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彼女は和の国で帝に謁見する

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「テレーズ、月詠殿下から婚約を応援したお礼にと和の国に招待された。その後アダラールからもベルトラン公国に招待されている。準備をして、一緒に行こう」

「はい、ボーモン様!」

「……驚かないのか?」

「アダラール様と月詠殿下から伺っていたので!」

「そうなのか」

ボーモンとテレーズは月詠とアダラールから招待されて和の国とベルトラン公国に旅行に行くことになった。

「えへへ。ハネムーンですね、ボーモン様!」

「……ああ、なるほどそれで。アダラールに気を使わせたな。……テレーズ。少し遅くなったがせっかくの新婚旅行だ。楽しもう」

「はい、ボーモン様!」

ということで、転移魔法の魔法陣に乗り込む二人。

「いらっしゃいませ、テレーズ様。お初にお目にかかります、ボーモン様。和の国の帝の末姫、月詠と申します。お噂はかねがね」

「お初にお目にかかります、月詠殿下。この度はお招きありがとうございます」

「これはこれはご丁寧に。では、こちらにどうぞ。まずはお父様とお話すると致しましょう」

転移してすぐ出迎えてくれたのは月詠。月詠に連れられてテレーズとボーモンは帝に謁見することとなった。謁見の間にて帝の傅く二人。

「面をあげよ」

帝の顔は御簾ごしで見えないようになっていたが、その穏やかな雰囲気は不思議と伝わってきた。

「そなたが娘の婚約を手伝ったとか。大義である」

「は、はい!」

「よいよい、そう堅くなるな。娘の友人は我が愛し子達も同じ。おまけに恩人とくれば、それはもう特別可愛いものよ。……その子は末の姫で若い女子故、利用価値も高く婚約は先延ばしにして来たが……よもやここまで役に立つとは。全てはそなたのおかげよ。本当に、大義であった。……だから、後は何も憂うことなく幸せになれ。月詠」

帝の言葉に瞳を潤ませる月詠。テレーズは月詠と帝の親子関係に、なんとなく前世の親に想いを馳せて……首を横に振った。今世の両親は可愛がってくれているのだから、今はもう何も憂うことなどないのだ。

「では、月詠の恩人のために贅を凝らした昼食を用意している。楽しむが良い」

「ありがとうございます!」

テレーズとボーモンは、月詠に案内され昼食をとりに客室に向かった。
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