妾の子として虐げられていた私が、爵位を継いだお兄様から溺愛されるだけ

下菊みこと

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綿あめ

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「ねえ、エレナって綿あめを食べたことはある?」

「綿あめ、ですか?名前は聞いたことがありますが…本物は、まだ見たことがありません」

ある日突然、クリス様にそんなことを聞かれました。どうしたのでしょうか。

「それは良かった。はい、どうぞ」

「え…これ、綿あめですか!?」

「そう。ここにくる前に、屋台を通りかかってね。もしかしたらエレナが喜ぶかなって買ってみたんだ」

「クリス様…!ありがとうございます!」

初めて見る綿あめは、すごくふわふわで白くて、まるで本物の雲のようです。

「食べてごらん。甘くて美味しいよ」

「はい、いただきます!」

一口食べると、甘い味が口に広がります。ふわふわで、甘くて、いつか聞いた通りのお菓子です!

「すごく美味しいです、クリス様!」

「そうだろう?気に入ってもらえて嬉しいよ」

クリス様は優しい微笑みを浮かべています。なんだか私ばかりはしゃぎ過ぎて恥ずかしくなってきましたが、でも本当に美味しいです!

「クリス様も一口どうぞ!」

「おや、良いのかい?いただきます」

ぱくりと食べたクリス様。

「うん。やっぱりこの甘さだよね。美味しい」

そうして、クリス様としばらく甘い綿あめを分け合って楽しみました。
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