妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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皇太子殿下は嫉妬深いようです

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皇帝陛下と皇后陛下とお茶を楽しみ、皇后陛下手作りのお菓子に舌鼓をうち幸せを感じていたところでクリス様がやって来ました。

「エレナ!」

「クリス様!」

クリス様は私を強く抱きしめます。

「よかった…どこにいるのか探し回ったよ…」

「え?」

「先生も教えてくれなくて…使用人達も隠すから…」

皇帝陛下を振り返るとにっこり微笑まれました。隠していたのですね。

「心配をおかけしてすみません、クリス様」

「いいんだ。君が無事ならそれで。父上と母上とは上手くやれそう?いじめられていない?」

「そ、そんなこと一切ありません!大丈夫です!むしろ優しくしていただけて嬉しいくらいです!」

「クリス…母はそんなことをしませんよ。そんなことを言われては悲しいです」

皇后陛下がとても寂しげな表情を浮かべていますがクリス様は相手にしていません。

「えっと、あの、魔力膨張症になった時のためのお薬と手作りクッキーを頂きました。とっても嬉しかったです。両陛下は私を歓迎してくださいました。私は幸せ者ですね!」

にっこり笑うと、クリス様はほっとした表情を浮かべます。

「それなら良かったよ。…で、父上、母上」

「何かな?クリス」

「なんで僕に内緒でエレナを連れ出したんですか。本気で心配したんですけど」

「エレナをいつまでたっても紹介してくれないクリスが悪いんだろう?」

「そのうち紹介すると言ったはずです」

なんだかクリス様は、まるで反抗期の子供のようにガルガルと両陛下を威嚇しているように見えます。ちょっと可愛いです。

「ね?クリスはやきもち妬きでしょう?」

「そう…なんですかね、皇后陛下」

「そうですとも。可愛いエレナを取られたと思っているのですよ。母はそんなクリスとエレナがとても可愛らしいです」

「母上、聞こえていますからね!」

クリス様がキレ気味で皇后陛下に向き直ります。しかし皇后陛下は心底クリス様が愛おしいという表情を浮かべて軽く躱しています。

「ふふ。私達の息子はまだまだ子供だね」

「そうですね。母はそんなクリスがとても可愛いですが少し心配です。エレナ、クリスをお願いしますね」

「えっと…はい!」

クリス様は私を抱き寄せます。

「エレナ、もういいだろう?今度は僕とお茶会にしよう」

「えっと、そろそろ帰らないと…」

「…そっか。残念だな。もっと君と一緒にいたかった」

「クリス様…」

お互いに見つめ合って、クリス様から頬にキスをされます。私も背伸びをしてクリス様の頬にキス。そしてもう一度抱きしめ合います。

「明日は僕の相手をしてね。約束だよ」

「もちろんです、クリス様」

そんな私達の様子を優しく見守ってくださる両陛下。今日も私は幸せです。
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