一国の姫として第二の生を受けたけど兄王様が暴君で困る

下菊みこと

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お茶会です!

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ご機嫌よう。リンネアル・サント・エルドラドです。今、ティラン兄様とお茶会してます!

「ねえねえ、ティラン兄様!」

「どうした?」

「私もティラン兄様とおんなじのが飲みたいなあ」

そう。お茶会といっても私は牛乳で、ティラン兄様はコーヒーを飲んでいます。

久しぶりにコーヒー飲みたいなあ。でもこの身体子供だからなあ。ダメかなあ。

「だめだ。我が愚妹には早すぎる。苦くて吐くぞ」

「えー、ティラン兄様のケチー」

思わずふくれっ面になってしまいます。

「っ…ははっ!なんて顔してるんだよ、ブスが余計にブスになるだろ」

ティラン兄様は失礼なことを言いながら私の頬をつんつんしてきます。

「私ブスじゃないもん。私ティラン兄様に似てるから、私がブスならティラン兄様もブスだもん」

「は?お前が俺に似てるって?どこが。お前白銀の髪もアメジストの瞳も持ってないだろ」

大真面目な顔で全否定するティラン兄様。でも。

「色は全然違うけど形は似てるの!」

そう、異母兄弟とは言え曲がりなりにも血を分けた兄弟。ティラン兄様と私は割と似ているのだ。イケメンというか美男子なティラン兄様に似た私はそれはもう可愛い。思わず鏡でうっとりしちゃうくらいに。いや、やらないけれども。

「ふーん…形が似てる、ねぇ」

なおも頬をつんつんするティラン兄様。まったくもう!子供なんだから!

「ところでお前、魔力の方はどうなの」

ティラン兄様から急に話を振られます。どうなのと言われても…。

「うーん…王族としては少ないんだって。でも、平民や貴族よりは多いって!」

「ふーん、やっぱり貧弱なんだな」

「貴族よりは多いの!」

普通の貴族より多いって言ってるのに貧弱扱いするティラン兄様。意地悪なんだから!

「王族が貴族より魔力が多いのは当たり前だろ。内乱が起こった時に対処出来なきゃ困るし」

私の頬をむにむにと摘んだり伸ばしたりしながら、ティラン兄様は言う。

「何かあっても俺は守ってやらないから、護身術代わりに魔術はきっちりと身につけておけよ」

「はーい!」

そう、可愛がってくれている風のティラン兄様は、しかし今日まで私のところに来てくれなかったし、今のところ何かあっても守ってはくれないだろう。自衛手段を持つのは大事だ。…と言っても、今は、だけど。そのうち私が可愛くて仕方なくして、溺愛されちゃうんだから!

私がそう意気込んでいると、じーっと私を見つめてくるティラン兄様。なに?

「どうしたの?ティラン兄様」

「…いや、確かに割と似てんのかなって思って」

ふむ。と一度頷くと、私の頭を軽く撫でるティラン兄様。

「愚妹でも、やっぱり俺の妹なんだな」

…なんだろう?なんかむず痒い。

「…よし。これから毎日晩餐とティータイムは一緒にとるぞ、いいな?」

「わあい!ティラン兄様とお食事、嬉しい!」

ティラン兄様はにっと不敵な笑みを浮かべて、お前は俺の気紛れで生かされていることを忘れるなよ、と言う。忘れるわけない。

「じゃあ俺そろそろ公務に戻るわ。また晩餐でな」

「はーい、楽しみにしてるね」

にこにこ笑顔で見送ると、ティラン兄様は私の頭を軽く撫でてから帰っていった。

「うん、今のところいいんじゃない?」

結構仲良しだよね?大丈夫だよね?このまま良い子でいれば、溺愛されちゃうのも時間の問題だよね?

わーい、もっと愛嬌作戦頑張ろう!
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