その辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

風呂桶之水源餅

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ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。

第57話 哀しみと恐怖の前夜

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気が付けばいつの間にやら日も落ち始めていた。
今日はひとまずこの集落で休ませてもらい、明日の朝に改めて遺跡へと向かいそこから天上界へ行くことになった。

集落では客人である俺たちをもてなすような祭りが繰り広げられた。

魔女さん曰くこれもいつものことらしい。

「何というか、知れば知るほど今回の敵は恐ろしいやつだな…。
この世界に来て、本気の悪意と戦ったのはイフリーちゃんが初めてだったけど、あの時とは違って相手は完全なサイコパス…。
それこそ、殺戮を極めたような魔王以上に魔王であり、そして悪魔のような男だな…。」
「君の世界の悪魔がどんな存在かは知らないが、たしかに私たちが知る魔王と比べれば、魔王以上に魔王だね。」

魔女さんと肉を頬張りながらそんな事を話す。

「お前らが知る魔王ってそれ主にワシの事だろ!?いやまぁたしかにワシでもそんな末恐ろしい事して人間の命を奪おうとは思わないが…。
ワシの先代…我が父でもだ。
と言うよりも、我が父も同じ病で亡くなっている…。
いや、それは正確には呪いだったわけだが…。」
「その当時はマオちゃんと魔女さんは交流があったの?」
「全くないわけではなかったぞ?
研究の関係でこっちの大地と東の国とを行き来していたしな。
そもそも、魔女は先代魔王の側近の娘でもあった。故に、親に会いにと言うような普通の里帰りでこちらに赴くこともあった。
その結果、我が父も魔女の両親も呪い殺されたと言うことになるのだろうが…。
そして、その真実を知ったのは、まさに今というわけだったのだが…。
ならば、その男はワシらにとっても仇と言うわけだな。」

マオちゃんが、手に握っていた骨つき肉の骨をバキッと握り折る。
その手はたしかに怒りで震えていた。

「つーか、魔王すら殺せるレベルの強力かつ広範囲の呪いって…。いったいどんな規模だよ…。
それってつまり、本来なら神の力でしか傷をつけられない魔族達の肉体をも蝕む呪いって事だろう?」
「なるほど…。たしかにそうだ。
魔族は普通の魔法や物理攻撃じゃろくに傷はつけられないし、付けられてもすぐに再生してしまう…。いったいどんな仕組みでそいつは呪いの力を使ったんだろう?」
「簡単な事ですわマスター。
彼はそもそも天使族の者です。天使族は産まれながらにして神の力と同等の神気を放てますの。
その力を以って発現させた呪いであれば、人も魔族も容易に蝕む事は十分可能ですわ。」

やはりそういう存在なのか…天使族ってのは…。
俺らの世界でよく聞く四大天使とか、堕天使リュシフェルとかも実際は神と同格くらいの力を持ってるしな…。
天使族だったと言うその男がそれだけの力を持っていても何らおかしくはない…。
むしろ、実は僕邪神でしたーって言われる方が違和感がないレベルだ。

「マスター。貴方の力が素晴らしいのはよくわかってるつもりですが、本当にそのような危険な者と戦うつもりですの…?
貴方は自らが仰るように、力を使わなければただの人でしかない…。
もし万が一、力を使う前に殺されるような事があれば…。」
「あぁ、当然俺もそれは考えていた。
力を使う前、もしくは使い果たした後は俺は最も無防備になる。
だからこそ、みんなに俺のアクセサリーを託したのもある。
だが、それでも俺が殺される事態になったらと考えると、こいつの力を使うしかないと言う結論に至った。」

俺はブレスウォッチを皆に見せる。

「次元龍かい…?その力は危険だ。
もし使いこなす事ができず暴走しようものなら、それこそ夢の世界の君のようなことになるかもしれないよ?」
「逆だよ魔女さん。これの力を使ったからこそ、この先の未来にいる無数の俺は、なんどもやり直し、やり直す度に過去の俺へと攻略法を託したんだ。
今回の俺が成功に至れるかはまだわからない。
もしかしたら、俺も失敗する側の未来の俺かもしれない…。
それでも、最悪の未来を回避する為なら何度でもやり直す為にこの力を使う必要性も価値も十分にある。
あの夢は俺が未来を体験した後に、過去へ戻る事で見たものなのかはよく分からないけどね…。
テストした限りでは記憶はそのままに過去をやり直す事は出来たが、それが何時間分なら可能なのかとかそういった限界は俺もまだ試していない。
同じ1日を繰り返すなんてやりたくないしね。」
「過去の自分に戻るテストまでしたなんて…。
無茶をするね…。あいかわらず。
しかし、そうか…。そのテストをしても副作用的なものは特に起こってないことからも、その力は既に君に馴染んでいる訳だ。
そして、君が伊邪那美命の力を発現させた故か邪神すらも寄り付く気配はないと…。」

俺はブレスウォッチを発動させ、セーブポイントをこの時間に上書きした。

「こうやって、セーブポイントを作っておけばその時間の自分へ移動する事ができる。
肉体ではなく魂の移動だな。
だから、俺が殺される事態になった時は、こいつを自動発動させる事で俺はこの時間に戻る事が出来る。
勿論、発動できる回数の上限とかはあるかもだけど…。」
「君がこの時間に実際戻ってこれたとして、未来に残された者達はどうなるのだろう…。
君が過去を変えていけば、未来に残るもの達の世界も変わるのか…。結局そのままなのか…。」
「それは俺の世界の物語でもよく議論されているよ。世界線理論ってやつでね。
過去や未来が変わる事があれば、そのタイミングで別の世界線へと移動すると言う理論と、過去や未来が変わろうと結局その世界線にいる者の運命は変わる事はないと言うものだ。
少なくとも世界を変えたものは、変わった後の世界を歩む事になるだろうって言うのが通説だね。」

ガシッと俺はみんなに肩を掴まれる。
皆それぞれが不安そうな顔で俺を見てくる。

「だったら…だったらアンタは望む未来が来るまで何度でも死んで、殺されて、苦しんでってのを繰り返そうって言うの!?
今のアンタはもしかしたら既に何万回もそれを繰り返してるかも知れないのに…。」
「繰り返してる記憶がないうちはまだ良いかもだ。繰り返して失敗した記憶を失わずになんども繰り返して行けば、いずれは心がおかしくなるだろうね…。
それでも俺は、もうやり遂げるって決めた。」
「ならば私はそれに最後まで付き合うぞ大賢者!
私にも君にもらった力がある。君がくれた命がある!ならば、この命も力も!共に君のために使うとしよう!」

勇者ちゃんに背中をバシッと叩かれる。

「目標!この一回で全てを解決して帰る!
やってみせるぞ?大賢者!君と私たちみんなの力で!君は一人じゃない。私たちが付いている事を決して忘れるな!」

ふと勇者ちゃんの言葉に、夢で見た黒髪の巫女服の少女の言葉も思い出す。
いつも俺を見守っている彼女もいるんだ。
俺は無事全てを終わらせて…生きて帰ってみせる!

食事を終えた俺たちは明日に備え早めに休む事にした。
俺は改めて装備の見直しとメンテナンスを行い、月明かりによるパワーストーン達の浄化とチャージを行った。

いざという時に力を使えなきゃ意味がないからな。

さて…いよいよ明日は敵陣だ。
そろそろ眠ろう…。

俺は先にすやすやと寝息をたてて眠っていた盗賊ちゃんの頭を優しく撫で、隣で眠りについた。


----


また、白い空間…。
てことは…。

「や、こんにちは。いや、こんばんは?それともおはようかな…?むーん…。まぁなんでもいっか。」
「やぁ、巫女ちゃん。こんばんは。
まぁ俺としては寝た直後に今ここに居るからこんばんはで良いだろう。」
「どう?敵の事、知れば知るほど恐怖だと思うけど…。心は折れてない?」
「正直怖いよ。口ではあぁ言って啖呵切ったけど、死ぬのも怖いし、自分が狂って周りを殺してしまうかも知れないその可能性もまた怖い…。
俺が、成功する未来へ歩む俺だって言う保証も無いんだ。
そう言えば君は、俺の結果も知ってるのか…。」
「うん、知ってるよ。だからこそ出来うる限りの事はしたつもり。
ただ、ほかのあなたは私と会話する事すら出来なかった。信じて。そして、いざとなったら私を必ず呼んで。忘れないで。
その為に私は今ここに居る。あなたの側に常に居るんだから。」

トンッと巫女ちゃんが俺の胸元をつつく。

「すごく、怖いでしょう?私知ってるもの。
貴方は誰かの為にならどんな事だって、なんだってするけど、本当は臆病で、嫌なことからは直ぐ逃げようとしてしまう性格な事。
面倒ごとはすごく嫌いな事。
だけど、困ってる人の前でだけはどんなに自分を苦しめる事になっても、困ってる人を救おうとする。
そんなあなただからこそ、私はあなたの守護龍として側に在りたいと思うようになったの。
ただね、怖い時は素直にその気持ちを吐き出しておいた方が良いよ?そうしないと心が壊れちゃう。
私は知ってる。あなたの心が陰湿ないじめで昔壊された事も。
あの時もあなたは、いじめてきてる加害者のことまで考えた。
たとえ自分が傷ついても、ほかの人がターゲットにされて苦しまないならとかそんな事を考えて、自分の心を砕かれた。
その経験から、あなたは本当は女性が怖い事も私は知ってる。」
「ただ、俺にそう言った経験があったからこそ今の俺が居るのもまた事実だよ。
俺を苦しめたりいじめてきた子達にも、俺自身にも何かしら理由はあったはずだし、その経験が互いに少しでも糧になっているなら許そうとまで思えるようにもなった。
苦しめられたからこそ、俺のことを大切に思ってくれる人が現れたら、それ以上に大切にしようと思うようになった。今がその時なんだ。
だからこそ俺は、俺を受け入れてくれた魔女さんを助けたいし守りたいと思った。」
「そっか…。それじゃこの先あなたの身に何が起こるのか。私からすれば何が起こったのか。
知っておきたい?」

その言葉にズンっと胸をえぐり、ハンマーでフルスイングで殴られるような衝撃が走る。
今の俺にはこの先起こる事は映像でしか見ていない。
自分がなぜそうなるに至ったのかは今はまだわからない。

だが、この胸にひどく走る衝撃や痛みでわかった。
本当は、俺はもう知っているんだ…。
その至った理由も何もかもを…。

「回数にして、1億6500万3851回。あなたは繰り返した。そして、1億6500万3852回目にして漸く解に辿り着いた。
だけど、あなたが繰り返した1億6500万3851回の記憶はあなた自身が苦しまないようにと封印した。
何故あなたがそこまで繰り返す事になったのか…。理由は一つ。
それもあの男があなたにかけた呪いの一つだから。
そして今回、あなたが無意識のままに行った準備と未来のあなたと、そして私との邂逅が重なり合い、漸く全ての突破口が開かれた。

4万年近い苦しみの人生の記憶がそのまま残っていたらあなたはもう人としては意識を保てなかったと思う。

だけど、知っておかなければあなたは彼に立ち向かえない。

だから私はあなたが体験する形で1回だけ、その苦しみの連鎖の始まりを見せる。

心配しなくても良いわ。
そのあと、あなたはここにまた戻ってくる事になるから。

すごく苦しいと思う。すごく悲しいと思う。
だけど、これを忘れたままじゃまた繰り返してしまうかもしれない。

それを避けるためにも私はあなたに一度、体験してもらう。

目を覚ましたあなたの先の世界は現実だけど、一度あなたが体験した全ての始まりの世界。

ただ、これは一度自分が体験したものだと知っているか居ないかでは心の持ちようも雲泥の差になる。

ありふれた言葉しか投げかけられないのが歯がゆいけど…頑張ってね…。
決して、諦めないで。」

そう言われると徐々に白い光は暗闇に変わっていき、俺はいつものように目を覚ました。

【今目を覚まして見ている世界は現実。
だけど、俺が一度経験しそして苦しめられる事になった世界】…か…。

正直、恐怖しかない。
思い出したくないだけでこの先、何時間後に何があるかを知ってる感覚…。
すごく気持ち悪い…。

俺は傍でまだ眠っている盗賊ちゃんをゆっくり抱きしめる。
怖い。

俺は夢で見ている。
すーすーと可愛く寝息をたてて、安心しきった顔で俺に抱かれてるこの子を、この手で殺した瞬間を…。
胸に腕を突き刺し、心臓をゆっくりと握りつぶして殺した…。
その時の苦しみと悲しみと、憎悪の入り混じった顔で俺を睨みつける彼女の顔はまだ頭に残っている…。

「その瞬間を…俺は1億回以上繰り返したのか…。」

俺はボソリと呟く。

そして俺は今から数時間後に、目の前で寝息を立てるこの子も…みんなも…殺してしまう事になるのか…。

知っておかなければならないとは言え…酷だな…。

大切な人を自らの手で殺める瞬間を見てこいなんて…。

そして、俺は運命の始まりの朝を迎える事になるのだった。
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