君が僕に心をくれるなら僕は君に全てをあげよう

下菊みこと

文字の大きさ
80 / 88

髪にキス

しおりを挟む
ある日、コトハがお風呂上がりに無防備にうなじを晒していて…思わず髪を取ってキスしてしまった。

「ナギさん?」

「コトハは無防備すぎる」

「え?」

「うなじ、とってもセクシーで…コトハを愛する僕にはちょっとドキドキしちゃうな」

「えっ…!」

僕の言葉にコトハは真っ赤になる。

「ご、ごめんねナギさん!」

「ううん、目の保養になったよ」

「…!」

もっと真っ赤になるコトハ。

可愛いな。














その日の夜、夜中に目が覚めた。

なんとなくリビングに行くと、コトハがいた。

「あれ?コトハ、どうしたの?」

「お腹が空いちゃって」

「あー、じゃあ、お夜食にしようか」

「いいの?」

「もちろん」

買い溜めしているパスタと残り物の野菜でナポリタンを作る。

最近家事はコトハに任せっぱなしのため、久々の料理だがなかなかうまくできた。

コトハと二人で食べる。

「んー、美味しい」

「美味しいね、コトハ」

「うん、やっぱりナギさんのお料理は美味しいね」

「コトハの料理もいつも美味しいよ」

「えへへ」

照れて笑うコトハが可愛くて、つむじにキスをした。

「ナギさん?」

「コトハは可愛すぎる」

「ふふ、ありがとう」

「愛してるよ、コトハ」

「わ、私も愛してるよ」

真っ赤になりながらも言葉をくれるコトハに胸がギュッとなる。

コトハは本当に愛おしい。

「そういえば昔、おにぎりをナギさんに握ってもらってお夜食パーティーをしたね」

「ああ、懐かしいね」

「あの時は確か…天の使いの天女様が、ナギさんを天の国に連れて行こうとした時だったよね」

「うん、不安そうにしていたコトハを安心させたくて必死に色々考えた結果だったね」

「やっぱり」

コトハは言う。

「あの時、ナギさんは私のためを思って起きててくれたんだね」

「ふふ、うん」

「あの頃からナギさんはずっと私の味方だね」

「もちろんだよ」

コトハの頭を撫でる。

「僕は永遠にコトハの味方だからね」

「ナギさん…ありがとう」

「でもごめんね。僕はコトハを眷属にして天の国に連れていく。これはもう覆さない」

「うん、いいんだよ」

「コトハ…受け入れてくれてありがとう」

コトハは微笑む。

「ナギさんとずっと一緒にいられるなら、私はそれだけで幸せだもん」

「コトハ…」

コトハを抱き寄せて、ぎゅっとする。

「愛してる、本当に」

「私も愛してるよ」

「もう離してはあげられないけど…その分愛するからね」

「ナギさん、大好き」

「コトハ、大好きだよ」

そしてお夜食は終わらせて、ご馳走様をして食器を片付けた。

「じゃあ、今度こそおやすみなさい、ナギさん」

「おやすみ、コトハ」

おやすみなさいの挨拶をした後、そっと部屋を確認してコトハが眠ったのを見届けてから僕も眠る。

コトハの寝顔は今日も可愛かった。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました

らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。 そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。 しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような… 完結決定済み

悪役令嬢(濡れ衣)は怒ったお兄ちゃんが一番怖い

下菊みこと
恋愛
お兄ちゃん大暴走。 小説家になろう様でも投稿しています。

「好きです!」「そっかー」毎日告白してくる侯爵令嬢、毎日それを待っている公爵令息。…に、周りからは見える二人の真実。

下菊みこと
恋愛
割と身勝手な男女のお話。 ヴェロニクは毎日ナタンに告白する。ナタンは毎日ヴェロニクの告白を受け流す。ナタンのある種思わせぶりな態度に、周りの生徒は呆れていた。そんな二人の真実は、周りから見えるものとは全く違うものだった。 ヤンデレリハビリ作。微ヤンデレ程度。多分誰も不幸にはなっていない。 小説家になろう様でも投稿しています。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

夫の妹に財産を勝手に使われているらしいので、第三王子に全財産を寄付してみた

今川幸乃
恋愛
ローザン公爵家の跡継ぎオリバーの元に嫁いだレイラは若くして父が死んだため、実家の財産をすでにある程度相続していた。 レイラとオリバーは穏やかな新婚生活を送っていたが、なぜかオリバーは妹のエミリーが欲しがるものを何でも買ってあげている。 不審に思ったレイラが調べてみると、何とオリバーはレイラの財産を勝手に売り払ってそのお金でエミリーの欲しいものを買っていた。 レイラは実家を継いだ兄に相談し、自分に敵対する者には容赦しない”冷血王子”と恐れられるクルス第三王子に全財産を寄付することにする。 それでもオリバーはレイラの財産でエミリーに物を買い与え続けたが、自分に寄付された財産を勝手に売り払われたクルスは激怒し…… ※短め

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

彼の義妹は、本当に可哀想な子だ。

下菊みこと
恋愛
ダークなお話です。 愛し合う二人、邪魔な義妹。その行き着く果ては? そんなお話です。 小説家になろう様でも投稿しています。

私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。 使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。 優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。 婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。 「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。 優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。 父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。 嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの? 優月は父親をも信頼できなくなる。 婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

処理中です...