悪役令嬢が王太子に掛けられた魅了の呪いを解いて、そのせいで幼児化した結果

下菊みこと

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シャルの可愛らしさを受け止める

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「ヴァレール様ー!!!」

「シャル、走ったら危ないよ」

「だってヴァレール様が大好きだから!」

そう言ってにこっと笑うシャルを抱きしめる。

シャルは可愛い。

「王太子殿下」

「やあ、シルヴェストル」

妹贔屓で有名なシャルの兄、シルヴェストル。

彼は僕をあまりよく思っていない節がある。

今はその理由がわかる。

シャルのことを僕が大切にしていなかったからだ。

「シャルは可愛いでしょう?」

「そうだね」

「何故今までこんなに可愛いシャルを放置していたのです」

「それは…」

「お兄様、やめて。ヴァレール様は悪くないわ」

むすっとした顔でシャルが言う。

「いいんだ、シャル。今なら兄君の気持ちもわかるから」

「ヴァレール様…」

「僕の今までの婚約者への不誠実さは本当に酷いものだったと思う。シャル、ごめんね」

「言ったでしょう?わたくしはヴァレール様を許して差し上げます!だからもう気にしないで?」

「うん、ありがとう」

シャルを抱っこしたまま、シルヴェストルと向き合う。

「これからはシャルを絶対に幸せにする。ごめんね」

「…わかってくださったならいいです」

言葉の割にむすっとするシルヴェストル。

その顔がさっきのシャルそっくりで微笑ましくなる。

「君たち兄妹はとても可愛らしいね」

「え」

「お兄様は可愛らしくはないわ」

さらっと辛辣なシャルも可愛い。

僕はそんなシャルにきゅんとして、ちょっと迷ったが頭をなでなでしてみた。

「…!ヴァレール様のなでなで!嬉しい!」

「ふふ、可愛いね」

どうしよう。

撫でられただけでこんなにも嬉しそうにされると、どうしていいのかわからないくらい可愛い。

いっそイジメたい衝動にすら駆られる。

これがキュートアグレッションというものかな。

でももちろん、大切にすると決めた人にそんなことはしないけれど。

「シャルが可愛すぎてツラい…」

「え、ヴァレール様大丈夫!?」

「可愛すぎる…」

「わかります…」

「お兄様はいい加減あっち行って!」

僕の言葉にうんうん頷いていたシルヴェストルがシャルに追い返される。

撤退する時涙目だったけど、いいのかな。

「ヴァレール様はシャルに集中して!」

「あ、うん。ごめんね」

「ふふ、はい!」

もう一度なでなですれば、嬉しそうにまた笑う。

天使かな?
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