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見上げれば優しい微笑み
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疲れた。ものすごく疲れた。隣国の王女に言い寄られてブチ切れ寸前まで我慢した結果、ものすごく疲れた。
「皇太子殿下、私は誰よりも美しいと自負しておりますの。私と結婚した方が、皇太子殿下にとっては幸せですわ」
「あんな子の何処がいいんですの?取り柄なんて所詮家柄と見た目だけでしょう?見た目なら私の方が美しいのではなくて?私は王女ですから、家柄も申し分ないでしょう?私を選んでくださいませ」
「どうしてこんなにアピールしているのに振り向いてくださらないの!?あんな子より私が劣るとおっしゃるの!?あり得ませんわ!」
理性を総動員して殴りかかるのを抑えた。さすがに女性に暴力を振るう趣味はないし、エレナに知られて嫌われたくない。男…王子だったら確実に殴りかかって国際問題になってただろうなぁ…王女でよかった。まあ、王女相手だったから言い寄られていたんだけど。
「うちのバカ娘が本当に申し訳ない…王子ばかりが生まれた中で唯一の姫故、甘やかしてしまったからわがままに育ってしまった。責任は私にある、本当に申し訳ない」
結局、その後騒ぎを聞きつけた隣国の国王陛下から直々に謝罪の言葉をいただいた。娘の不始末を押し付けられて、可哀想に。国王陛下と王女の滞在は元々今日までの予定だったので、すぐに連れて帰るそうだ。王女の方はしばらく謹慎させるらしい。まあ、問題を起こしたのは王女の方だと誰が見てもわかる状況だったし、当然だろう。
「疲れた…エレナに会いたい…」
気持ちがしんどい中、無理矢理身体を動かしてエレナに会いに行く。今日はもう公務はないから。
「エレナ…」
「クリス様!?」
「すごく疲れた…」
僕の疲れ切った顔を見て青ざめるエレナをきつく抱きしめる。あー、癒される。心配してくれるエレナの優しさが素直に心に染みる。好き。
「クリス様、何があったのですか?」
「隣国のいけすかない王女に言い寄られた。疲れた。もうやだ」
「え!?」
「大丈夫、ちゃんと断ったし親である国王陛下からは謝罪も受けた」
「謝罪されるほどアピールされたんですか!?」
エレナがハラハラとしたような表情をする。またヤキモチ妬いてくれてるのかな。嬉しいな。僕も同じくらい…いやもっとエレナが大好きだから、心配要らないのに。ヤキモチ妬いてくれるほど、僕が好きだなんて。
「エレナに会ったらちょっとだけ気力が回復したよ。ありがとう、エレナ」
「いえ、そんな!クリス様が大変な時に、側にいられなくてごめんなさい…」
「いいんだよ、そんなこと。でも、そんな風に思ってもらえて嬉しいな」
「とりあえず、一旦ゆっくり休みましょう。ベッド使いますか?」
「んー…ソファーでいいから、膝枕してくれない?」
どさくさに紛れてわがままを言ってみる。するとエレナは快諾してくれた。
「もちろんです!さあ、どうぞ!」
ソファーの端に座って、膝をポンポンと叩くエレナ。優しいな、本当に。エレナの好意に甘えて、膝枕を堪能する。
「ああ…癒される…」
「ふふ、よかったです」
優しい手つきで頭を撫でられて、柔らかな太ももの感触に少しドキドキする。見上げれば優しい微笑みを浮かべるエレナがいて、なんだかとても幸せな気分になる。うん、頑張った甲斐があった。エレナにこうしてもらうために頑張って耐えたのだと思えば、むしろお釣りがくるくらいだ。
「エレナ」
「はい」
「愛してる」
「私もです」
色々あったが、エレナに会えただけで今日も一日幸せだ。
「皇太子殿下、私は誰よりも美しいと自負しておりますの。私と結婚した方が、皇太子殿下にとっては幸せですわ」
「あんな子の何処がいいんですの?取り柄なんて所詮家柄と見た目だけでしょう?見た目なら私の方が美しいのではなくて?私は王女ですから、家柄も申し分ないでしょう?私を選んでくださいませ」
「どうしてこんなにアピールしているのに振り向いてくださらないの!?あんな子より私が劣るとおっしゃるの!?あり得ませんわ!」
理性を総動員して殴りかかるのを抑えた。さすがに女性に暴力を振るう趣味はないし、エレナに知られて嫌われたくない。男…王子だったら確実に殴りかかって国際問題になってただろうなぁ…王女でよかった。まあ、王女相手だったから言い寄られていたんだけど。
「うちのバカ娘が本当に申し訳ない…王子ばかりが生まれた中で唯一の姫故、甘やかしてしまったからわがままに育ってしまった。責任は私にある、本当に申し訳ない」
結局、その後騒ぎを聞きつけた隣国の国王陛下から直々に謝罪の言葉をいただいた。娘の不始末を押し付けられて、可哀想に。国王陛下と王女の滞在は元々今日までの予定だったので、すぐに連れて帰るそうだ。王女の方はしばらく謹慎させるらしい。まあ、問題を起こしたのは王女の方だと誰が見てもわかる状況だったし、当然だろう。
「疲れた…エレナに会いたい…」
気持ちがしんどい中、無理矢理身体を動かしてエレナに会いに行く。今日はもう公務はないから。
「エレナ…」
「クリス様!?」
「すごく疲れた…」
僕の疲れ切った顔を見て青ざめるエレナをきつく抱きしめる。あー、癒される。心配してくれるエレナの優しさが素直に心に染みる。好き。
「クリス様、何があったのですか?」
「隣国のいけすかない王女に言い寄られた。疲れた。もうやだ」
「え!?」
「大丈夫、ちゃんと断ったし親である国王陛下からは謝罪も受けた」
「謝罪されるほどアピールされたんですか!?」
エレナがハラハラとしたような表情をする。またヤキモチ妬いてくれてるのかな。嬉しいな。僕も同じくらい…いやもっとエレナが大好きだから、心配要らないのに。ヤキモチ妬いてくれるほど、僕が好きだなんて。
「エレナに会ったらちょっとだけ気力が回復したよ。ありがとう、エレナ」
「いえ、そんな!クリス様が大変な時に、側にいられなくてごめんなさい…」
「いいんだよ、そんなこと。でも、そんな風に思ってもらえて嬉しいな」
「とりあえず、一旦ゆっくり休みましょう。ベッド使いますか?」
「んー…ソファーでいいから、膝枕してくれない?」
どさくさに紛れてわがままを言ってみる。するとエレナは快諾してくれた。
「もちろんです!さあ、どうぞ!」
ソファーの端に座って、膝をポンポンと叩くエレナ。優しいな、本当に。エレナの好意に甘えて、膝枕を堪能する。
「ああ…癒される…」
「ふふ、よかったです」
優しい手つきで頭を撫でられて、柔らかな太ももの感触に少しドキドキする。見上げれば優しい微笑みを浮かべるエレナがいて、なんだかとても幸せな気分になる。うん、頑張った甲斐があった。エレナにこうしてもらうために頑張って耐えたのだと思えば、むしろお釣りがくるくらいだ。
「エレナ」
「はい」
「愛してる」
「私もです」
色々あったが、エレナに会えただけで今日も一日幸せだ。
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