【長編版】孤独な少女が異世界転生した結果

下菊みこと

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彼女は守られる

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「ボーモン様ー!おかえりなさーい!」

「ただいまテレーズ。今日は遅くなるから待っていなくていいと言っただろう?」

「だってー、ボーモン様にちゃんとおやすみなさい言わないと眠れないですよー。それに、いっつも一緒に寝てるじゃないですか!今日だけ別にとか寂しいです!」

わがままテレーズと女嫌いなボーモンの二人が結婚して数ヶ月。テレーズはすっかりボーモンに懐き、ボーモンはすっかりテレーズの保護者になっていた。

「わかったわかった。もう食事は済ませてあるか?」

「ボーモン様と食べたくて待ってました!」

「ならすぐにでも食べよう。ほら、いくぞ」

ボーモンは自然とテレーズの手を取り食堂へ向かう。美味しい料理に舌鼓をうち、テレーズのマシンガントークを聞くボーモン。

「それで、今日のおやつはブリオッシュでもう本当に美味しくて!やっぱりシリルさんをはじめとしてここの皆さんは優秀ですね!大好きです!」

テレーズの言葉にガッツポーズをする使用人達。素直に使用人達を褒め、お礼を言い、懐いてくるテレーズは最早侯爵家のアイドルだった。ボーモンは使用人達のはしゃぎ様を見てすっかり打ち解けたものだと感心する。

「それは良かったな」

「はい!ただその後、お客様が来て」

「……客?そんな予定はなかったが」

「あ、私に用があったみたいで」

「アポイントメントも取らずにか?」

訝しげな表情のボーモンに焦るテレーズ。

「ご、ごめんなさい!もしかして約束してなきゃ会っちゃダメでしたか?」

「いや、君が良いなら構わない。だが……」

使用人達がどこか面白くなさそうな表情をしている。これは何かあったなと思うボーモン。

「だが?なんですか?」

「その、なにかあったんじゃないか?」

「よく分かりましたね!」

テレーズは何故か楽しそうだが、なにがあったのだろうか?

「客は誰だ?」

「ボーモン様の再従姉妹のクロエ様です!」

ボーモンは途端に青ざめる。

「テレーズ、大丈夫だったのか!?暴力は振るわれてないな!?」

「ほっぺ叩かれそうになりましたけど、マルカさんが代わりに叩かれてくれました。マルカさん改めてありがとうございます!」

「いえいえ!」

クロエ・シプリアン。公爵令嬢であり、ボーモンの再従姉妹である彼女は何故かボーモンに執着している。何が何でもボーモンを手に入れようという彼女のせいでボーモンの女嫌いが加速したと言える。そんな彼女だから、いつかは来ると思っていたがボーモンの留守中に来るとは。

「マルカ、よくやった。あとで褒美を与える」

「ありがとうございます、旦那様!それならテレーズ様と一緒に食べられるフルーツタルトをいただきたいです!」

「最高級のモノを用意させる」

さて、クロエをどうしたものか。

「テレーズ。明日から私のそばを離れるな。私は明日から基本的に屋敷に籠ることにする」

「いいんですか!?やったー!ボーモン様とずっと一緒にいられるー!」

テレーズの無邪気な様子に、一同癒される。そして、この子供の様な無邪気な子を守らねばと誓った。

「ボーモン様!あなたのクロエが来ましたわ!」

「私は君をもらった覚えはないし、お断りだ。帰ってくれ」

「ボーモン様、あなたはあの女に騙されているのですわ!あの女の悪評は聞いていらっしゃるでしょう?」

ボーモンは思う。噂など当てにならないし、仮に昔はそうでも侯爵家に来て心を入れ替えたなら問題ない。

「君には関係ない。帰れ」

「ボーモン様!」

クロエは焦る。ボーモンはいくら訴えても聞いてくれない。それどころか、悪女テレーズを膝に乗せて執務をこなす始末。どれだけ溺愛しているかわかるというもの。

「……わかりましたわ、今日は引き下がります」

大人しく帰ったクロエに、逆に嫌な予感のするボーモン。

「……何か企んでるな」

「ボーモン様、仮にも再従姉妹をあんなに冷たく追い返して良かったんですか?」

「君は気にするな」

テレーズは、クロエがちょっと不憫に思った。

「……で、これか」

テレーズがいつものベッドでボーモンと添い寝して三秒で寝た数分後、暗殺者が現れた。ボーモンが懐の短刀で応戦して怪我を負わせ、拘束したが。なおボーモンは無傷である。

「……クロエ。いい加減に決着をつけよう」

その後、クロエ・シプリアンはボーモン・バスチアンに妻の殺害未遂で訴えられ、多額の賠償金とバスチアン家への接近禁止命令を出された。クロエはそれはもう悔しがっていたらしい。クロエの両親はまともな為、何度も必死にボーモンとテレーズに頭を下げていた。

「……君を守れて良かった」

「かっこいいです!ボーモン様!」

「ありがとう。君はとても可愛い」

いきなりのボーモンのデレにテレーズは一瞬きょとんとして、けれどもその後愛らしい笑みを浮かべたのだった。
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