エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。

下菊みこと

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「ということで、プロポーズは成功した」

なんの脈絡もなく告げられたジスラン。ジェイドが突然戻ってきたと思ったらアンリエットを連れていて、かと思えば『プロポーズは成功した』と告げられて目を白黒させる。

「あ、ああ。それは良かった。…良かったがもうプロポーズしたのか」

「した。成功した。婚約結ぶ」

「そ、そうか。そうだな、書類は準備してある。あとは二人のサインがあればいい」

「書く」

ジェイドはさくっとサインをする。その思い切りの良さに、さっきまでグズグズ言ってたくせにと思うジスラン。

ジスランがちらりとアンリエットを見れば、思った以上に幸せそうな顔をしている可愛い娘になんとも言えない複雑な感情になった。

「ジェイド」

「あ?」

「幸せにしろよ」

悔し紛れか、あるいは忠告か。ジスラン自身も分からないそれに、ジェイドはにんまり笑って言った。

「当たり前だろ」

その一言に、さらに嬉しそうなアンリエットにそっと気配を消して見守っていたジャンヌも思わず拍手する。

そこでジャンヌに気付いたアンリエットとジェイドだが、にっこり笑って手を振った。

「ほら、アンリエットもサインしてくれ」

「はい、ジェイド様」

アンリエットもサインをしたためる。

「お父様、書けました!」

「よし、じゃあ後は教会に提出するだけだな」

ジスランが書類を受け取る。婚約届けを出せば、晴れて二人は婚約者。

ジスランはやはり、愛娘の結婚に思うところはあるがジェイド以上に良い男は知らないので改めて二人を祝福する。

「…おめでとう、アン。幸せになるんだよ」

「はい、お父様!」

「まあ、俺が婿入りするんだからアンリエットはお前の手元にいるままだけどな」

切なそうな表情のジスランに、ジェイドは呆れた目を向ける。が、ジスランはそんなもの何処吹く風である。

「さて、婚約も決まったし婚約指輪が必要だな」

「おいおい、娘の婚約指輪を自分が用意する気か?俺が用意するに決まってるだろ」

「娘に一番似合う指輪を選べるのは私だ」

「うるせぇ俺だって選べるわ!」

ジェイドとジスランの、そんな下らない口論にアンリエットはクスクスと笑う。

そんな幸せな光景に、ジャンヌも微笑んで見守っていた。
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