1 / 1
気付いていても、咎められない
しおりを挟む
彼女はいつだって、損な人だった。
周りの人々のために祈り続け、そのたびに自分の魂を削る。
聖女、なんてものはなんの犠牲もなく成り立つものではない。
奇跡を起こすたび、魂を削られる。
対価を天に支払っている。
それは誰もが知っていて、けれど誰も彼女を止めない。
削られた分の魂を蘇らせるならば、それだけの幸せを養分として与える必要がある。
けれど教会は、彼女に幸せを与えない。
自由を与えない。
彼女の魂が完全に無くなるまで使い潰す気でいる。
そして彼女はそれを受け入れている。
だから、こうする他になかったのだ。
「騎士様、ここは?」
「楽園ですよ、聖女様」
遅い時間にお目覚めになった聖女様。
しん…と静まり返った教会に違和感を感じているらしい。
けれど、魂があと一欠片ほどしかない彼女は…もう目すら見えなくなっている。
血みどろの教会も、放置された肉塊も見えていない。
…教会の外に広がる地獄も、知ることができない。
幸か不幸か、この島国は非常に狭い。
そして鎖国しているので、外国に状況を知られることもない。
二人だけの楽園だ。
削られた分の魂を蘇らせて、目が見えるようになる頃には肉塊も土に還っている頃だろう。
壁や床の血は、まあおいおい考えるとして。
虫が湧くのは不快だが、聖女様のいる部屋には入ってこられない。
結界があるから。
だから、バレることはまずないのだ。
「楽園…では、私はもう力を使い果したのね」
「はい…」
「でも、どうして騎士様が一緒にいるの?」
「…覚えていらっしゃらないでしょうか。運命を共にしたからですよ」
「え」
優しい聖女様は、俺の嘘に青ざめる。
そんな聖女様を抱きしめる。
「騎士様?」
「俺がそばに居ます。だから、どうかここで共に生きて欲しいのです」
聖女様はその言葉を聞いて、やや間を置いてから優しく微笑んでくださった。
「私の騎士様、どうか最期の日まで一緒に生きてくださいな」
「もちろんです、地獄の底までお伴します」
聖女様にはバレることはないと思う。
思うが、バレた上でこの言葉をくださったならどれだけ幸せだろうか。
聖女様は、ただ優しく微笑むばかりだった。
周りの人々のために祈り続け、そのたびに自分の魂を削る。
聖女、なんてものはなんの犠牲もなく成り立つものではない。
奇跡を起こすたび、魂を削られる。
対価を天に支払っている。
それは誰もが知っていて、けれど誰も彼女を止めない。
削られた分の魂を蘇らせるならば、それだけの幸せを養分として与える必要がある。
けれど教会は、彼女に幸せを与えない。
自由を与えない。
彼女の魂が完全に無くなるまで使い潰す気でいる。
そして彼女はそれを受け入れている。
だから、こうする他になかったのだ。
「騎士様、ここは?」
「楽園ですよ、聖女様」
遅い時間にお目覚めになった聖女様。
しん…と静まり返った教会に違和感を感じているらしい。
けれど、魂があと一欠片ほどしかない彼女は…もう目すら見えなくなっている。
血みどろの教会も、放置された肉塊も見えていない。
…教会の外に広がる地獄も、知ることができない。
幸か不幸か、この島国は非常に狭い。
そして鎖国しているので、外国に状況を知られることもない。
二人だけの楽園だ。
削られた分の魂を蘇らせて、目が見えるようになる頃には肉塊も土に還っている頃だろう。
壁や床の血は、まあおいおい考えるとして。
虫が湧くのは不快だが、聖女様のいる部屋には入ってこられない。
結界があるから。
だから、バレることはまずないのだ。
「楽園…では、私はもう力を使い果したのね」
「はい…」
「でも、どうして騎士様が一緒にいるの?」
「…覚えていらっしゃらないでしょうか。運命を共にしたからですよ」
「え」
優しい聖女様は、俺の嘘に青ざめる。
そんな聖女様を抱きしめる。
「騎士様?」
「俺がそばに居ます。だから、どうかここで共に生きて欲しいのです」
聖女様はその言葉を聞いて、やや間を置いてから優しく微笑んでくださった。
「私の騎士様、どうか最期の日まで一緒に生きてくださいな」
「もちろんです、地獄の底までお伴します」
聖女様にはバレることはないと思う。
思うが、バレた上でこの言葉をくださったならどれだけ幸せだろうか。
聖女様は、ただ優しく微笑むばかりだった。
50
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
トリスタン
下菊みこと
恋愛
やべぇお話、ガチの閲覧注意。登場人物やべぇの揃ってます。なんでも許してくださる方だけどうぞ…。
彼は妻に別れを告げる決意をする。愛する人のお腹に、新しい命が宿っているから。一方妻は覚悟を決める。愛する我が子を取り戻す覚悟を。
小説家になろう様でも投稿しています。
聖女をぶん殴った女が妻になった。「貴女を愛することはありません」と言ったら、「はい、知ってます」と言われた。
下菊みこと
恋愛
主人公は、聖女をぶん殴った女を妻に迎えた。迎えたというか、強制的にそうなった。幼馴染を愛する主人公は、「貴女を愛することはありません」というが、返答は予想外のもの。
この結婚の先に、幸せはあるだろうか?
小説家になろう様でも投稿しています。
恋心を埋めた
下菊みこと
恋愛
双方ともにヤンデレ。
ヒーローは紛うことなきヤンデレにつきご注意下さい。ヒロインは少しだけ病んじゃってる程度のヤンデレです。
巻き込まれた人が一番可哀想。
ヤンデレお好きな方はちらっと読んでいってくださると嬉しいです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ホストな彼と別れようとしたお話
下菊みこと
恋愛
ヤンデレ男子に捕まるお話です。
あるいは最終的にお互いに溺れていくお話です。
御都合主義のハッピーエンドのSSです。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる