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彼女はまた歌う
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女王陛下が数々の証拠を元に、テンペスタ帝国が意図的にコンスタン王国にて魔獣のスタンピードを起こしたとしてテンペスタ帝国を国際裁判に掛けた。結果、国際裁判所はテンペスタ帝国の悪行を認め多額の損害賠償をするよう判決を下し、確定した。テンペスタ帝国はこれに猛抗議するも逆に他国から非難を受け、やけになってコンスタン王国に戦争を仕掛ける。
「でも、ユゲットの実のお父様……聖龍様(成体)がテンペスタ帝国の兵士達を一網打尽になさった、ということですね」
「そうじゃよ。ただのぅ……父上が言うには、テンペスタ帝国は最後の最後に悪足掻きでバスチアン侯爵領にまたなにか仕掛けたらしいのじゃ」
「え」
「なんだって?」
テレーズとボーモンの顔色が悪くなる。せっかく大量に作った魔封じの網も、二回目の魔獣のスタンピードの際に使い切ってしまった。それだけ規模の大きなスタンピードだったのだ。
「最大規模の魔獣のスタンピードが来るぞい。その前に、先手必勝じゃ。妾とパパとママで食い止めるぞい。……まあ、主役はママになるがの。覚悟は良いかぇ?」
「……はい!」
「待ってくれ、テレーズ。まさかまた〝歌う〟気か?」
「だって……」
「私は反対だ。他に良い方法はないのか」
最大規模の魔獣のスタンピードをテレーズ一人で抑え込むなど、自殺行為である。でも、テレーズがやらないわけにはいかない。
「パパ!」
「ユゲット……」
「ママを困らせるでない!」
ユゲットに一喝され、ボーモンは何も言えなくなる。ボーモンだって本当は、やるしかないと分かっているのだ。
ということでテレーズとボーモン、ユゲットは魔獣のスタンピードが起こる森を遠くからだが見下ろせる丘に来た。もちろんバスチアン侯爵家直属の騎士団も連れてきている。
「テレーズ、本当にやるのか」
「はい、歌います」
「もう無茶はしない約束だっただろう」
「でも私がやらないとみんな死んじゃいます」
「……死ぬなよ」
「……はい!」
テレーズはボーモンとユゲットから魔力供給を受ける。魔力吸収とは違いお互いの同意の上なので、馴染みも早く使いやすくなる。
そしてテレーズは、前世にどこかで聞いた歌を歌い出す。歌で集中しながら、ボーモンとユゲットから供給される沢山の魔力を材料に、魔封じの網を超広範囲に広域展開した。
『あなたが自分を許せないというなら、あなたを許せないあなた自身を、私が許しましょう
あなたが自分を傷つけるというなら、あなたを傷つけるあなた自身を、私が癒しましょう
あなたが自分を弱いと詰るというなら、あなたを詰るあなた自身を、私が認めましょう
あなたが自分を恨むというなら、あなたを恨むあなた自身を、私が愛しましょう
あなたが自分を拒絶するというなら、あなたを拒絶するあなた自身を、私が受け止めましょう
あなたが涙を流すのならば、私は必ずあなたの側にいます
現実では側に居られなくても、心は必ずあなたの側にあります
責任感の強いあなたが、自分を許せないとしても
優しすぎるあなたが、自分を傷つけるとしても
頑張りすぎるあなたが、自分を詰るとしても
人を憎めないあなたが、自分を恨むとしても
他人を愛したあなたが、自分自身を拒絶するとしても
どうか、気が付いて
どうか、忘れないで
あなたには、必ず、あなたを思い涙を流す人がいるということを
あなたには、必ず、あなたの優しさに救われた人がいるということを
あなたには、必ず、あなたの幸せを願う人がいるということを
あなたには、必ず、あなたを心配する人がいるということを
あなたには、必ず、あなたを愛する人がいるということを』
その優しい歌声にボーモン達は不思議と聞き入ってしまい、ユゲットは心地よさに耳をすます。心地よさを感じるのは魔獣達も同じだったようで、魔封じの網に絡みとられたというのに先程よりも落ち着いていた。
しかし。
「……えへへ。ごめんなさい、ボーモン様」
そう言った次の瞬間、テレーズは目と鼻と耳から血を吹き出して倒れた。
「テレーズ……!」
ボーモンはテレーズを抱きしめる。
「パパ、ママの治療は妾に任せよ!」
ユゲットは魔力供給でテレーズの魔力欠乏症を癒し、治癒魔法で脳の損傷を癒した。とりあえず魔力欠乏症は治り脳からの出血は止まる。後遺症が残るかどうかは運次第だが、あえて今は言わないユゲット。
ユゲットがテレーズの治療に全力であたる一方で、ボーモンは国の魔獣研究所に連絡して魔獣達を保護してもらっていた。テレーズの魔封じの網は、すごい効力を発揮しており怪我人は出ていない。魔獣研究所の職員とバスチアン侯爵家の直属の騎士団が協力して作業にあたる。
ユゲットの初動とテレーズの尽力、ボーモンの迅速な対応によって被害が出る前に魔獣のスタンピードを抑え込めた。今回のテレーズとボーモンの夫婦の絆と領民達への献身は、後世まで語り継がれることになるが今は誰もそれを知らない。
「でも、ユゲットの実のお父様……聖龍様(成体)がテンペスタ帝国の兵士達を一網打尽になさった、ということですね」
「そうじゃよ。ただのぅ……父上が言うには、テンペスタ帝国は最後の最後に悪足掻きでバスチアン侯爵領にまたなにか仕掛けたらしいのじゃ」
「え」
「なんだって?」
テレーズとボーモンの顔色が悪くなる。せっかく大量に作った魔封じの網も、二回目の魔獣のスタンピードの際に使い切ってしまった。それだけ規模の大きなスタンピードだったのだ。
「最大規模の魔獣のスタンピードが来るぞい。その前に、先手必勝じゃ。妾とパパとママで食い止めるぞい。……まあ、主役はママになるがの。覚悟は良いかぇ?」
「……はい!」
「待ってくれ、テレーズ。まさかまた〝歌う〟気か?」
「だって……」
「私は反対だ。他に良い方法はないのか」
最大規模の魔獣のスタンピードをテレーズ一人で抑え込むなど、自殺行為である。でも、テレーズがやらないわけにはいかない。
「パパ!」
「ユゲット……」
「ママを困らせるでない!」
ユゲットに一喝され、ボーモンは何も言えなくなる。ボーモンだって本当は、やるしかないと分かっているのだ。
ということでテレーズとボーモン、ユゲットは魔獣のスタンピードが起こる森を遠くからだが見下ろせる丘に来た。もちろんバスチアン侯爵家直属の騎士団も連れてきている。
「テレーズ、本当にやるのか」
「はい、歌います」
「もう無茶はしない約束だっただろう」
「でも私がやらないとみんな死んじゃいます」
「……死ぬなよ」
「……はい!」
テレーズはボーモンとユゲットから魔力供給を受ける。魔力吸収とは違いお互いの同意の上なので、馴染みも早く使いやすくなる。
そしてテレーズは、前世にどこかで聞いた歌を歌い出す。歌で集中しながら、ボーモンとユゲットから供給される沢山の魔力を材料に、魔封じの網を超広範囲に広域展開した。
『あなたが自分を許せないというなら、あなたを許せないあなた自身を、私が許しましょう
あなたが自分を傷つけるというなら、あなたを傷つけるあなた自身を、私が癒しましょう
あなたが自分を弱いと詰るというなら、あなたを詰るあなた自身を、私が認めましょう
あなたが自分を恨むというなら、あなたを恨むあなた自身を、私が愛しましょう
あなたが自分を拒絶するというなら、あなたを拒絶するあなた自身を、私が受け止めましょう
あなたが涙を流すのならば、私は必ずあなたの側にいます
現実では側に居られなくても、心は必ずあなたの側にあります
責任感の強いあなたが、自分を許せないとしても
優しすぎるあなたが、自分を傷つけるとしても
頑張りすぎるあなたが、自分を詰るとしても
人を憎めないあなたが、自分を恨むとしても
他人を愛したあなたが、自分自身を拒絶するとしても
どうか、気が付いて
どうか、忘れないで
あなたには、必ず、あなたを思い涙を流す人がいるということを
あなたには、必ず、あなたの優しさに救われた人がいるということを
あなたには、必ず、あなたの幸せを願う人がいるということを
あなたには、必ず、あなたを心配する人がいるということを
あなたには、必ず、あなたを愛する人がいるということを』
その優しい歌声にボーモン達は不思議と聞き入ってしまい、ユゲットは心地よさに耳をすます。心地よさを感じるのは魔獣達も同じだったようで、魔封じの網に絡みとられたというのに先程よりも落ち着いていた。
しかし。
「……えへへ。ごめんなさい、ボーモン様」
そう言った次の瞬間、テレーズは目と鼻と耳から血を吹き出して倒れた。
「テレーズ……!」
ボーモンはテレーズを抱きしめる。
「パパ、ママの治療は妾に任せよ!」
ユゲットは魔力供給でテレーズの魔力欠乏症を癒し、治癒魔法で脳の損傷を癒した。とりあえず魔力欠乏症は治り脳からの出血は止まる。後遺症が残るかどうかは運次第だが、あえて今は言わないユゲット。
ユゲットがテレーズの治療に全力であたる一方で、ボーモンは国の魔獣研究所に連絡して魔獣達を保護してもらっていた。テレーズの魔封じの網は、すごい効力を発揮しており怪我人は出ていない。魔獣研究所の職員とバスチアン侯爵家の直属の騎士団が協力して作業にあたる。
ユゲットの初動とテレーズの尽力、ボーモンの迅速な対応によって被害が出る前に魔獣のスタンピードを抑え込めた。今回のテレーズとボーモンの夫婦の絆と領民達への献身は、後世まで語り継がれることになるが今は誰もそれを知らない。
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