オレにだけ「ステイタス画面」っていうのが見える。

黒茶

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これからのこと。

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 ヴァルター先輩と想いが通じ合ってからはや数日。
相変わらずオレたちはいつものガゼボで密会(密会・・・笑)していた。

 でもこれまでの勉強会のときとは全然違う。
ガゼボに行くのが楽しみでしょうがなくてつい急いでしまうし、
先輩が待っていてくれたのを見つけると心が躍るし、
早く会いたい、おしゃべりしたい、と
気持ちがはやって走り出してしまう。

「先輩、お待たせしました!」

オレが息を切らしながら到着すると、
先輩は目を細めてオレを見た。

「今までもここでクラウスを待っていたことはあったが、
こんなに心が躍ることはなかったな。
まさか自分がこんなに変わるなんて思ってもみなかった」

と先輩が言った。

「あー!それ!オレも思ってたやつ!」

とオレがとっさに言うと、

「同じことを考えていただけでうれしくなるなんて、
こんな些細なことでもうれしくなるなんて、
もう俺は重症だな」

と先輩は困ったような笑顔をした。

くぅ、先輩がかわいい。
いや、かっこいいんだけど、かわいい。

もうすぐ進級前の春休みに入ってしまうので、
しばらくは先輩とも会えない日々になってしまう。

「先輩としばらく会えなくなるの、やだなぁ」

とオレがボソッと言うと、
先輩は手で顔を覆って下を向いた。

そしてオレと同じくらいボソッと

「クラウスがかわいすぎてツライ」

と言った。

「何言ってるんですか!
オレはかわいくなんかないです!
かっこいいって言われるようなオトコになるのを目標にしてるのに!」

と数分前に自分が思ったことを棚に上げて、先輩に目一杯抗議した。

「あの・・・」

オレは実はちょっと、いや、かなり気になっていたことをきりだした。

「あの・・・先輩とオレって、つきあってる、っていうことでいいんですよね?」

すると先輩はふっと笑って言った。

「そうだったな、好きだという気持ちは伝えたが、きちんと正確には伝えきれていなかった」

そして先輩は座っているオレの前にひざまづき、
オレの手を取り、
オレの瞳をみつめながら、

「クラウス=アイゼンシュタット。
俺と未来永劫、一緒にいてほしい」

と言い、オレの手の甲にスッと口づけをした。

先輩!それ!交際申し込みじゃなくてプロポーズじゃん!?

予想以上の破壊力を持った先輩からの攻撃(もはやこれは攻撃)に
俺は真っ赤になり、言葉を失った。

そんなオレの様子を見て、
先輩はクスクス笑った。

ムカつく。
余裕綽々の先輩がムカつく。

オレはひざまづいている先輩に向かって抱きつき、
先輩をそのまま地面に押し倒した。
先輩の上から抱きつきながら、

「先輩がイヤだって言ってもオレは未来永劫離れませんから、
先輩こそ覚悟していてくださいね!」

と言った。言ってやった。

先輩はオレの予想外の行動にびっくりしたようだったが、
そのままぎゅっと抱きしめ返してきた。

「・・・それは楽しみだ」

とオレの頭に先輩はほおずりしたのだった。

しばらくそのまま抱きしめ合っていたのだが。
オレははっと我に返った。

よく考えたら、先輩を地面に押し倒してしまった!

こんな国宝級に輝かしく見目麗しい先輩を地面に転がしてしまった!

「先輩、ごめんなさい、先輩を汚してしまって・・・」
「おい、クラウス、その表現は誤解を招くからやめなさい」

先輩は真顔で言った。

オレ達は立ち上がり、
先輩の制服の背中についてしまった芝生の草をはらいながら、
オレは先輩に聞いた。

「先輩はオレとの・・・この関係を他の人にオープンにしますか?
それとも秘密にしておきたいですか?」

先輩は人気者だし、
オレみたいなさえない一生徒と付き合っているなんてバレたら
なんか暴動おきそうなんだけど。

そこは卑屈とかじゃなくて、事実としてオレは受け止めている。

「うーん、
しばらくはヒミツにしておきたいかな」

と先輩は言った。

まあそうですよね。
受け止めている、と強がってはみても、
なんでだろう、なんか、ちょっと、胸がチクっとする。

「その他大勢の奴らに、クラウスの魅力が伝わってしまうのがイヤだ」

え?

オレは耳を疑った。

「え、なんですかそれ。オレの魅力?」

オレがぽかんとして言い返すと、

「そういうところ。
クラウスは無自覚だからな、タチが悪い」

先輩が謎なことを言っていた。

「あ、そうそう、
君の親友のルーカスには俺との関係を伝えていいぞ。
未来永劫、ヴァルター先輩と一緒にいるから祝福してくれ、
って存分に伝えていいぞ」

先輩、
ルーカスのこと、めちゃくちゃ気にしてんじゃん。
めちゃくちゃ牽制するじゃん。

「わかりました、ルーカスには伝えますね」

オレはそう言いながら、
ルーカスが

「え!あのヴァルター先輩と!?
お前らいつの間に知り合ったの?すげぇじゃん!
おめでとう!!オレも自分の事みたいにうれしいよ!!!」

って満面の笑顔で祝福してくれるのが目に浮かんだ。

お前も未来永劫、オレの大切な親友でいてくれ!!!


そして春休みに入り、
オレはしばらく実家に帰ったこともあり先輩に会えない日々に悶々としていたが、
ようやく新学期になり、オレは魔法騎士学院の寮に戻ってきた。

オレは魔法騎士学院3年、
先輩は最終学年である6年となった。

いよいよ明日から新学期。
というときに、オレに新たな異変が現れた。

オレの左上に、本みたいなものが浮いているのが見えるようになった。
なんだこれ?

触ってみると、
今まで
『ステータス画面』
として表れていた長方形みたいなものがでてきた。

が、

『ステータス画面』
とは書かれておらず、
『ミッション』
と書かれていた。

なんだこれ?

実はオレが寝ている間に
『エターナルワールド ゲーム スタート』
という長方形もでてきていたのだが、
オレはそれには全く気付いていなかった。



-------------------------
先に謝っておきます・・・
私、乙女ゲームの世界に転生したお話は読んだことあるんですけど、
本格的な恋愛趣味レーションゲーム自体は
やったことがなくて、
色々とご都合主義があるということで、
広い心で読んでいただけると幸いです・・・



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