侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと

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虎と蛇に睨まれるカエル

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「パパー!」

「アニエス。アリスティドまでどうした?」

「嫌なことあったから癒してー!」

パパに抱きついてぎゅっとする。

パパは嫌なこと、と聞いて眉を寄せたけど私を抱きしめてくれる。

「大丈夫か?」

「うん、大丈夫!」

パパにぎゅうぎゅうされてパパ成分を補給したからね。

「じゃあアリス先生、バトンタッチ!」

「はい、面倒な話になりそうだから盗み聞きせずに部屋に戻るんだよ」

「はーい!」

今度は盗み聞きはせずに、真っ直ぐ部屋に戻る。

おじさんは私を見て青い顔してて、ちょっと可哀想だったけどフォローのしようもないのでごめんね。



















「…で?アニエスに何があった?」

「あの小娘に意地悪言われててさぁ。殺してやろうかと思ったよね」

アリスティドに聞けば、そんな話をされる。

急速に機嫌が悪くなるのを自覚したが、自覚してどうなるものでもない。

「…お前が殺さないなら俺がやる」

「ダメだって。アニエスに嫌われるよ?」

「チッ…」

「ま、その代わりイモムシに変えといたんだけどねー」

そう言ってアリスティドがイモムシを魔法でアガット侯爵の目の前に突きつけた。

…やることがえげつない。

いっそ殺してやった方がマシだろうに。

娘がいる今、ほんの少しだけアガット侯爵に同情する。

とはいえ、こちらも容赦する気はないが。

「え、あ…え…?」

アガット侯爵はもはや顔色が真っ白。

今にも卒倒しそうな表情で、まだ娘がどんな目に遭っているのか理解しきれていないらしい。

「殺すのはやめておいたよ。優しいでしょ?」

にっこり笑うアリスティドに、ようやく理解が追いついたらしい。

アガット侯爵は、本当に死にそうな表情のままで俺たちに土下座した。

「申し訳ございませんでした!」

「ふふ、どうしようかなぁー」

さて、どうするのかと思ったら意外なことを言われた。

「なんでもします!なんでも捧げます!だから娘だけは許してやってください!」

「…おや」

アリスティドもきょとんとしている。

「爵位の返上もしろというならいくらでも!領地も捧げます!私のこの命が必要ならばそれも構いません!ですからどうか…!」

「…へー。こんなイモムシに愛情残ってるんだ」

ちらっとこちらを見るアリスティド。

「…まあ、娘もいるから気持ちはわかる」

「…!」

「だが、こちらはその大事な娘をそこのイモムシに傷つけられた」

ぐっと拳を握るアガット侯爵。

「…土下座と覚悟に免じて、殺しはしない」

「あ、ありがとうございます!で、ですが…どうか、どうか元の姿に…!」

どうしたものか。
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