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父上と母上に可愛い婚約者を取られてたまるか
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父上と母上は、基本的ラブラブだ。常に穏やかにお互いのことを思い合い、お互いを大切にし支え合う。政略結婚したとは思えないほどにおしどり夫婦だ。父上と母上の影響を受けて、貴族の殆どが愛人と手を切って家庭を大切にするようになった時もあったらしい。残念ながら一過性のものだったが。
そんな父上と母上は、とにかくエレナのことを気にしている。僕に相応しいかとかではなく、僕の選んだ女性がどれほど素敵な人かという純粋な興味らしい。それはそれで迷惑だ。僕はエレナを独り占めしたい。
僕ははやくエレナを紹介しろという父上と母上の催促に耳を貸さず、そのうち紹介するからと躱し続けていた。父上と母上なら絶対にエレナを気に入るから。
だが、父上と母上は僕の隙をついてエレナを連れ出しお茶会を開いていた。先生や使用人達に口止めまでして。なんて意地悪なんだ。どれだけ僕が心配したと思っているんだろう。
そんな僕の気持ちなんてつゆ知らず、母上の大好きな紅茶と母上お手製のクッキーをなんの疑いもなく楽しむエレナ。可愛い。意地悪なお姑さんだったらどうするんだろう。きっとそんなこと考えてもいないんだろうな。
とりあえず無事に見つかってよかった。エレナを強く抱きしめる。
父上と母上にいじめられていないかと問えばそんなことはないと否定するエレナ。母上も何か言っていたが知らない。
やはり父上と母上はエレナを気に入ったらしく歓迎されたらしい。ほっとするが、父上と母上はやっぱりむかつく。
父上になんで僕に内緒でエレナを連れ出したんですかと問えば、エレナをいつまでたっても紹介してくれないクリスが悪いんだろう?との返事。
だって絶対二人ともエレナを気に入るから!
母上は母上でエレナに僕がやきもち妬きとか可愛いとか吹き込むし。もう。
終いにはエレナに僕をよろしくとか。恥ずかしいったらありゃしない。
僕はエレナを抱き寄せた。お茶会に誘うが、帰らないといけないらしい。
お互いに見つめ合って、僕はエレナの頬にキスをする。エレナも背伸びをして僕の頬にキス。そしてもう一度抱きしめ合う。
そんな僕達を優しく見守る父上と母上だが、二人のせいで一緒にいられる時間が減ったんですけど!
とりあえず三人でエレナを見送る。エレナを乗せた馬車が見えなくなると父上が話しかけてくる。
「エレナは実にいい子だね。クリスは女性を見る目がある」
「当たり前です。僕のエレナですから」
「まあまあ。まるで恋愛小説を読んでいる時のよう。母はきゅんきゅんしちゃいます」
「母上にもエレナはあげませんからね」
母上はきょとんとしてその後笑う。
「ふふ。母がクリスの大切な人を奪うはずがないでしょう?たまにお買い物やお出かけに付き合ってもらう程度です」
「私もついて行こうかな」
「なら僕もついて行きますからね!」
「家族みんなでお買い物か。いいね」
なんでノリノリなんですか父上。
「ただその場合、警備をより一層強化しなくてはならないですね。母は息子達が傷付くところは見たくありません」
「そうだね。警備はとても大切だ。…だから、皇室の影をエレナに付けたいのだけれど」
「ダメです」
父上と母上から、何度もこの話はされている。皇室直属の隠密、通称影と呼ばれる彼らは、常に僕達皇族を見守っている。彼らは選び抜かれた精鋭であり、強いし有能である。そして忠誠心も揺るぎない。
だから、別に害はない。ただ、プライベートもほとんどないように感じるし実際そう。そんな窮屈な想いはエレナにさせたくない。
「エレナを大切に思うからこそ、エレナを守るためにも必要なことですよ」
「エレナは僕が守ります」
「うーん。…まあ、もう少し保留にしておこうか」
なかなか諦めてくれない父上と母上。エレナはせっかく、ようやく自由になれたのだからもう少し自由を謳歌させてあげたい。そう僕が思うのは間違いだろうか?
そんな父上と母上は、とにかくエレナのことを気にしている。僕に相応しいかとかではなく、僕の選んだ女性がどれほど素敵な人かという純粋な興味らしい。それはそれで迷惑だ。僕はエレナを独り占めしたい。
僕ははやくエレナを紹介しろという父上と母上の催促に耳を貸さず、そのうち紹介するからと躱し続けていた。父上と母上なら絶対にエレナを気に入るから。
だが、父上と母上は僕の隙をついてエレナを連れ出しお茶会を開いていた。先生や使用人達に口止めまでして。なんて意地悪なんだ。どれだけ僕が心配したと思っているんだろう。
そんな僕の気持ちなんてつゆ知らず、母上の大好きな紅茶と母上お手製のクッキーをなんの疑いもなく楽しむエレナ。可愛い。意地悪なお姑さんだったらどうするんだろう。きっとそんなこと考えてもいないんだろうな。
とりあえず無事に見つかってよかった。エレナを強く抱きしめる。
父上と母上にいじめられていないかと問えばそんなことはないと否定するエレナ。母上も何か言っていたが知らない。
やはり父上と母上はエレナを気に入ったらしく歓迎されたらしい。ほっとするが、父上と母上はやっぱりむかつく。
父上になんで僕に内緒でエレナを連れ出したんですかと問えば、エレナをいつまでたっても紹介してくれないクリスが悪いんだろう?との返事。
だって絶対二人ともエレナを気に入るから!
母上は母上でエレナに僕がやきもち妬きとか可愛いとか吹き込むし。もう。
終いにはエレナに僕をよろしくとか。恥ずかしいったらありゃしない。
僕はエレナを抱き寄せた。お茶会に誘うが、帰らないといけないらしい。
お互いに見つめ合って、僕はエレナの頬にキスをする。エレナも背伸びをして僕の頬にキス。そしてもう一度抱きしめ合う。
そんな僕達を優しく見守る父上と母上だが、二人のせいで一緒にいられる時間が減ったんですけど!
とりあえず三人でエレナを見送る。エレナを乗せた馬車が見えなくなると父上が話しかけてくる。
「エレナは実にいい子だね。クリスは女性を見る目がある」
「当たり前です。僕のエレナですから」
「まあまあ。まるで恋愛小説を読んでいる時のよう。母はきゅんきゅんしちゃいます」
「母上にもエレナはあげませんからね」
母上はきょとんとしてその後笑う。
「ふふ。母がクリスの大切な人を奪うはずがないでしょう?たまにお買い物やお出かけに付き合ってもらう程度です」
「私もついて行こうかな」
「なら僕もついて行きますからね!」
「家族みんなでお買い物か。いいね」
なんでノリノリなんですか父上。
「ただその場合、警備をより一層強化しなくてはならないですね。母は息子達が傷付くところは見たくありません」
「そうだね。警備はとても大切だ。…だから、皇室の影をエレナに付けたいのだけれど」
「ダメです」
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