111 / 137
ー本編ーその辺のハンドメイド作家が異世界では大賢者になる話。
第82話 漆黒の雷帝
しおりを挟む
変身後、鎧はチタンコーティングでもされたかのように更に輝く様な黒い色に染まっていく。
これも魔鉄鋼の性質かなにかだろうか?
敵はゆっくりと此方へ向かって迫ってくる。
「こいつ…、街中でどんぱちやるつもりかよ!?
ご主人様!広い場所に移動しよう!ここは人通りが多すぎる!」
「そうは言ってもな…。あいつがそれでハイそうですか。って着いてくる雰囲気には思えないんだよな…。」
すると俺たちの前に転移門が出現し、マオちゃんたちが駆けつけて来た。
「ここら一体の住人の避難はワシらに任せい!
都長にも緊急自体による隔壁閉鎖をすでに依頼しておる!」
「隔壁閉鎖…。そんなのもあるのかこの都…。
王都より完璧すぎない…?まぁそんな事はどうでも良いか。変身!」
俺もライトニングクォーツを発動させ、雷帝モードに変身する。
更にファイアークオーツも発動させ火雷神フォームへとフォームチェンジして対峙する。
遅れて駆けつけた勇者ちゃん達との先導により、周辺住民の避難も完了し戦闘準備は整った。
「まぁ彼の街ですから待っていてあげましたが、さぁて皆さん準備はよろしいですか!その程度の力で彼とやりあえる自身があるのですか?
クハハハ!甘いですねぇ!私と彼が共同で作り出したこの力を前にその程度で立ち向かえますかねぇ!?」
「やかましいなアイツ。小物臭ハンパねぇ上に…。
スキル…【王泥棒】!」
盗賊ちゃんがスキルでローブの男を捕まえようとする。
「私にスキルは通じませんよ。その程度の防御策くらい当然身に付けています。」
「嘘だろ!?S級スキルすら防御できるような装備がこの世にあるってのかよ!?そんなんそれこそ国宝級…まさかお前!?」
「えぇ、これだけあれば当然奪うに決まってるじゃないですか。まぁ、ユニーク持ちのアイテムはコピー品が作れないと言うデメリットもありますからこの世界にあるのも私が持つこの一つでしょうがね。
ひとまず、私から先に倒そうなどと考えるのは…オススメしませんねぇえっ!」
ロープの男の全身から金属の触手のような物が生えてくる。
盗賊ちゃんはそれをヒラリヒラリと容易くかわして距離を取る。
「あの触手…。多分、ユニーク持ちの魔鉄鉱だな…。
当たったら色々とヤバイ気がする…。クソ…!」
「その通りですよ。貴方もおとなしく傍観していなさい。
新たな雷帝とかつての雷帝がぶつかり合うその瞬間を!!」
再び金属の触手を盗賊ちゃん目掛けて猛烈な速度で伸ばしてくるローブ男。
「ちょっちごめんね~。あんた、調子に乗りすぎだよ。」
声と共に都庁から飛び降りてきた黒エルフさんが、ローブ男をグーパンでぶっ飛ばす。
「ぐはぁああっ!!なんだと!?スキル無効に物理軽減の防御アイテムを装備してるのに、なぜこの威力がまかり通る!?」
「んなもん、スキル発動のタイムラグを突くように高速乱打すりゃ意味ないっしょ。小物だねぇ…。アンタ。」
「バカな…!口で言うほど簡単なものではないぞ…!貴様…何者だ…!」
長い髪をかきあげながら、ヒールをカッ!と鳴らしローブの男に向き合う黒エルフさん。
カッコいいっす!!
「あぁん?ウチのことしらねぇとかアンタ本当に小物だねぇ。【漆黒の女豹たる戦姫】ってのも聞いたことないのかい?」
「ぬなっ!ご主人様大変だ!漆黒の女豹たる戦姫ってのは超有名な伝説級の冒険者だ!スゲェ…生で見れるなんて…。戦場を駆けるその姿はまさに漆黒の闇。黒き影。一瞬の元に対象を仕留める事から二重の意味で女豹と呼ばれた、戦場に舞う麗しき姫!!
それがあの人だ!話でしか聞いたことないと言うか、ボスがあの人の大ファンだったんだよ!!すげぇ!生女豹だ!」
盗賊ちゃんが珍しくテンション爆上がりになっている。
そんな君もほんと可愛いよ。うん。
「説明ありがとうねぇお嬢ちゃん。まぁ、そう言うこと。スキルや防具に頼るような小物じゃ、ウチらは相手になりゃしないっつーワケ。おわかり?」
「なるほど…。あの伝説の女豹がよもやここの都長をやっていたとは…リサーチ不足でしたよ。仕方ありません。私は引かせていただきます。」
ローブの男はそういうと、転移魔法で1人退散した。
「賢者っち!気をつけるっしょ!あんなローブの雑魚キャラよりもそっちのがよっぽどヤバイ…!
放ってる力も抑え込んで解放してない力も相当なモンだよ!」
「わかってる…!さて…どうやって立ち向かうとしようかな…。」
敵の黒い雷帝は漸く出番か…と言わんばかりに此方へとまたゆっくり足を進める。
どう来るかと身構える俺に対して余裕と言わんばかりに。
ジリジリと互いの距離が詰まっていく。
「オマエハ…タタカワナイノカ…?オレニ…チカラヲミセツケルノデハナイノカ…?」
「攻撃もしない相手を殴るわけないだろう。
それはいじめっ子のやる事だ。」
「ソウカ…。サキニコウゲキシタラ…イジメッコカ…。デハ…。カマエロ…。ドウジデアレバ…、イジメデハナイ…。」
相手は腕の装甲を展開して真っ赤な閃光を放つプラズマブレードを展開する。
こっちも腕の装甲を展開し、青白いプラズマブレードに青い炎を纏い構える。
そして、刹那の瞬間に互いのブレードがぶつかり合うのを合図に戦いが始まった。
「ご主人様が押されてる…?クソ…!加勢を!」
「待つにゃ!下手に手を出せばこっちの手足が飛ぶにゃ!あの破壊力を知らないわけじゃにゃいだろ?」
「そりゃそうだが…。でもこのままじゃ…!」
「せめて隙を伺うにゃ!最悪の場合、離脱も前提とした隙を…!」
こっちは火雷神の力を使ったプラズマブレードだってのに、あっちはただのプラズマブレードで俺の一撃を打ち返している。
戦闘センスも全然違う…!
彼はきっと…戦いなれている…!
「マズイね…。あの子、自分で素材の採掘とかでダンジョンにも潜るような子なんだ…。
与えられた階級はA級だけど、それにあれだけの力を手に入れた今の彼に、戦闘センス皆無の力でのごり押しじゃ勝てないっしょ…。」
当たったらお互いの腕が飛びかねないと思うと、俺は本気で打ち込めないのに対しあっちは遠慮がない。
殺す気で来ている。
これがまず俺たちの大きな差だ。
俺はまだ…力を使う事を恐れている。
相手を殺すつもりで力を使うなんて、そんな勇気は俺にはない。
邪神も堕天使も、俺はその悪意に対してだけ力を振るっていた。
殺そうとはしていなかった。
そして、今こうやってまた明確な殺意を向けられていても…俺はまた迷っている。
力を「使わずにいる。」
「オソレテイルノカ?オマエハ…ヨワイナ。ナラバ…タオレルガイイ。」
敵は俺から距離を取ると、俺めがけて掌を向けて魔力を収束する。
それでも俺は防御の体制を取るだけだった。
無意識だった。
打ち勝とうなんて微塵も考えるような動きではなかった。
「言ってくれるじゃない…。この人はね…あなた達とは違うの。優しいのよ!」
マオちゃんが作ったであろうゲートを通って俺の前に出て、黒い雷帝を不動明王と共に戦士の少女が斬りつけた。
「貴方が悪意と戦えないなら私が剣になる。
私が戦う!私は…大賢者の剣!そして…貴方の戦士よ!
権限せよ…軻遇突智(カグツチ)!」
戦士はファイアクォーツを発動し、右手に手甲を装備し背後に焔の魔神を出現させる。
そして、そのまま黒い雷帝めがけて業火を纏った剣を振るった。
が、相手はそれを軽く受け止め真紅の雷で剣を砕いていく。
砕かれたところで、再び炎が剣となり再生されるのだが、何度斬りつけようともたやすく破壊されてしまう。
つまり神気にすら打ち勝てる強力な雷という事だ。
まるで歯が立たない状態…。
傷をつけることは敵わない。
「だったら…こう言うのはどうよ!」
今度は拳そのもので黒い雷帝を押し潰す。
雷帝もこの勢いは受け止めきれず、地面を陥没させながらもろにその拳を受けてしまう。
だが、決定的なダメージになってる様子はない。
まるで本棚がひっくり返って本に埋もれたとか、その程度のレベルのダメージだ。
拳を簡単に跳ね除けすぐさま起き上がると、掌に魔力を集中し始めた。
そしてそれを巨大な黒い雷を纏った暴風と共にこちら目掛けて撃ち放ってくる。
「その力…利用させてもらう!」
俺は戦士と共にその雷を互いの炎皇之手甲で受け止め、その力を拳に纏い黒い雷帝にそのまま同時に叩き込んだ。
だがそれすらも大したダメージになっている様子はない。
「コノテイドカ…。」
ブォンッと言う空気が振動する音がしたと思うと、戦士は遠くの建物の壁へと一瞬で打ち付けられていた。
幸い、魔神の力を使っていたことにより大きな怪我はなさそうだが、そのまま気を失ってしまった。
今度はそのまま此方へと攻撃をしてくる気配を感じ、一瞬のうちに放たれた拳をなんとか受け止める。
だが、受け止めた俺の掌の鎧にビシッとヒビが入っていく。
すぐさま再生し次の攻撃に備えるが、その隙に何発も拳を叩き込まれていく。
壊されては再生しを繰り返していくが、徐々に相手の放つ拳の破壊力が増していく。
再生が追い付かないほどに、俺は距離を取ろうと全身から雷のオーラを放ち相手が怯んだ隙にバックステップする。
そして、拳に強大な雷と青白い炎を纏い相手の真紅の雷を纏った拳にそのままぶつける。
お互いの拳が激しい閃光で辺りを照らしていく。
俺の右腕の鎧は相手の拳を受け止めきれずまたも崩壊していく。
「なぁ…なんで、ご主人様は…伊邪那美命の力やドラゴンアゲートの力を使わないんだ…?」
「使いたくないんだと思うにゃ…。下手をすれば相手を殺しかねないその力を振るうことを恐れているのにゃ…。それと、敵に手の内を全て曝け出すことも…。」
それもある…。だが、相手の鎧は此方よりも遥かに力が強い…。
伊邪那美命の力やドラゴンアゲートの力を用いたとしても勝ち目があるかどうか…。
「ドウシタ…?オマエノモツチカラハコレダケデハナイハズダ。ホンキデチカラヲフルウガイイ。」
そのまま雷を纏った蹴りをモロに受け、俺も壁まで吹き飛ばされる。
「くそ…。迷ってる暇はないか…。」
その全身に神気を集め、俺は白く光り輝く伊邪那美命モードへとさらに変身する。
「ソレガサラナルカミノチカラカ…。ナラバ、マガツ…イザナギ!!」
禍津伊邪那岐…!?バカな!そいつはこの前俺たちが討伐した筈だ…!
「おいおいおい…!なんでお前がその力を持ってい…」
そのまま黒い雷帝から放たれた槍が俺の身体を刺し貫く。
俺を貫いた槍から更に真紅の雷が俺の身体を侵食するかのように、俺の白く輝く鎧すら黒く焦がしながら破壊していく。
「クソ…!抗え…ないっ!!」
俺の全身の鎧がバギンッ!!と激しい音を立てて次々砕け散る。
「【王泥棒】!!」
盗賊ちゃんが、完全に打ち砕かれる前にその場に槍だけ残して俺を手元へと引き寄せる。
だが、鎧が完全に砕けた事で制御を失った雷帝の力は、俺の意思ですら抑えきれないようになって来ていた。
「みんな…離れて!鎧がなくなった事で…力が暴走しそうになっている…!このままじゃ…あの時みたいに…力を抑えきれずにどこに向けるかわからない…!」
「オシイ…。ダガ…ショウメイハナサレタ。オレノチカラハ…オマエヲコエテイル。イッポンデオマエヲクダケルナラバ…フクスウデオマエヲサシツラヌケバヨイ…。」
皆は完全に敵の雷帝と暴走直前の俺から放たれる神気にあてられてほとんど動けないような状態だ。
この戦況は…このままでは変えられない…。
龍の力を使うか…?だが、相手もまだまだ隠し玉を持ってるかもしれない。
伊邪那岐の力を持ち出されただけでもかなりの驚きだ。
だがそんなのお構いなしであっちは、大量の槍をその周囲に出現させる。そしてその槍を俺めがけて勢いよく一気に放ってくる。
こんなもん、俺を貫いた後に俺の後ろにいる人たちに当たろうものなら…死は…免れない…!
鎧も砕かれちまったし…このままじゃ…確実に負ける…。
少なくとも新しい鎧が必要だ…!
新しい…鎧…何か…何かないか…!
「賢者!新しい鎧なら…2つ!もう賢者の手元にあるにゃ!!一つはバイク!あれは魔鉄鋼を惜しみなくふんだんに使って作られているにゃ!だからこそ形を変えることが出来るのにゃ!
そしてもう一つは…!!」
敵が投げつけた槍が突如巻き起こった暴風により、すべて叩き落とされた。
「我を呼んだか?主人よ…。纏え!我が鎧を!!呼べ!我が名を!!
そして求めよ!我が力を!!我が名は!」
「「闇龗神!!」」
アーマードドラゴンへと変身した闇龗神が俺の身体を包み込む。
そして俺は、バイクを召喚しライトニングクォーツをスロットルに差し込み鎧へと変形させる。
「よし!こういう時のセリフは私に任せろ!!こほん!
それは、最強の破壊神。それは、勇気の究極なる姿。我々がたどり着いた大いなる遺産。
その名は…」
「言わせねぇよ!?
ダイ!ケン!ジャー!とか言わないよ!?
さて…、お前にどこまで通じるかは知らないが…これで俺も鎧だけならお前と互角だ。いくぞ、黒いの。
ここからは…俺のステージだ!」
これも魔鉄鋼の性質かなにかだろうか?
敵はゆっくりと此方へ向かって迫ってくる。
「こいつ…、街中でどんぱちやるつもりかよ!?
ご主人様!広い場所に移動しよう!ここは人通りが多すぎる!」
「そうは言ってもな…。あいつがそれでハイそうですか。って着いてくる雰囲気には思えないんだよな…。」
すると俺たちの前に転移門が出現し、マオちゃんたちが駆けつけて来た。
「ここら一体の住人の避難はワシらに任せい!
都長にも緊急自体による隔壁閉鎖をすでに依頼しておる!」
「隔壁閉鎖…。そんなのもあるのかこの都…。
王都より完璧すぎない…?まぁそんな事はどうでも良いか。変身!」
俺もライトニングクォーツを発動させ、雷帝モードに変身する。
更にファイアークオーツも発動させ火雷神フォームへとフォームチェンジして対峙する。
遅れて駆けつけた勇者ちゃん達との先導により、周辺住民の避難も完了し戦闘準備は整った。
「まぁ彼の街ですから待っていてあげましたが、さぁて皆さん準備はよろしいですか!その程度の力で彼とやりあえる自身があるのですか?
クハハハ!甘いですねぇ!私と彼が共同で作り出したこの力を前にその程度で立ち向かえますかねぇ!?」
「やかましいなアイツ。小物臭ハンパねぇ上に…。
スキル…【王泥棒】!」
盗賊ちゃんがスキルでローブの男を捕まえようとする。
「私にスキルは通じませんよ。その程度の防御策くらい当然身に付けています。」
「嘘だろ!?S級スキルすら防御できるような装備がこの世にあるってのかよ!?そんなんそれこそ国宝級…まさかお前!?」
「えぇ、これだけあれば当然奪うに決まってるじゃないですか。まぁ、ユニーク持ちのアイテムはコピー品が作れないと言うデメリットもありますからこの世界にあるのも私が持つこの一つでしょうがね。
ひとまず、私から先に倒そうなどと考えるのは…オススメしませんねぇえっ!」
ロープの男の全身から金属の触手のような物が生えてくる。
盗賊ちゃんはそれをヒラリヒラリと容易くかわして距離を取る。
「あの触手…。多分、ユニーク持ちの魔鉄鉱だな…。
当たったら色々とヤバイ気がする…。クソ…!」
「その通りですよ。貴方もおとなしく傍観していなさい。
新たな雷帝とかつての雷帝がぶつかり合うその瞬間を!!」
再び金属の触手を盗賊ちゃん目掛けて猛烈な速度で伸ばしてくるローブ男。
「ちょっちごめんね~。あんた、調子に乗りすぎだよ。」
声と共に都庁から飛び降りてきた黒エルフさんが、ローブ男をグーパンでぶっ飛ばす。
「ぐはぁああっ!!なんだと!?スキル無効に物理軽減の防御アイテムを装備してるのに、なぜこの威力がまかり通る!?」
「んなもん、スキル発動のタイムラグを突くように高速乱打すりゃ意味ないっしょ。小物だねぇ…。アンタ。」
「バカな…!口で言うほど簡単なものではないぞ…!貴様…何者だ…!」
長い髪をかきあげながら、ヒールをカッ!と鳴らしローブの男に向き合う黒エルフさん。
カッコいいっす!!
「あぁん?ウチのことしらねぇとかアンタ本当に小物だねぇ。【漆黒の女豹たる戦姫】ってのも聞いたことないのかい?」
「ぬなっ!ご主人様大変だ!漆黒の女豹たる戦姫ってのは超有名な伝説級の冒険者だ!スゲェ…生で見れるなんて…。戦場を駆けるその姿はまさに漆黒の闇。黒き影。一瞬の元に対象を仕留める事から二重の意味で女豹と呼ばれた、戦場に舞う麗しき姫!!
それがあの人だ!話でしか聞いたことないと言うか、ボスがあの人の大ファンだったんだよ!!すげぇ!生女豹だ!」
盗賊ちゃんが珍しくテンション爆上がりになっている。
そんな君もほんと可愛いよ。うん。
「説明ありがとうねぇお嬢ちゃん。まぁ、そう言うこと。スキルや防具に頼るような小物じゃ、ウチらは相手になりゃしないっつーワケ。おわかり?」
「なるほど…。あの伝説の女豹がよもやここの都長をやっていたとは…リサーチ不足でしたよ。仕方ありません。私は引かせていただきます。」
ローブの男はそういうと、転移魔法で1人退散した。
「賢者っち!気をつけるっしょ!あんなローブの雑魚キャラよりもそっちのがよっぽどヤバイ…!
放ってる力も抑え込んで解放してない力も相当なモンだよ!」
「わかってる…!さて…どうやって立ち向かうとしようかな…。」
敵の黒い雷帝は漸く出番か…と言わんばかりに此方へとまたゆっくり足を進める。
どう来るかと身構える俺に対して余裕と言わんばかりに。
ジリジリと互いの距離が詰まっていく。
「オマエハ…タタカワナイノカ…?オレニ…チカラヲミセツケルノデハナイノカ…?」
「攻撃もしない相手を殴るわけないだろう。
それはいじめっ子のやる事だ。」
「ソウカ…。サキニコウゲキシタラ…イジメッコカ…。デハ…。カマエロ…。ドウジデアレバ…、イジメデハナイ…。」
相手は腕の装甲を展開して真っ赤な閃光を放つプラズマブレードを展開する。
こっちも腕の装甲を展開し、青白いプラズマブレードに青い炎を纏い構える。
そして、刹那の瞬間に互いのブレードがぶつかり合うのを合図に戦いが始まった。
「ご主人様が押されてる…?クソ…!加勢を!」
「待つにゃ!下手に手を出せばこっちの手足が飛ぶにゃ!あの破壊力を知らないわけじゃにゃいだろ?」
「そりゃそうだが…。でもこのままじゃ…!」
「せめて隙を伺うにゃ!最悪の場合、離脱も前提とした隙を…!」
こっちは火雷神の力を使ったプラズマブレードだってのに、あっちはただのプラズマブレードで俺の一撃を打ち返している。
戦闘センスも全然違う…!
彼はきっと…戦いなれている…!
「マズイね…。あの子、自分で素材の採掘とかでダンジョンにも潜るような子なんだ…。
与えられた階級はA級だけど、それにあれだけの力を手に入れた今の彼に、戦闘センス皆無の力でのごり押しじゃ勝てないっしょ…。」
当たったらお互いの腕が飛びかねないと思うと、俺は本気で打ち込めないのに対しあっちは遠慮がない。
殺す気で来ている。
これがまず俺たちの大きな差だ。
俺はまだ…力を使う事を恐れている。
相手を殺すつもりで力を使うなんて、そんな勇気は俺にはない。
邪神も堕天使も、俺はその悪意に対してだけ力を振るっていた。
殺そうとはしていなかった。
そして、今こうやってまた明確な殺意を向けられていても…俺はまた迷っている。
力を「使わずにいる。」
「オソレテイルノカ?オマエハ…ヨワイナ。ナラバ…タオレルガイイ。」
敵は俺から距離を取ると、俺めがけて掌を向けて魔力を収束する。
それでも俺は防御の体制を取るだけだった。
無意識だった。
打ち勝とうなんて微塵も考えるような動きではなかった。
「言ってくれるじゃない…。この人はね…あなた達とは違うの。優しいのよ!」
マオちゃんが作ったであろうゲートを通って俺の前に出て、黒い雷帝を不動明王と共に戦士の少女が斬りつけた。
「貴方が悪意と戦えないなら私が剣になる。
私が戦う!私は…大賢者の剣!そして…貴方の戦士よ!
権限せよ…軻遇突智(カグツチ)!」
戦士はファイアクォーツを発動し、右手に手甲を装備し背後に焔の魔神を出現させる。
そして、そのまま黒い雷帝めがけて業火を纏った剣を振るった。
が、相手はそれを軽く受け止め真紅の雷で剣を砕いていく。
砕かれたところで、再び炎が剣となり再生されるのだが、何度斬りつけようともたやすく破壊されてしまう。
つまり神気にすら打ち勝てる強力な雷という事だ。
まるで歯が立たない状態…。
傷をつけることは敵わない。
「だったら…こう言うのはどうよ!」
今度は拳そのもので黒い雷帝を押し潰す。
雷帝もこの勢いは受け止めきれず、地面を陥没させながらもろにその拳を受けてしまう。
だが、決定的なダメージになってる様子はない。
まるで本棚がひっくり返って本に埋もれたとか、その程度のレベルのダメージだ。
拳を簡単に跳ね除けすぐさま起き上がると、掌に魔力を集中し始めた。
そしてそれを巨大な黒い雷を纏った暴風と共にこちら目掛けて撃ち放ってくる。
「その力…利用させてもらう!」
俺は戦士と共にその雷を互いの炎皇之手甲で受け止め、その力を拳に纏い黒い雷帝にそのまま同時に叩き込んだ。
だがそれすらも大したダメージになっている様子はない。
「コノテイドカ…。」
ブォンッと言う空気が振動する音がしたと思うと、戦士は遠くの建物の壁へと一瞬で打ち付けられていた。
幸い、魔神の力を使っていたことにより大きな怪我はなさそうだが、そのまま気を失ってしまった。
今度はそのまま此方へと攻撃をしてくる気配を感じ、一瞬のうちに放たれた拳をなんとか受け止める。
だが、受け止めた俺の掌の鎧にビシッとヒビが入っていく。
すぐさま再生し次の攻撃に備えるが、その隙に何発も拳を叩き込まれていく。
壊されては再生しを繰り返していくが、徐々に相手の放つ拳の破壊力が増していく。
再生が追い付かないほどに、俺は距離を取ろうと全身から雷のオーラを放ち相手が怯んだ隙にバックステップする。
そして、拳に強大な雷と青白い炎を纏い相手の真紅の雷を纏った拳にそのままぶつける。
お互いの拳が激しい閃光で辺りを照らしていく。
俺の右腕の鎧は相手の拳を受け止めきれずまたも崩壊していく。
「なぁ…なんで、ご主人様は…伊邪那美命の力やドラゴンアゲートの力を使わないんだ…?」
「使いたくないんだと思うにゃ…。下手をすれば相手を殺しかねないその力を振るうことを恐れているのにゃ…。それと、敵に手の内を全て曝け出すことも…。」
それもある…。だが、相手の鎧は此方よりも遥かに力が強い…。
伊邪那美命の力やドラゴンアゲートの力を用いたとしても勝ち目があるかどうか…。
「ドウシタ…?オマエノモツチカラハコレダケデハナイハズダ。ホンキデチカラヲフルウガイイ。」
そのまま雷を纏った蹴りをモロに受け、俺も壁まで吹き飛ばされる。
「くそ…。迷ってる暇はないか…。」
その全身に神気を集め、俺は白く光り輝く伊邪那美命モードへとさらに変身する。
「ソレガサラナルカミノチカラカ…。ナラバ、マガツ…イザナギ!!」
禍津伊邪那岐…!?バカな!そいつはこの前俺たちが討伐した筈だ…!
「おいおいおい…!なんでお前がその力を持ってい…」
そのまま黒い雷帝から放たれた槍が俺の身体を刺し貫く。
俺を貫いた槍から更に真紅の雷が俺の身体を侵食するかのように、俺の白く輝く鎧すら黒く焦がしながら破壊していく。
「クソ…!抗え…ないっ!!」
俺の全身の鎧がバギンッ!!と激しい音を立てて次々砕け散る。
「【王泥棒】!!」
盗賊ちゃんが、完全に打ち砕かれる前にその場に槍だけ残して俺を手元へと引き寄せる。
だが、鎧が完全に砕けた事で制御を失った雷帝の力は、俺の意思ですら抑えきれないようになって来ていた。
「みんな…離れて!鎧がなくなった事で…力が暴走しそうになっている…!このままじゃ…あの時みたいに…力を抑えきれずにどこに向けるかわからない…!」
「オシイ…。ダガ…ショウメイハナサレタ。オレノチカラハ…オマエヲコエテイル。イッポンデオマエヲクダケルナラバ…フクスウデオマエヲサシツラヌケバヨイ…。」
皆は完全に敵の雷帝と暴走直前の俺から放たれる神気にあてられてほとんど動けないような状態だ。
この戦況は…このままでは変えられない…。
龍の力を使うか…?だが、相手もまだまだ隠し玉を持ってるかもしれない。
伊邪那岐の力を持ち出されただけでもかなりの驚きだ。
だがそんなのお構いなしであっちは、大量の槍をその周囲に出現させる。そしてその槍を俺めがけて勢いよく一気に放ってくる。
こんなもん、俺を貫いた後に俺の後ろにいる人たちに当たろうものなら…死は…免れない…!
鎧も砕かれちまったし…このままじゃ…確実に負ける…。
少なくとも新しい鎧が必要だ…!
新しい…鎧…何か…何かないか…!
「賢者!新しい鎧なら…2つ!もう賢者の手元にあるにゃ!!一つはバイク!あれは魔鉄鋼を惜しみなくふんだんに使って作られているにゃ!だからこそ形を変えることが出来るのにゃ!
そしてもう一つは…!!」
敵が投げつけた槍が突如巻き起こった暴風により、すべて叩き落とされた。
「我を呼んだか?主人よ…。纏え!我が鎧を!!呼べ!我が名を!!
そして求めよ!我が力を!!我が名は!」
「「闇龗神!!」」
アーマードドラゴンへと変身した闇龗神が俺の身体を包み込む。
そして俺は、バイクを召喚しライトニングクォーツをスロットルに差し込み鎧へと変形させる。
「よし!こういう時のセリフは私に任せろ!!こほん!
それは、最強の破壊神。それは、勇気の究極なる姿。我々がたどり着いた大いなる遺産。
その名は…」
「言わせねぇよ!?
ダイ!ケン!ジャー!とか言わないよ!?
さて…、お前にどこまで通じるかは知らないが…これで俺も鎧だけならお前と互角だ。いくぞ、黒いの。
ここからは…俺のステージだ!」
0
あなたにおすすめの小説
裁判を無効にせよ! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!
サイコちゃん
恋愛
十二歳の少女が男を殴って犯した……その裁判が、平民用の裁判所で始まった。被告はハリオット伯爵家の女中クララ。幼い彼女は、自分がハリオット伯爵に陥れられたことを知らない。裁判は被告に証言が許されないまま進み、クララは絞首刑を言い渡される。彼女が恐怖のあまり泣き出したその時、裁判所に美しき紳士と美少年が飛び込んできた。
「裁判を無効にせよ! 被告クララは八年前に失踪した私の娘だ! 真の名前はクラリッサ・エーメナー・ユクル! クラリッサは紛れもないユクル公爵家の嫡女であり、王家の血を引く者である! 被告は平民ではなく公爵令嬢である!」
飛び込んできたのは、クラリッサの父であるユクル公爵と婚約者である第二王子サイラスであった。王家と公爵家を敵に回したハリオット伯爵家は、やがて破滅へ向かう――
※作中の裁判・法律・刑罰などは、歴史を参考にした架空のもの及び完全に架空のものです。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?
ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」
バシッ!!
わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。
目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの?
最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故?
ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない……
前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた……
前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。
転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?
婚約破棄された宰相です。 正直、婚約者も宰相も辞めたかったので丁度よかったです
鍛高譚
恋愛
内容紹介
「婚約破棄だ! そして宰相もクビだ!」
王宮の舞踏会で突然そう宣言したのは、女性問題を繰り返す問題王太子ユリウス。
婚約者であり王国宰相でもあるレティシアは、静かに答えた。
「かしこまりました」
――正直、本当に辞めたかったので。
これまで王太子の女性問題の後始末、慰謝料交渉、教会対応、社交界の火消し……
すべて押し付けられていたレティシアは、婚約も宰相職もあっさり辞任。
そしてその瞬間――
王宮が止まった。
料理人が動かない。
書類が処理されない。
伝令がいない。
ついにはトイレの汚物回収まで止まり、王宮は大混乱。
さらに王太子の新たな女性問題が発覚し、教会は激怒。
噂は王都中に広がり、王宮は完全に統治不能に。
そしてついに――
教会・貴族・王家が下した決断は、
「王太子廃嫡」
そして。
「レティシア、女王即位」
婚約破棄して宰相をクビにした結果、
王宮を止めてしまった元王太子の末路とは――?
これは、婚約破棄された宰相が女王になるまでの
完全自業自得ざまぁ物語。
ソロキャンする武装系女子ですが婚約破棄されたので傷心の旅に出たら——?
ルーシャオ
恋愛
ソロキャンする武装系女子ですが婚約破棄されたので傷心の旅に出たら——?
モーリン子爵家令嬢イグレーヌは、双子の姉アヴリーヌにおねだりされて婚約者を譲り渡す羽目に。すっかり姉と婚約者、それに父親に呆れてイグレーヌは別荘で静養中の母のもとへ一人旅をすることにした。ところが途中、武器を受け取りに立ち寄った騎士領で騎士ブルックナーから騎士見習い二人を同行させて欲しいと頼まれる。
そのころ、イグレーヌの従姉妹であり友人のド・ベレト公女マリアンはイグレーヌの扱いに憤慨し、アヴリーヌと婚約者へとある謀略を仕掛ける。そして、宮廷舞踏会でしっかりと謀略の種は花開くことに——。
【完結】前提が間違っています
蛇姫
恋愛
【転生悪役令嬢】は乙女ゲームをしたことがなかった
【転生ヒロイン】は乙女ゲームと同じ世界だと思っていた
【転生辺境伯爵令嬢】は乙女ゲームを熟知していた
彼女たちそれぞれの視点で紡ぐ物語
※不定期更新です。長編になりそうな予感しかしないので念の為に変更いたしました。【完結】と明記されない限り気が付けば増えています。尚、話の内容が気に入らないと何度でも書き直す悪癖がございます。
ご注意ください
読んでくださって誠に有難うございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる