないって言っていた。
そう言う気持ちが、今の日本を作ってるんだろうな…。
「貴方には、この争いを止められる可能性もあるのです。
かつて一度、争いが止まった時があるのですよ。
もう、お分かりですね?
最初の異世界人 安倍晴明です。
彼の方は、人と争う魔族の前に現れて一度友好を築き上げた方なのです。
「互いが許しあうことがなければ争いは収まらない。
そもそも喧嘩は同レベルのやつ同士でしか起こらないのだ。
魔族の頭は人間と同程度かそれ以下の頭の悪さだと認めるようなものだぞ?」
と言う言葉は当時はあまりにも有名でした。
ですが、彼が消えた後に魔族特有の好戦的な性格と本能が争いを起こし、今に至るわけです…。
要するにまぁ、争いが好きなお馬鹿さんが多いんですよ…。
平和に暮らせば良いのに…。」
晴明の煽りレベルぱないな…。
しかし、まぁこれでなんとなくこの世界の情勢はわかってきた。
「今の魔王様は皇女殿下を招いて遊びたいとか勇者と戦ってみたいとか、まぁおてんば娘ではありますが、人間と友好を結びたい気持ちは本物です。
貴方なら、架け橋になれる。
実は、魔族には多いんですよ。
異世界人大好きな人がね。
魔王様もその一人ですし、イフリーちゃんもです。
まぁ、強いからって言うのが理由の大半でしょうがね。
なので、その点においては安心でしょう。
魔族側で貴方が異世界人と知るものは私くらいですが…。」
ここまで期待されたらもうやれるとこまでやるっきゃないな。
「ひとまず、やれるまでやってみるよ。
あ、そだ。イフリートの所へはどうやっていけばいいんだ?」
「えーーとですね。貴方の世界風に言うと、中央皇国を北へばーーーんっと行って、山に突き当たるでそこのダンジョンをずばーーーっとすすんで、ダンジョン抜けたら湖までガーーっと一直線で走って最後はその向こうの岩山に着いたらすぐです。」
俺はベヒーさんを炎皇之手甲でグーパンした。
「真面目にやってくれるかな…?」
「すみません。そろそろ笑いを入れないといけないと思いまして。いたたた…。
それにしたってツッコミが派手すぎません?
ツッコミ感覚で神の力を軽々しくホイホイ使うとか貴方何なんですか。
もーまじなんなん。いみふー。」
「お前こそマジなんなんだよ…。俺の記憶を元に変な文化を学ぶのやめてもらえる…?」
「ほんと、貴方の世界は面白いですよね。
だからこそ我々魔族には刺激が強いのですよ。
我々魔族は知識を得ること、気分が高揚するような戦いをすることなど、要するにワクワクすることが大好きなのです。」
全くこのおっさんは…。
「そう言う話でなく、転移門でサッと行けないのかって話なんだけど…。」
「無理ですね。彼女の居る場所はそもそもダンジョンではないので。」
「近くに行くことも出来ないと…?」
「出来なくはありませんが、まぁあなた方は間違いなく弾かれますね。
正攻法で行くことしか無理でしょう。
まず、中央皇国の外側にある山が魔族と人間の領地の境目なのです。
そこを抜けると、地平線の先に湖が見えて来ますのでその湖の外側を進んでください。
湖をまっすぐ突き抜けて進もうものならリヴァイアさんに私が怒られかねないので…。
あ、リヴァイアさんはそちらの湖に住んでる魔族の貴婦人です。
ただ、もし彼の方を味方につけられるとしたら…イフリーちゃんには確実に勝てるでしょうね。
湖を抜ければ、あとは岩山へ向かって行くとその手前に溶岩流のある針山のような場所が見えてきます。
そこが、イフリーちゃんの領地ですね。
まぁ、早く行ってあげて頂きたいのはやまやまですが、距離にして160km近くはありますね…。
大鳥では何日かかるか…。」
160kmか…。まぁ、バイクなら3時間もあれば行けるか?
「あぁ、そうでしたね。貴方には貴方の世界の乗り物がありましたね。
あれを使えば確かにすぐでしょう。
ひとまず、私があなた方について行くわけには行きませんので、ここは地図を用意しましょう。
スクリーンに投影いたしましたので、これを参考に進みなさい。私が出来ることはここまでです。
いい報告を待っていますよ。」
俺は地図を細かくスマホで写真に収めていった。
「はぁ…。若干気が重いな…。
この世界に来て悪意を向けられたことは一度あったけど、今回はその時とは規模も違うし、たくさんの命がかかっている。
こんなプレッシャーを背負って戦えるほどの勇気は、俺にはないけど…。
諦めずにやってみるさ。」
そして俺はベヒーさんの元を後にして城に戻った。
城に戻ると盗賊ちゃんと戦士ちゃんと魔法使いちゃんが俺を待っていた。
「………。ご主人様。さっきまでのことはその…もうお互いに忘れよう。
オレはご主人様に、好きなままでいて欲しいしオレもご主人様のこと、ずっとずっと好きでいたい。
だから、」
「忘れるってのは無理だよ。俺はその過ちをきちんと背負いたい。今回のことはごめんね…。」
「良いんだよ。もう終わったことだ。
それよりもだ!皇女殿下…助けに行くんだろう?」
「もちろんだ。だが、下手すれば命を落とす事もある。俺は今、それが怖い…。」
戦士ちゃんが俺の元へきて軽く俺の胸を小突く。
「誰も死なせるつもりはないわよ。
私たちは貴方の剣であり盾。
貴方も死なせないし私たちも死なせない。
必ず生きて帰って来てやるわ。」
「はい!今度は私たちが貴方を守る番です!
あの日の私たちとは違うのです!」
頼り甲斐のある二人に、大切なパートナーの盗賊ちゃん。
この3人がいれば、俺はどうにでも戦っていける気がして来た。
「そう言えば勇者ちゃんは?」
「あぁ…、あいつならご主人様を待たずにアーマードフェニックスに乗って北の大地に向かったよ…。」
………。
俺たちの死亡率がぐーーんっとあがった!
大賢者は頭を抱えた!
「とりあえず…。生きて帰るぞ…。」
そして、俺たちはバイクに乗って北の大地へと出発したのだった。
あいつは今まで俺が戦って来たような遊び相手の延長みたいなやつとは明らかに違う。
明確な敵だ…。
戦わなければならないなら、その戦い方も学ばなければいけない。
そう考えたからだ。
俺は戦いの素人だ。
そこに関しては勇者ちゃんや盗賊ちゃんには遥かに劣る。
だまし討ちとか装備品の無効化とかされたら俺はすぐ死にかねない。
俺のアクセも万能のチートアイテムではないはずだ。
そういうの含めどう戦うか…。
俺はベヒーモスさんに教えを請うことにした。
「ええぇ…。前から馬鹿だとは思ってましたがイフリーちゃんそんなことやらかしちゃったんですか…。
面倒くさいなぁ…。まぁ、魔王様は皇女殿下に会いたがってたからそこは結果オーライとしても、本当に生首なんか献上しようものなら人類への宣戦布告以前にこの世界が消し飛ぶよ…。」
「イフリーちゃんて…。どう見てもゴリマッチョのおっさんだったけど…。」
「あぁ、あの子あぁ見えてど貧乳なだけで女の子ですよ?本人の前で言うと多分怒るからダメですよ?まぁ常にキレてますけどもあの子…。
はぁぁぁ…ほんと面倒臭いなぁ…。
まぁだ、上司の私が怒られたりとばっちり受けるんですよ…?やる気でないなぁ…。
とりあえず大賢者さん。フルボッコしてあげてください。遠慮はいらないので。」
そう!それだ!問題はどうやってフルボッコにするかだ!
「正直、俺たちの今の実力でフルボッコにできると思うか?
俺の切り札の雷帝と炎皇の力で…。」
「そうですねぇ…。使い方次第ですね。
貴方のイメージ一つで貴方の力は変化する。
上手く使えば無敵ですし、下手に使えばあっちが無敵になるとだけ…。貴方が無敵にさえなれればあとは一方的に蹂躙するだけですよ。
ただし、次元龍の力に頼るのはやめなさい。
あれは大変に危険な力です。
あの力を下手に使えば、貴方の身にはもちろんでしょうが、それ以上に何が起こるかわかりませんからね。
ただ、驚くべきは…貴方の魂のレベルは、既にあの力を支配し使いこなせる域に到達している…。
その力を自分の自由のままに使うことはできるでしょう。
雷帝を初めて使った時のように、一度暴走状態を経験することが貴方のスキルトリガーのようですね。」
「俺は今、俺たち…って言ったんだが…。
まるで、俺じゃなきゃ勝てないみたいな言い方だな…。」
「当然です。戦闘経験の差は圧倒的にあなた方全員が劣ります。
そもそもあの子は戦闘隊長。
私は彼らを支配下に置く立場ではあるのですが…、まぁこのように模範などしょっちゅうあるのが我々魔族と言うわけです。」
「あんたを倒せる俺らでも無理だと?」
「私が本当に本気を出して貴方たちと相手したとでも?」
ベビーさんが本当の覇気を放つ。
俺は声も出せず動けなくなってしまった。
「この通りですよ。あなた方など本気で睨めばまだまだ動くことなど敵いません。
あと、私たちも魔族の中の階級で言えば魔王なのです。それら全ての魔王を統べるのが我等が魔王と呼ぶ存在、あなた方目線で言うならば大魔王とでも言うべきですかね?
まぁ、ひとまず本物の魔王の一柱を相手取るにはあなた方はまだまだ人間の域を出ていないのです。私達に傷を入れることができる。
せいぜいそのレベル。
まぁ、勇者さんと貴方は色々とそこらへんがおかしいので唯一戦えるだろうと言う見解です。
勇者さんは必ずお連れしなさい。
でなければ、誰かが死んでもおかしくはないですよ…?
と言っても、あの人は一人で先行していきそうですねぇ。」
「「なにせアホですし。」だからな…。」
意見が一致した。
「彼女も含めですが、あの地で皆を守れるのは神の力をその身に纏いそして降ろせる貴方と戦士さんくらいでしょう。
問題はその力をどれだけの時間使えるかです。
魔力枯渇を起こさぬように、ポーションは大目に常備する事をお勧めします。
皆、魔力と精神力で得る力に頼っている以上は如何にそれらをキープできるかが重要です。
そしてもう一つアドバイスを。
魔族を無力化するならば、心を折りなさい。
我々は心の力をそのまま纏い、行使しています。
心が折れると、姿すら維持できなくなるのです。
折り方は色々あるでしょうから、そこは自由に考えて下さい。」
……。俺に勝算はあるのか?
本気の魔王を相手取って生きて帰れるだけの…、いや五体満足で帰れる見込みは…。
「あの地に足を踏み入れるという事自体が、人間にとっては一つの挑戦ですよ。
生きて帰る事はもっとですね。
あの地のダンジョンはあなた方にはS級に相当しますし、街の子供でも人間相手にはB級モンスター以上に強いでしょう。
まぁ今は歳をとってる世代くらいしか好戦的なものは居ないでしょうがね。
いい機会ですので、貴方には我々の簡単な歴史を話しておきましょう。」
そういうと、ベヒーさんの部屋の中心にスクリーンが現れた。
「まぁ口頭で言うよりも映像込みで見た方がわかりやすいでしょう。
まず、我々魔族はもともと好戦的な種族でもあり、人間とよく争っていました。
主に領地を巡ってですね。
その結果が北の大地です。
あれは人間を大量に殺し蹂躙した結果です。
昔の大魔王様は魔族至上主義だったので、人間を如何に大量に殺すかを楽しんでいました。
故に人間側には当然恨まれていました。
その結果、いつしか魔王を討つものが現れました。
俗に言う勇者ですね。
勇者は世界が選ぶ存在です。
世界の脅威たるものを討つために世界が生み出すのです。
現勇者さんのように自称してたら本当になったなど普通はありえないんですけどね…。」
さすがアホの子…。
世界にすら選ばれるレベルのアホとは…。
「昔の…って事は今は変わってきているってことか?」
「その通りです。
先代の大魔王様は前勇者さんと戦った際に、前勇者は誰も魔族を殺さなかったことに感銘を受けました。
そして、人間と友好を築こうと考えて行動したところ不審な死を遂げます。
前勇者さんも、前国王に魔王は人間と友好を結ぼうとしていると告げた後に不審な死を遂げています。
その後、前国王夫妻も…ですね。
ここについては我々が色々調査中です。
考えるまでもなく、色々とおかしいですからね…。
まぁそれはさておき、前勇者さんと前魔王様の意思を継いだのが今の二人と言ったところでしょう。
ですが、やはり先代の魔王の崇拝派やその当時の側近の生き残りや血族には、やはり人間を良しとしないものも多い。
その一部が今回の件を企てて事を起こしたわけでしょう。まぁ、言い分は分かりますよ。
先代勇者に親や家族を殺められているものは特に。
「だが、互いに許さねば新しい歴史は生まれない。
争いは止まらない。」
それが前魔王様の口癖でした。
歯向かうものには、説得をしたりしてなんとか友好的な国を作ろうとした矢先に不審死したので、その当時の側近たちは人間が嫌いなのでしょうね。」
戦争を終わらせる…か。
そりゃ友好的にいけばそれが一番だが、圧倒的な力で他者を支配するのが一番楽だろう…。
日本だって表向きは平和だが、実際のところは…ってやつだ。
俺の祖父母は、当時の米兵には優しい人も居たからみんなが悪だとは思わないって言っていた。
そう言う気持ちが、今の日本を作ってるんだろうな…。
「貴方には、この争いを止められる可能性もあるのです。
かつて一度、争いが止まった時があるのですよ。
もう、お分かりですね?
最初の異世界人 安倍晴明です。
彼の方は、人と争う魔族の前に現れて一度友好を築き上げた方なのです。
「互いが許しあうことがなければ争いは収まらない。
そもそも喧嘩は同レベルのやつ同士でしか起こらないのだ。
魔族の頭は人間と同程度かそれ以下の頭の悪さだと認めるようなものだぞ?」
と言う言葉は当時はあまりにも有名でした。
ですが、彼が消えた後に魔族特有の好戦的な性格と本能が争いを起こし、今に至るわけです…。
要するにまぁ、争いが好きなお馬鹿さんが多いんですよ…。
平和に暮らせば良いのに…。」
晴明の煽りレベルぱないな…。
しかし、まぁこれでなんとなくこの世界の情勢はわかってきた。
「今の魔王様は皇女殿下を招いて遊びたいとか勇者と戦ってみたいとか、まぁおてんば娘ではありますが、人間と友好を結びたい気持ちは本物です。
貴方なら、架け橋になれる。
実は、魔族には多いんですよ。
異世界人大好きな人がね。
魔王様もその一人ですし、イフリーちゃんもです。
まぁ、強いからって言うのが理由の大半でしょうがね。
なので、その点においては安心でしょう。
魔族側で貴方が異世界人と知るものは私くらいですが…。」
ここまで期待されたらもうやれるとこまでやるっきゃないな。
「ひとまず、やれるまでやってみるよ。
あ、そだ。イフリートの所へはどうやっていけばいいんだ?」
「えーーとですね。貴方の世界風に言うと、中央皇国を北へばーーーんっと行って、山に突き当たるでそこのダンジョンをずばーーーっとすすんで、ダンジョン抜けたら湖までガーーっと一直線で走って最後はその向こうの岩山に着いたらすぐです。」
俺はベヒーさんを炎皇之手甲でグーパンした。
「真面目にやってくれるかな…?」
「すみません。そろそろ笑いを入れないといけないと思いまして。いたたた…。
それにしたってツッコミが派手すぎません?
ツッコミ感覚で神の力を軽々しくホイホイ使うとか貴方何なんですか。
もーまじなんなん。いみふー。」
「お前こそマジなんなんだよ…。俺の記憶を元に変な文化を学ぶのやめてもらえる…?」
「ほんと、貴方の世界は面白いですよね。
だからこそ我々魔族には刺激が強いのですよ。
我々魔族は知識を得ること、気分が高揚するような戦いをすることなど、要するにワクワクすることが大好きなのです。」
全くこのおっさんは…。
「そう言う話でなく、転移門でサッと行けないのかって話なんだけど…。」
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「近くに行くことも出来ないと…?」
「出来なくはありませんが、まぁあなた方は間違いなく弾かれますね。
正攻法で行くことしか無理でしょう。
まず、中央皇国の外側にある山が魔族と人間の領地の境目なのです。
そこを抜けると、地平線の先に湖が見えて来ますのでその湖の外側を進んでください。
湖をまっすぐ突き抜けて進もうものならリヴァイアさんに私が怒られかねないので…。
あ、リヴァイアさんはそちらの湖に住んでる魔族の貴婦人です。
ただ、もし彼の方を味方につけられるとしたら…イフリーちゃんには確実に勝てるでしょうね。
湖を抜ければ、あとは岩山へ向かって行くとその手前に溶岩流のある針山のような場所が見えてきます。
そこが、イフリーちゃんの領地ですね。
まぁ、早く行ってあげて頂きたいのはやまやまですが、距離にして160km近くはありますね…。
大鳥では何日かかるか…。」
160kmか…。まぁ、バイクなら3時間もあれば行けるか?
「あぁ、そうでしたね。貴方には貴方の世界の乗り物がありましたね。
あれを使えば確かにすぐでしょう。
ひとまず、私があなた方について行くわけには行きませんので、ここは地図を用意しましょう。
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「はぁ…。若干気が重いな…。
この世界に来て悪意を向けられたことは一度あったけど、今回はその時とは規模も違うし、たくさんの命がかかっている。
こんなプレッシャーを背負って戦えるほどの勇気は、俺にはないけど…。
諦めずにやってみるさ。」
そして俺はベヒーさんの元を後にして城に戻った。
城に戻ると盗賊ちゃんと戦士ちゃんと魔法使いちゃんが俺を待っていた。
「………。ご主人様。さっきまでのことはその…もうお互いに忘れよう。
オレはご主人様に、好きなままでいて欲しいしオレもご主人様のこと、ずっとずっと好きでいたい。
だから、」
「忘れるってのは無理だよ。俺はその過ちをきちんと背負いたい。今回のことはごめんね…。」
「良いんだよ。もう終わったことだ。
それよりもだ!皇女殿下…助けに行くんだろう?」
「もちろんだ。だが、下手すれば命を落とす事もある。俺は今、それが怖い…。」
戦士ちゃんが俺の元へきて軽く俺の胸を小突く。
「誰も死なせるつもりはないわよ。
私たちは貴方の剣であり盾。
貴方も死なせないし私たちも死なせない。
必ず生きて帰って来てやるわ。」
「はい!今度は私たちが貴方を守る番です!
あの日の私たちとは違うのです!」
頼り甲斐のある二人に、大切なパートナーの盗賊ちゃん。
この3人がいれば、俺はどうにでも戦っていける気がして来た。
「そう言えば勇者ちゃんは?」
「あぁ…、あいつならご主人様を待たずにアーマードフェニックスに乗って北の大地に向かったよ…。」
………。
俺たちの死亡率がぐーーんっとあがった!
大賢者は頭を抱えた!
「とりあえず…。生きて帰るぞ…。」
そして、俺たちはバイクに乗って北の大地へと出発したのだった。
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「レティシア、女王即位」
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