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彼女は幸福の木の芽を育てる
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テレーズは今、魔封じの網を作成している。ラルクは帰り、ボーモンは仕事で忙しい。特に仕事を与えられるでもないので、空いた時間は魔封じの網を作成するのにあてているのだ。
「テレーズ様、無理はしていませんか?ホットミルクはいかがですか?」
「このくらいのペースで作る分には大したことないですよ。でもホットミルクは飲みたいです!」
「今お持ちしますね」
マルカはテレーズが倒れた原因を知っているため、魔封じの網を作成すること自体に反対だった。が、事前に作っておいた方がテレーズが無茶をせずに済むとポロからも説得されたため渋々頷いたのである。だから、魔封じの網を作成している間は特に過保護になってしまう。しかし、構われたがりなテレーズにとってはむしろ嬉しいくらいだった。
「歌を歌いながら作成しようかな。そうしたら幸福の木の芽も成長するよね」
「無理をなさらない範囲でお願いしますね、テレーズ様?」
マルカはにっこりと笑って言うが、圧がすごい。テレーズは壊れた人形のようにこくこくと首を縦に振った。
テレーズの歌が部屋に響く。優しい歌声に、マルカは癒された。
「素敵……」
マルカはうっとりと聞き入る。心が浄化されるかのような心地がして、どこか落ち着くのだ。
そうして何時間もかけて、時折ホットミルクや三時のおやつで休憩しつつ魔封じの網をたくさん作ると、夕食の時間が迫っていた。さあどうだと幸福の木の芽をみる。明らかに大きく成長していた。といってもまだ『木』には程遠いが。
「マルカさん!」
「やりましたね、テレーズ様!」
マルカと手と手を取り合って喜ぶテレーズ。一応念のためまたポロを呼んで状態を確認してもらう。幸福の木は枯れやすいので、このくらい過保護でもちょうどいいくらいだろう。
「……お待たせしました、奥様。幸福の木の芽は健康そのものです。素晴らしい成長速度ですよ」
「よかったぁ……」
「ポロ、ありがとう!」
「別に、仕事だし。……奥様、幸福の木の芽を大切にしていただけて嬉しいです。これからも、用があったら遠慮なく呼んでくださいね!俺、頑張りますから!」
「うん。ありがとう、ポロさん!」
こうして幸福の木の芽の健康を確かめ、テレーズはボーモンと夕食を一緒にとろうと迎えに行く。するとボーモンは…何故か、見知らぬ女性と一緒にいた。
「ボーモン様ー!一緒にご飯に行きましょう!……ボーモン様?」
「ああ、テレーズ。ちょうどいいところに来たな」
「あらやだわー。そんなに鋭い目でみないでちょうだい」
テレーズは女性の言葉に、初めて自分が彼女を睨みつけていたことに気付く。
「あ、ご、ごめんなさい!失礼しました!いきなり睨みつけるなんて、私どうしちゃったんだろう……」
自分で睨んでおいてオロオロするテレーズ。同じく、人懐こいテレーズの珍しい様子に困惑するボーモン。そんな二人の様子を見て、彼女は笑った。
「あらー。もう。ボーモンから話を聞いていて、薄々思っていたけど、そういう感じ?」
マルカに視線を寄越せば、マルカは静かに頷いた。
「なーるほどねー。下手に口を出して馬に蹴られるのは嫌だから、まあ、自分達でなんとかしてもらうとして……」
彼女…いや、彼は言った。
「初めまして、テレーズちゃん!私、アダラール・バジル・ベルトラン。隣国のベルトラン公国を治める、大公の息子よー!まあ、五男だからそんなに価値ないんだけどね!このコンスタン王国には恋人探しの旅の途中で寄ったの!ボーモンとは留学生時代のお友達で、数日間お世話になることにしたからよろしくねー!」
あまりの爆弾発言に、テレーズは思考が停止する。
「ふぇ……?」
間抜けな声しか出ないテレーズ。自分が睨みつけた相手が誰だか知り、呆然としてしまった。
「テレーズ様、無理はしていませんか?ホットミルクはいかがですか?」
「このくらいのペースで作る分には大したことないですよ。でもホットミルクは飲みたいです!」
「今お持ちしますね」
マルカはテレーズが倒れた原因を知っているため、魔封じの網を作成すること自体に反対だった。が、事前に作っておいた方がテレーズが無茶をせずに済むとポロからも説得されたため渋々頷いたのである。だから、魔封じの網を作成している間は特に過保護になってしまう。しかし、構われたがりなテレーズにとってはむしろ嬉しいくらいだった。
「歌を歌いながら作成しようかな。そうしたら幸福の木の芽も成長するよね」
「無理をなさらない範囲でお願いしますね、テレーズ様?」
マルカはにっこりと笑って言うが、圧がすごい。テレーズは壊れた人形のようにこくこくと首を縦に振った。
テレーズの歌が部屋に響く。優しい歌声に、マルカは癒された。
「素敵……」
マルカはうっとりと聞き入る。心が浄化されるかのような心地がして、どこか落ち着くのだ。
そうして何時間もかけて、時折ホットミルクや三時のおやつで休憩しつつ魔封じの網をたくさん作ると、夕食の時間が迫っていた。さあどうだと幸福の木の芽をみる。明らかに大きく成長していた。といってもまだ『木』には程遠いが。
「マルカさん!」
「やりましたね、テレーズ様!」
マルカと手と手を取り合って喜ぶテレーズ。一応念のためまたポロを呼んで状態を確認してもらう。幸福の木は枯れやすいので、このくらい過保護でもちょうどいいくらいだろう。
「……お待たせしました、奥様。幸福の木の芽は健康そのものです。素晴らしい成長速度ですよ」
「よかったぁ……」
「ポロ、ありがとう!」
「別に、仕事だし。……奥様、幸福の木の芽を大切にしていただけて嬉しいです。これからも、用があったら遠慮なく呼んでくださいね!俺、頑張りますから!」
「うん。ありがとう、ポロさん!」
こうして幸福の木の芽の健康を確かめ、テレーズはボーモンと夕食を一緒にとろうと迎えに行く。するとボーモンは…何故か、見知らぬ女性と一緒にいた。
「ボーモン様ー!一緒にご飯に行きましょう!……ボーモン様?」
「ああ、テレーズ。ちょうどいいところに来たな」
「あらやだわー。そんなに鋭い目でみないでちょうだい」
テレーズは女性の言葉に、初めて自分が彼女を睨みつけていたことに気付く。
「あ、ご、ごめんなさい!失礼しました!いきなり睨みつけるなんて、私どうしちゃったんだろう……」
自分で睨んでおいてオロオロするテレーズ。同じく、人懐こいテレーズの珍しい様子に困惑するボーモン。そんな二人の様子を見て、彼女は笑った。
「あらー。もう。ボーモンから話を聞いていて、薄々思っていたけど、そういう感じ?」
マルカに視線を寄越せば、マルカは静かに頷いた。
「なーるほどねー。下手に口を出して馬に蹴られるのは嫌だから、まあ、自分達でなんとかしてもらうとして……」
彼女…いや、彼は言った。
「初めまして、テレーズちゃん!私、アダラール・バジル・ベルトラン。隣国のベルトラン公国を治める、大公の息子よー!まあ、五男だからそんなに価値ないんだけどね!このコンスタン王国には恋人探しの旅の途中で寄ったの!ボーモンとは留学生時代のお友達で、数日間お世話になることにしたからよろしくねー!」
あまりの爆弾発言に、テレーズは思考が停止する。
「ふぇ……?」
間抜けな声しか出ないテレーズ。自分が睨みつけた相手が誰だか知り、呆然としてしまった。
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